(No.129)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例(193)-サウジアラビア
平成27年8月12日更新

 
 2015年8月3日から9日までの間に、サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口はWHO(世界保健機関)に対して、死亡者3人を含む17人の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を新たに
報告しました。

 詳細は以下の通りです。
1.リヤド(Riyadh)市在住の医療従事者で55歳の外国籍女性は、8月5日に発症して6日に入院しました。
患者は合併症がなく、8日にMERS-CoV陽性が検出されました。MERS-CoVのアウトブレイクが発生
している病院に勤務していました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。MERS-CoV感染
確定例との接触歴は調査中です。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

2. リヤド市在住の60歳の女性は、7月30日に発症して8月6日に入院しました。患者は合併症があり、
8日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。発症前14日
以内の他の既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

3. リヤド市在住の31歳の女性は、別の病気で7月12日から入院している間の7月30日に発症しました。
入院していた病院でMERS-CoVのアウトブレイクが発生しています。患者は、8月1日にMERS-CoV陽性
が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。入院中のMERS-CoV感染確定例
との接触歴、もしくは共通で担当した医療従事者について疫学的な関連を調査しています。

4. リヤド市在住の74歳の男性は、8月5日に発症して6日に入院しました。患者は合併症があり、7日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。MERS-CoV感染
確定例(下記10例目)との接触歴があります。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴は
ありません。

5. リヤド市在住の50歳の女性は、8月6日に発症して同日にMERS-CoVのアウトブレイクが発生している病院に入院しました。患者は合併症があり、7日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、自宅隔離で安定した状態です。MERS-CoV感染確定例(下記6例目)との接触歴があります。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

6. リヤド市在住の55歳の男性は、7月23日に発症して27日にMERS-CoVのアウトブレイクが発生している
病院に入院しました。患者は合併症があり、29日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、ICUに入院中で危篤状態です。入院中のMERS-CoV感染確定例との接触歴、もしくは共通で担当した医療従事者に
ついて、疫学的な関連を調査しています。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴についても
調査中です。

7. リヤド市在住の42歳の男性は、別の病気で7月10日から入院している間の8月1日に発症しました。
入院していた病院でMERS-CoVのアウトブレイクが発生しています。患者は、3日にMERS-CoV陽性が
検出されました。現在、ICUに入院中で危篤状態です。入院中のMERS-CoV感染確定例との接触歴、
もしくは共通で担当した医療従事者について、疫学的な関連を調査しています。

8. リヤド市在住の72歳の女性は、別の病気で7月29日から入院している間の8月2日に発症しました。
入院していた病院でMERS-CoVのアウトブレイクが発生しています。患者は合併症があり、4日にMERS-CoV陽性が検出され、9日に死亡しました。入院中のMERS-CoV感染確定例との接触歴、もしくは共通で担当した医療従事者について、疫学的な関連を調査しています。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴についても調査中です。

9. リヤド市在住の医療従事者で29歳の外国籍女性は、8月3日に発症して同日に入院しました。患者は合併症がなく、4日にMERS-CoV陽性が検出されました。MERS-CoVのアウトブレイクが発生している病院に勤務
していました。現在、自宅隔離で安定した状態です。MERS-CoV感染確定例との接触歴は調査中です。
発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

10. リヤド市在住の49歳の男性は、7月24日に発症して同日に入院しました。患者は合併症があり、8月2日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。発症前14日以内の
他の既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

11 リヤド市在住の38歳の男性は、7月29日に発症して8月2日に入院しました。患者は合併症がなく、8月4日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、ICUに入院中で危篤状態です。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

12. ナジュラン(Najran)市在住の50際の男性は、7月29日に発症しました。8月2日に入院して、同日にMERS-CoV陽性が検出されました。患者は合併症がなく、病院の管理業務に従事しています。ラクダとの
頻繁な接触歴に加えて、ラクダの生乳の摂取歴があります。発症前14日以内の
他の既知の危険因子への曝露歴はありません。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。

13. リヤド市在住で医療従事者の31歳の外国籍女性は、7月27日に発症して同日に入院しました。患者は
合併症がなく、31日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、ICUに入院中で危篤状態です。MERS-CoVのアウトブレイクが発生している病院に勤務していました。7月2日から21日までの間、MERS-CoV感染確定例(更新191-4例目)を担当していました。他のMERS-CoV感染確定例との接触歴は調査中です。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

14. リヤド市在住の86歳の男性は、7月25日に発症して27日にMERS-CoVのアウトブレイクが発生している病院に入院しました。患者は合併症があり、29日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、ICUに入院中で危篤状態です。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

15. リヤド市在住の78歳の男性は、7月10日に発症して11日にMERS-CoVのアウトブレイクが発生している病院に入院しました。患者は合併症があり、28日にMERS-CoV陽性が検出されました。入院中のMERS-CoV感染確定例との接触歴、もしくは共通で担当した医療従事者について、疫学的な関連を調査しています。
発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

16. リヤド市在住の75歳の外国籍男性は、別の病気で7月15日から入院している間の7月21日に発症
しました。入院していた病院でMERS-CoVのアウトブレイクが発生しています。患者は合併症があり、
27日にMERS-CoV陽性が検出され、8月4日に死亡しました。入院中のMERS-CoV感染確定例との
接触歴、もしくは共通で担当した医療従事者について、疫学的な関連を調査しています。
発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

17. リヤド市在住の53歳の男性は、7月20日に発症して同日に入院しました。入院していた病院で
MERS-CoVのアウトブレイクが発生しています。患者は合併症があり、30日にMERS-CoV陽性が
検出され、9日に死亡しました。MERS-CoV感染確定例(更新192-5例目)との接触歴があります。
発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴は調査中です。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した
状態です。

 上記の患者について、家庭内及び医療従事者で接触した人の追跡調査が実施されています。
 加えて、サウジアラビアのIHR担当窓口は、既報患者2人(更新193-1例目, 更新192-7例目)が
死亡したこともWHOに報告しました。
 2012年9月以降、WHOには全世界で1,401人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、
うち500人が関連死しています。

【出典】
 WHO, Global Alert and Response (GAR).
 Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia,
 12 August 2015
 http://www.who.int/csr/don/12-august-2015-mers-saudi-arabia/en/