エボラ出血熱の流行状況(52)
平成27年8月12日更新
2015年8月12日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
1.8月9日までの1週間に合計3人(ギニア2人、シエラレオネ1人)のEVD確定例が報告されました。
シエラレオネのトンコリリから確定例1人が後に追加され、前週と比較して合計人数は2人から3人に
増えました。確定患者発生数は3週連続で週に10人以下となりましたが、短期、中期的には感染伝播や
患者発生数の増加のリスクは残っています。8月9日の週に報告された3人の患者のうちの1人は、
登録済みの接触者でしたが追跡を逃れコナクリのいくつかの医療施設で多数のハイリスク患者と接触
しました。ギニアのフォレカリア県にあるムサヤ(Moussayah)郡で安全を欠いた埋葬が行われた可能性が
ある確定患者の死後の検査によりコミュニティ内で潜伏している感染伝播があるかもしれないことを
示唆します。加えて、シエラレオネの首都フリータウンでの新規患者により多くのハイリスクの接触者が
発生しました。ギニア4県とシエラレオネ2地区で1,600人以上の接触者が健康監視下に入りました。
前週は1,800人以上の接触者がギニア5県とシエラレオネ4地区で監視中でした。
2.8月9日の週にギニアから2人の患者が報告されました。1人は感染源不明でもう1人は監視を逃れた
登録済みの接触者でした。フォレカリア県からの報告例はムサヤ郡のコミュニティ内で死亡し、死後の検査で発見されました。前述の調査により、EVDにより死亡したと考えられる家族の安全を欠いた埋葬に患者が
立ち会ったことに関連していることを示唆します。もう一人の患者は、首都コナクリのラトマ(Ratoma)地域から報告されました。患者は既知の感染連鎖の接触者で登録されていましたが、追跡を逃れEVDが陽性であると判明する前の、症状が出現している間にコナクリ中の医療施設を訪れました。患者と関連したハイリスクの接触者の多くは医療従事者です。ギニアの西部4県で927人の接触者が健康監視下にあります。(前週監視下にあったのは5県で1,080人)全接触者の半分以上(55%)がフォレカリア県、40%がコナクリです。
リベリアでは8月9日の週に新たな患者は報告されませんでした。全ての接触者は21日間の健康監視を
終了しています。最後の患者2人は治療を受け、7月23日に2回目の検査を受けEVD陰性となり退院
しました。
3.フリータウン(西部都市地区)からシエラレオネでの1人の患者が報告されました。これは西部都市地区の感染連鎖に関連しています。患者は8ヶ月の女児で8月4日に発症(発熱、嘔吐、下痢)し8月6日にフリータウンのオラ・ダーリング(Ola During)小児病院に入院しました。これまでに合計29人のハイリスクの接触者が
確認され、その内の24人が現在自発的に隔離されています。シエラレオネでは合計694人(前週は811人)の
接触者が健康監視下にあります。接触者のほとんどにあたる638人がトンコリリ(7月26日の終末に報告
された患者と関連あり)におり,56人はフリータウンにいます。
4.2週連続でどの流行国からも医療従事者の感染報告はありませんでした。流行が始まって以降、
ギニア、リベリア、シエラレオネから合計880人の医療従事者の感染が報告されており、うち512人が
死亡されています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
1.8月9日までにギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて27,929人のEVD患者が発生しており、11,283人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の
高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています。(表1)8月9 日の週に、
ギニアでは1人、シエラレオネで1人の新たな確定例が報告されました。
2.診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人はギニアと
リベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。(表2)
3.8月9 日の週に、新たな医療従事者の感染は報告されませんでした。ギニア、リベリア、シエラレオネで880人の医療従事者の感染し、うち512人が死亡したと報告されています。
2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
1.リベリアでは、42日間連続で新たなEVD確定例が発生しなかったことを受けて、2015年5月9日に
EVD流行の終息が宣言されました。リベリアは3ヶ月間の高警戒期間に入り、その期間に、EVD感染が
疑われる患者から60 検体の血液検体と口腔スワブが毎日採取され、EVDの検査が実施されていました。
高警戒期間中の6月29日にマージビ郡でEVD陽性例の死亡例が発見され、3月20日以降で初めての確定例と
なりました。患者は17歳の男性で、6月21日に発症して6月28日に死亡し同日にEVD陽性が検出されました。7月12日末の週に最初の確定例の接触者5人からEVD陽性が確認されました。6月29日以降に6人の確定例が
報告され、うち2人は死亡、残り4人は治療を受け既に退院しています。最後の患者は7月23日に2回目の検査の結果もEVD陰性であり退院しました。全ての接触者が現在、経過観察を終了しています。
2.イタリア、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の7か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が以前、報告されました。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、要約
1.8月9日までの1週間に合計3人(ギニア2人、シエラレオネ1人)のEVD確定例が報告されました。
シエラレオネのトンコリリから確定例1人が後に追加され、前週と比較して合計人数は2人から3人に
増えました。確定患者発生数は3週連続で週に10人以下となりましたが、短期、中期的には感染伝播や
患者発生数の増加のリスクは残っています。8月9日の週に報告された3人の患者のうちの1人は、
登録済みの接触者でしたが追跡を逃れコナクリのいくつかの医療施設で多数のハイリスク患者と接触
しました。ギニアのフォレカリア県にあるムサヤ(Moussayah)郡で安全を欠いた埋葬が行われた可能性が
ある確定患者の死後の検査によりコミュニティ内で潜伏している感染伝播があるかもしれないことを
示唆します。加えて、シエラレオネの首都フリータウンでの新規患者により多くのハイリスクの接触者が
発生しました。ギニア4県とシエラレオネ2地区で1,600人以上の接触者が健康監視下に入りました。
前週は1,800人以上の接触者がギニア5県とシエラレオネ4地区で監視中でした。
2.8月9日の週にギニアから2人の患者が報告されました。1人は感染源不明でもう1人は監視を逃れた
登録済みの接触者でした。フォレカリア県からの報告例はムサヤ郡のコミュニティ内で死亡し、死後の検査で発見されました。前述の調査により、EVDにより死亡したと考えられる家族の安全を欠いた埋葬に患者が
立ち会ったことに関連していることを示唆します。もう一人の患者は、首都コナクリのラトマ(Ratoma)地域から報告されました。患者は既知の感染連鎖の接触者で登録されていましたが、追跡を逃れEVDが陽性であると判明する前の、症状が出現している間にコナクリ中の医療施設を訪れました。患者と関連したハイリスクの接触者の多くは医療従事者です。ギニアの西部4県で927人の接触者が健康監視下にあります。(前週監視下にあったのは5県で1,080人)全接触者の半分以上(55%)がフォレカリア県、40%がコナクリです。
リベリアでは8月9日の週に新たな患者は報告されませんでした。全ての接触者は21日間の健康監視を
終了しています。最後の患者2人は治療を受け、7月23日に2回目の検査を受けEVD陰性となり退院
しました。
3.フリータウン(西部都市地区)からシエラレオネでの1人の患者が報告されました。これは西部都市地区の感染連鎖に関連しています。患者は8ヶ月の女児で8月4日に発症(発熱、嘔吐、下痢)し8月6日にフリータウンのオラ・ダーリング(Ola During)小児病院に入院しました。これまでに合計29人のハイリスクの接触者が
確認され、その内の24人が現在自発的に隔離されています。シエラレオネでは合計694人(前週は811人)の
接触者が健康監視下にあります。接触者のほとんどにあたる638人がトンコリリ(7月26日の終末に報告
された患者と関連あり)におり,56人はフリータウンにいます。
4.2週連続でどの流行国からも医療従事者の感染報告はありませんでした。流行が始まって以降、
ギニア、リベリア、シエラレオネから合計880人の医療従事者の感染が報告されており、うち512人が
死亡されています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
1.8月9日までにギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて27,929人のEVD患者が発生しており、11,283人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の
高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています。(表1)8月9 日の週に、
ギニアでは1人、シエラレオネで1人の新たな確定例が報告されました。
2.診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人はギニアと
リベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。(表2)
3.8月9 日の週に、新たな医療従事者の感染は報告されませんでした。ギニア、リベリア、シエラレオネで880人の医療従事者の感染し、うち512人が死亡したと報告されています。
2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
1.リベリアでは、42日間連続で新たなEVD確定例が発生しなかったことを受けて、2015年5月9日に
EVD流行の終息が宣言されました。リベリアは3ヶ月間の高警戒期間に入り、その期間に、EVD感染が
疑われる患者から60 検体の血液検体と口腔スワブが毎日採取され、EVDの検査が実施されていました。
高警戒期間中の6月29日にマージビ郡でEVD陽性例の死亡例が発見され、3月20日以降で初めての確定例と
なりました。患者は17歳の男性で、6月21日に発症して6月28日に死亡し同日にEVD陽性が検出されました。7月12日末の週に最初の確定例の接触者5人からEVD陽性が確認されました。6月29日以降に6人の確定例が
報告され、うち2人は死亡、残り4人は治療を受け既に退院しています。最後の患者は7月23日に2回目の検査の結果もEVD陰性であり退院しました。全ての接触者が現在、経過観察を終了しています。
2.イタリア、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の7か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が以前、報告されました。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,329 |
7 |
2,070 |
可能性例 |
452 |
未報告 |
452 |
|
疑い例 |
6 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,787 |
7 |
2,524 |
|
リベリア※ |
確定例 |
3,151 |
- |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
- |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
- |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
- |
4,806 |
|
リベリア※2 |
確定例 |
6 |
0 |
2 |
可能性例 |
0 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
データなし |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
6 |
0 |
2 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,697 |
6 |
3,585 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
4,486 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
13,470 |
6 |
3,951 |
|
総数 |
確定例 |
15,183 |
13 |
データなし |
可能性例 |
2,618 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
10,128 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
27,929 |
13 |
11,283 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されました。継続されている調査と患者と死亡者を
遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。2015年5月9日以降に報告された
患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した集団発生を構成していると考えられて
います。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,589 |
1,735 |
529 |
1,894 |
857 |
(29) |
(32) |
(11) |
(41) |
(55) |
|
リベリア§ |
1,911 |
1,838 |
561 |
2060 |
703 |
(96) |
(93) |
(33) |
(121) |
(131) |
|
シエラレオネ |
4,792 |
5,081 |
1,978 |
5,592 |
2,129 |
(168) |
(175) |
(82) |
(216) |
(288) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
§データは2015年5月9日までのものです。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 12 August 2015
http://www.who.int/csr/don/12-august-2015-mers-saudi-arabia/en/