エボラ出血熱の流行状況(54)
平成27年8月26日更新
2015年8月26日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・8月23日末の週に合計3人(全てギニアから)のEVD確定例が報告されました。今回の流行が始まって
以来、シエラレオネからは2週連続で報告がありませんでした。新規確定患者数は4週間連続で毎週3人となっています。さらに、監視中の接触者はギニアの4県とシエラレオネの2郡を合わせて、8月16日の800人から
8月23日には600人に減少しています。シエラレオネのトンコリリでは接触者に対する21日間の監視は全て
終了しています。しかし、重大な伝播の危険性は残されたままです。今週、ギニアの首都コナクリから報告された3人のEVD確定例に関連する濃厚接触者が相当数発生しました。死後検査で陽性が検出された1人は、
過去6週間にコナクリで追跡不能者となった35人のうちの1人です。
・8月23日末の週に報告された3人全ては首都コナクリのラトマ(Ratoma)地区から報告されています。
最初の症例であるの40代男性タクシードライバーは監視中の接触者ではなく、徴候があった短期間に
コナクリで働いていたと考えられています。接触者の追跡調査は継続中です。個人病院でタクシードライバーの診察にあたった男性医療従事者は接触者として登録され、その後のEVD検査で陽性と診断されました。
病院関係者や家族から40人以上の接触者が確認されています。残りの症例である40代前半の女性は、コナクリでの確定例と関連のある接触者ですが追跡不能となっていました。調査の結果、患者は死亡する前にコナクリから出て、デュブレカ県の伝統的な治療者(traditional healer)に相談へ行っていたことが示唆されています。その後、死後のEVD検査で陽性と診断されました。前週の3県で800人に比べ、8月23日時点で
4つの西部県(コナクリ、コヤ、デュブレカ、フォレカリア)で600人の接触者が監視下にあります。
・8月23日末の週にリベリアから新規患者の報告はありませんでした。同国での接触者は全て21日間の
監視期間を終了しています。最後の2人の患者も7月23日に2回目の検査が陰性となり退院しています。
監視強化は継続中であり、8月23日の週に約800検体がEVD検査されました。
・8月23日末の週に、2週連続でシエラレオネから新規患者の報告はありませんでした。最後のEVD確定例が完全に治療を終えて、2回のEVD検査がいずれも陰性と判定された後、8月24日にエボラ治療センターを退院しています。監視対象者数は8月19日に3地区(トンコリリ、西部都市地区、西部地方地区)から72人、
8月23日はトンコリリからの接触者は全て21日間の監視期間を終了し、西部都市地区、西部地方地区から
29人のみとなりました。
・8月23日末の週に、4週間ぶりに医療従事者の新規感染が報告されました。患者はギニアの首都コナクリからです。今回の西アフリカ3か国での流行のはじめから医療従事者の感染者数は881人であり、うち512人が死亡しています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて28,005人のEVD患者が発生しており、11,287人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています(表1)。8月23日末の週に、ギニアで3人の
新たな確定例が報告されました。
・診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人は
ギニアとリベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。
・8月23日末の週に、ギニアから1人の医療従事者の感染が報告されました。流行が始まって以降、
医療従事者の感染者数は流行3か国で合計881人となっており、うち512人が死亡しています。
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されました。継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した集団発生を構成していると考えられています。
・表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
§データは2015年5月9日までのものです。
2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・リベリアでは、42日間連続で新たなEVD確定例が発生しなかったことを受けて、2015年5月9日に
EVD流行の終息が宣言されました。リベリアは3ヶ月間の高警戒期間に入り、高警戒期間中の6月29日に
マージビ郡でEVD陽性例の死亡例が発見され、3月20日以降で初めての確定例となりました。患者は17歳の男性で、6月21日に発症して6月28日に死亡し同日にEVD陽性が検出されました。7月12日末の週に最初の
確定例の接触者5人からEVD陽性が確認されました。6月29日以降に6人の確定例が報告され、うち2人は
死亡、残り4人は治療を受け既に退院しています。最後の患者は7月23日に2回目の検査の結果もEVD陰性であり退院しました。全ての接触者が現在、経過観察を終了しています。
・イタリア、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の7か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 26 August 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-26-august-2015
要約
・8月23日末の週に合計3人(全てギニアから)のEVD確定例が報告されました。今回の流行が始まって
以来、シエラレオネからは2週連続で報告がありませんでした。新規確定患者数は4週間連続で毎週3人となっています。さらに、監視中の接触者はギニアの4県とシエラレオネの2郡を合わせて、8月16日の800人から
8月23日には600人に減少しています。シエラレオネのトンコリリでは接触者に対する21日間の監視は全て
終了しています。しかし、重大な伝播の危険性は残されたままです。今週、ギニアの首都コナクリから報告された3人のEVD確定例に関連する濃厚接触者が相当数発生しました。死後検査で陽性が検出された1人は、
過去6週間にコナクリで追跡不能者となった35人のうちの1人です。
・8月23日末の週に報告された3人全ては首都コナクリのラトマ(Ratoma)地区から報告されています。
最初の症例であるの40代男性タクシードライバーは監視中の接触者ではなく、徴候があった短期間に
コナクリで働いていたと考えられています。接触者の追跡調査は継続中です。個人病院でタクシードライバーの診察にあたった男性医療従事者は接触者として登録され、その後のEVD検査で陽性と診断されました。
病院関係者や家族から40人以上の接触者が確認されています。残りの症例である40代前半の女性は、コナクリでの確定例と関連のある接触者ですが追跡不能となっていました。調査の結果、患者は死亡する前にコナクリから出て、デュブレカ県の伝統的な治療者(traditional healer)に相談へ行っていたことが示唆されています。その後、死後のEVD検査で陽性と診断されました。前週の3県で800人に比べ、8月23日時点で
4つの西部県(コナクリ、コヤ、デュブレカ、フォレカリア)で600人の接触者が監視下にあります。
・8月23日末の週にリベリアから新規患者の報告はありませんでした。同国での接触者は全て21日間の
監視期間を終了しています。最後の2人の患者も7月23日に2回目の検査が陰性となり退院しています。
監視強化は継続中であり、8月23日の週に約800検体がEVD検査されました。
・8月23日末の週に、2週連続でシエラレオネから新規患者の報告はありませんでした。最後のEVD確定例が完全に治療を終えて、2回のEVD検査がいずれも陰性と判定された後、8月24日にエボラ治療センターを退院しています。監視対象者数は8月19日に3地区(トンコリリ、西部都市地区、西部地方地区)から72人、
8月23日はトンコリリからの接触者は全て21日間の監視期間を終了し、西部都市地区、西部地方地区から
29人のみとなりました。
・8月23日末の週に、4週間ぶりに医療従事者の新規感染が報告されました。患者はギニアの首都コナクリからです。今回の西アフリカ3か国での流行のはじめから医療従事者の感染者数は881人であり、うち512人が死亡しています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて28,005人のEVD患者が発生しており、11,287人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています(表1)。8月23日末の週に、ギニアで3人の
新たな確定例が報告されました。
・診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人は
ギニアとリベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。
・8月23日末の週に、ギニアから1人の医療従事者の感染が報告されました。流行が始まって以降、
医療従事者の感染者数は流行3か国で合計881人となっており、うち512人が死亡しています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,335 |
8 |
2,075 |
可能性例 |
452 |
未報告 |
452 |
|
疑い例 |
5 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,792 |
8 |
2,527 |
|
リベリア※ |
確定例 |
3,151 |
- |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
- |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
- |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
- |
4,806 |
|
リベリア※2 |
確定例 |
6 |
0 |
2 |
可能性例 |
0 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
データなし |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
6 |
0 |
2 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,697 |
1 |
3,586 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
4,557 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
13,541 |
1 |
3,952 |
|
総数 |
確定例 |
15,189 |
9 |
データなし |
可能性例 |
2,618 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
10,198 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
28,005 |
9 |
11,287 |
※2リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されました。継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した集団発生を構成していると考えられています。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,592 |
1,737 |
529 |
1,898 |
858 |
(29) |
(32) |
(11) |
(41) |
(55) |
|
リベリア§ |
1,911 |
1,838 |
561 |
2060 |
703 |
(96) |
(93) |
(33) |
(121) |
(132) |
|
シエラレオネ |
4,792 |
5,081 |
1,978 |
5,592 |
2,129 |
(168) |
(175) |
(82) |
(216) |
(288) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
§データは2015年5月9日までのものです。
2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・リベリアでは、42日間連続で新たなEVD確定例が発生しなかったことを受けて、2015年5月9日に
EVD流行の終息が宣言されました。リベリアは3ヶ月間の高警戒期間に入り、高警戒期間中の6月29日に
マージビ郡でEVD陽性例の死亡例が発見され、3月20日以降で初めての確定例となりました。患者は17歳の男性で、6月21日に発症して6月28日に死亡し同日にEVD陽性が検出されました。7月12日末の週に最初の
確定例の接触者5人からEVD陽性が確認されました。6月29日以降に6人の確定例が報告され、うち2人は
死亡、残り4人は治療を受け既に退院しています。最後の患者は7月23日に2回目の検査の結果もEVD陰性であり退院しました。全ての接触者が現在、経過観察を終了しています。
・イタリア、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の7か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 26 August 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-26-august-2015