(No.137)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例(199)-ヨルダン
平成27年9月1日更新

 2015年8月26日から28日の間にヨルダンの国際保健規則(IHR) 担当窓口は世界保健機関(WHO)に対して
1人の死亡を含め、新たに4人の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染患者を報告しました。
これら4人の患者は現在アンマンのある病院で発生しているMERS-CoV のアウトブレイクと関連しています。

詳細は以下の通りです。

1.サウジアラビアのジェッダ在住の60歳男性は7月28日にヨルダンのアンマンに旅行中、7月31日に
発症し8月10日に入院しました。患者には合併症があります。対症療法が実施され8月18日に退院となりましたが、2日後に悪化し再度入院となっています。患者は8月23日にアンマンの別の病院に入院しました。
8月25日の検査でMERS-CoVの診断が確定していますがその2日後に死亡しています。発症前2週間以内の
他の既知の危険因子への曝露歴について調査中です。

2.クエート在住の38歳男性はヨルダンのアンマンに8月7日旅行しました。8月12日に発症し8月17日に
上記1の患者の入院している病院に入院しました。患者はアンマン到着時より同病院に頻回に家族を訪ねていました。患者には合併症はありません。また発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴もありません。8月26日の検査で診断が確定しました。現在患者はICUに収容されています。初発患者や共通して
担当した医療従事者との疫学的な関連については調査中です。

3.アンマン在住の76歳の男性は上記1の患者が入院している病院に8月16日他の慢性疾患のために入院しましたが同日退院となっています。しかし8月20日に同じ慢性疾患の治療のために入院し、24日に退院しました。その翌日に発症し、同病院に再入院となりました。同日の検査でMERS-CoVの診断が確定しています。現在ICUに収容され、重篤な状態です。入院中のMERS-CoV患者や共通して担当した医療従事者との疫学的な関連については調査中です。

4.クエート在住の47歳女性はヨルダンのアンマンに7月15日に旅行をしました。患者は上記2の患者の
接触者として検査を受け、診断が確定しました。患者には合併症はありません。8月27日の検査で診断が確定しています。現在無症状ですが自宅で隔離されています。また家族を訪ねて上記1の患者が入院している病院を訪れています。診断前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。
上記の患者について、家庭内及び医療従事者で接触した人の追跡調査が実施されています。加えて、ヨルダンのIHR担当窓口は、サウジアラビアのIHR に対して元となった患者のサウジアラビアにおける接触者の追跡調査を実施されるように情報を提供しました。
 
 2012年9月以降、WHOには全世界で1,478人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、うち516人が関連死しています。

【出典】
 WHO Disease outbreak news
 Middle East Respiratory Syndrome Corona Virus(MERSCo-V)- Jordan 1 September 2015
 http://www.who.int/csr/don/01-september-2015-mers-jordan/en/