エボラ出血熱の流行状況(56)
平成27年9月9日更新
2015年9月9日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・9月6日までの1週間に合計2人(ギニア1人、シエラレオネ1人)のEVD確定例が報告されました。
全体的な患者発生は、6週間連続して1週に2-3人と安定しています。感染連鎖は3つあり、そのうち2つが
ギニアのコナクリ内とその周辺での連鎖であり、あと1つがシエラレオネのカンビア西部地域の連鎖です。
ギニアのフォレカリアに存在した感染連鎖についてはこの週で監視期間を終了しました。加えてリベリアは
9月3日をもってマルジビでの患者の集団と関連して発生した診断確定患者の治療が終了し、検査が陰性であったことから2度目の終結宣言となりました。リベリアは90日の監視強化期間に入っています。ギニアと
シエラレオネでの観察中の接触者は8月30日の450人あまりから9月6日には1,300人あまりとなっています。この増加にはシエラレオネのカンビアの病院外で前週末に死亡した1人の患者の発生が大きく関与しています。今回登録された2人の患者は過去ギニアのコナクリ、シエラレオネのカンビアの同地域で発生した患者との接触者として登録されていました。ギニアの患者はさらに感染を起こさせる危険性の高い患者と考えられていました。そのためしばらくはさらなる患者が発生する可能性があります。
・9月6日までの1週間にギニアから報告のあった診断確定患者は首都コナクリのラトマ地区で発症しました。患者は13歳の女子で、それ以前2週間の間に同地区で発生した患者2人の親戚であり接触歴がありました。
発症後早期の短期間彼女はフォローアップをされていなかったためにさらなる感染源となる危険性が高いとみなされています。診断が確定し、エボラ治療センターに収容され、追跡調査が開始されるまでにこの患者は
いくつかの私立の医療機関を受診しています。9月6日現在ギニアでは2ヶ所の隣接する県で292人の接触者がフォローアップ中です(コナクリで266人、ドゥブレカ26人)。フォレカリアでフォローアップされていた最後の接触者は今週で監視を終了しています。
・シエラレオネで今週新たに登録された診断確定患者は1人でした。患者は前週に死後の検査でEVD陽性と
判明した患者(カンビアの首長地域であるトンコリンバのセラ・カフタという村の60歳代の女性)の娘で
その母親の看病をしていたことから発症の危険性の高い接触者とされていました。900人以上がその感染連鎖として発症する可能性から登録されていますが、大半は曝露歴よりも地理的に近い所にいたということで登録されており、発症のリスクは低いと考えられています。しかしながらこれまでに40人を超える高リスク接触者が同定されています。先の60歳女性の感染源についてはまだ調査中です。
・9月6日の週には医療従事者の新規感染例は報告されていません。流行が始まって以降医療従事者の感染者数は流行3か国で合計881人であり、うち513人が死亡しています。
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて28,141人のEVD患者が発生しており、11,291人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています(表1)。9月6日の週に、ギニアで1人、シエラレオネで1人の新たな確定例が報告されました。
・診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人は
ギニアとリベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。
・9月6日の週には医療従事者の新規感染例は報告されていません。流行が始まって以降医療従事者の感染者数は流行3か国で合計881人であり、うち513人が死亡しています。
初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・リベリアは2015年9月3日にヒトにおけるエボラ出血熱の終息宣言をしました。これで最後の診断確定患者がEVD検査で陰性が確定してから42日が経過したことになります。また最後の患者が発症してから56日目になります。現在同国は90日の監視強化期間に入っています。検体処理の所要時間も早くなり、検査の処理能力は向上しています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
・表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※リベリアは2015年9月3日にEVD流行の終息が宣言されました。
継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した集団発生を構成していると考えられています。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
・ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
§データは2015年5月9日までのものです。
要約
・9月6日までの1週間に合計2人(ギニア1人、シエラレオネ1人)のEVD確定例が報告されました。
全体的な患者発生は、6週間連続して1週に2-3人と安定しています。感染連鎖は3つあり、そのうち2つが
ギニアのコナクリ内とその周辺での連鎖であり、あと1つがシエラレオネのカンビア西部地域の連鎖です。
ギニアのフォレカリアに存在した感染連鎖についてはこの週で監視期間を終了しました。加えてリベリアは
9月3日をもってマルジビでの患者の集団と関連して発生した診断確定患者の治療が終了し、検査が陰性であったことから2度目の終結宣言となりました。リベリアは90日の監視強化期間に入っています。ギニアと
シエラレオネでの観察中の接触者は8月30日の450人あまりから9月6日には1,300人あまりとなっています。この増加にはシエラレオネのカンビアの病院外で前週末に死亡した1人の患者の発生が大きく関与しています。今回登録された2人の患者は過去ギニアのコナクリ、シエラレオネのカンビアの同地域で発生した患者との接触者として登録されていました。ギニアの患者はさらに感染を起こさせる危険性の高い患者と考えられていました。そのためしばらくはさらなる患者が発生する可能性があります。
・9月6日までの1週間にギニアから報告のあった診断確定患者は首都コナクリのラトマ地区で発症しました。患者は13歳の女子で、それ以前2週間の間に同地区で発生した患者2人の親戚であり接触歴がありました。
発症後早期の短期間彼女はフォローアップをされていなかったためにさらなる感染源となる危険性が高いとみなされています。診断が確定し、エボラ治療センターに収容され、追跡調査が開始されるまでにこの患者は
いくつかの私立の医療機関を受診しています。9月6日現在ギニアでは2ヶ所の隣接する県で292人の接触者がフォローアップ中です(コナクリで266人、ドゥブレカ26人)。フォレカリアでフォローアップされていた最後の接触者は今週で監視を終了しています。
・シエラレオネで今週新たに登録された診断確定患者は1人でした。患者は前週に死後の検査でEVD陽性と
判明した患者(カンビアの首長地域であるトンコリンバのセラ・カフタという村の60歳代の女性)の娘で
その母親の看病をしていたことから発症の危険性の高い接触者とされていました。900人以上がその感染連鎖として発症する可能性から登録されていますが、大半は曝露歴よりも地理的に近い所にいたということで登録されており、発症のリスクは低いと考えられています。しかしながらこれまでに40人を超える高リスク接触者が同定されています。先の60歳女性の感染源についてはまだ調査中です。
・9月6日の週には医療従事者の新規感染例は報告されていません。流行が始まって以降医療従事者の感染者数は流行3か国で合計881人であり、うち513人が死亡しています。
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて28,141人のEVD患者が発生しており、11,291人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています(表1)。9月6日の週に、ギニアで1人、シエラレオネで1人の新たな確定例が報告されました。
・診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人は
ギニアとリベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。
・9月6日の週には医療従事者の新規感染例は報告されていません。流行が始まって以降医療従事者の感染者数は流行3か国で合計881人であり、うち513人が死亡しています。
初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・リベリアは2015年9月3日にヒトにおけるエボラ出血熱の終息宣言をしました。これで最後の診断確定患者がEVD検査で陰性が確定してから42日が経過したことになります。また最後の患者が発症してから56日目になります。現在同国は90日の監視強化期間に入っています。検体処理の所要時間も早くなり、検査の処理能力は向上しています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,338 |
6 |
2,078 |
可能性例 |
452 |
未報告 |
452 |
|
疑い例 |
2 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,792 |
6 |
2,530 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
- |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
- |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
- |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
- |
4,806 |
|
リベリア※ |
確定例 |
6 |
0 |
2 |
可能性例 |
0 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
データなし |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
6 |
0 |
2 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,699 |
2 |
3,587 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
4,697 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
13,683 |
2 |
3,953 |
|
総数 |
確定例 |
15,194 |
8 |
データなし |
可能性例 |
2,618 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
10,335 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
28,147 |
8 |
11,291 |
※リベリアは2015年9月3日にEVD流行の終息が宣言されました。
継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した集団発生を構成していると考えられています。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,594 |
1,739 |
531 |
1,898 |
860 |
(29) |
(32) |
(11) |
(41) |
(55) |
|
リベリア§ |
1,911 |
1,838 |
561 |
2060 |
703 |
(96) |
(93) |
(33) |
(121) |
(132) |
|
シエラレオネ |
4,813 |
5,102 |
1,989 |
5,616 |
2,138 |
(169) |
(176) |
(82) |
(217) |
(289) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
§データは2015年5月9日までのものです。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 9September 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-9-september-2015