(No.146)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例(203)-サウジアラビア
平成27年9月9日更新

 2015年9月1日から5日の間にサウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口は(WHO)に対してあらたに
25人の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染患者を報告しました。10人は現在リヤド市の一つの病院で発生しているアウトブレイクと関連しています。

患者の詳細は以下の通りです。

①リヤド在住の外国籍の51歳男性は8月30日に発症し、9月2日に入院しました。患者は9月5日の検査でMERS-CoV診断が確定しました。現在病棟の陰圧隔離室に収容され、状態は安定しています。発症前2週間
以内に患者はMERS-CoVのアウトブレイクが発生している病院を慢性疾患のために頻回に受診していました。病院でのMERS-CoV患者や共通で患者を担当した医療従事者について疫学的繋がりの調査が行われています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

②リヤド在住の61歳の男性は9月1日に発症し、4日に入院しました。患者には合併症があります。入院翌日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

③リヤド在住の45歳の男性は8月29日に発症し、9月3日に入院しました。患者には合併症があります。
入院翌日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在ICUに収容されており、重篤な状態です。患者は
ラクダに頻回に接触しており、ラクダの生乳の喫食歴があります。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

④リヤド在住の外国籍の医療従事者30歳男性は9月3日に発症し,同日勤務先の病院に入院しました。同病院ではMERS-CoVのアウトブレイクが発生していました。患者には合併症はありません。9月5日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在状態は安定しており、病棟の陰圧隔離室に収容されています。病院内におけるMERS-CoV患者との疫学的な繋がりについて調査中です。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

⑤アルカルジ在住の45歳の男性は9月1日に発症し、翌日入院となりました。患者には合併症はありません。9月3日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在患者は病棟の陰圧隔離室に収容されており,状態は
安定しています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

⑥リヤド在住の外国籍の医療従事者24歳女性は9月1日に発症し,同日勤務先の病院に入院しました。同病院ではMERS-CoVのアウトブレイクが発生していました。患者には合併症はありません。9月3日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在状態は安定しており、自宅で隔離状態となっています。病院内におけるMERS-CoV患者との疫学的な繋がりについて調査中です。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

⑦リヤド在住の76歳の男性は8月9日から他疾患で入院していましたが8月31日に発症しました。同病院ではMERS-CoVのアウトブレイクが発生していました。患者には合併症があります。9月2日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在ICUに収容されており、重篤な状態です。病院でのMERS-CoV患者や共通で患者を担当した医療従事者について疫学的繋がりの調査が行われています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

⑧アルンマス(Alnmas)在住の60歳女性は8月31日に発症し,翌日入院しました。患者には合併症があります。9月3日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。患者は現在病棟の陰圧隔離室に収用されており、
状態は安定しています。患者は既報202のNo.14の診断確定患者と接触しています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

⑨アルンマス在住の65歳男性は8月31日に発症し、翌日入院しました。患者には合併症があります。9月3日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており,状態は安定しています。患者は既報202のNo.14の診断確定患者と接触しています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

⑩リヤド在住の73歳男性は9月2日に発症し、同日入院となりました。患者には合併症があります。9月3日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在ICUに収容されており、重篤な状態です。患者は頻回にラクダとの接触歴があり、ラクダの生乳を喫食しています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴は
ありません。

⑪ナジラーン(Najran)在住の46歳男性は8月31日に発症し、翌日入院しました。患者には合併症はありません。9月2日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在、病棟の陰圧隔離室に収容されており、
状態は安定しています。患者は既報202のNo.11の診断確定患者と接触歴があります。発症前2週間以内に
他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

⑫アルカルジ(Al-Kharj)在住の36歳の女性は8月24日に発症し、8月29日に入院となりました。患者には
合併症があります。8月31日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。患者の現在の状態については不明です。発症前2週間以内の既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

⑬リヤド在住の外国籍の医療従事者29歳女性は8月31日に発症し,同日入院となりました。入院先の病院ではMERS-CoVのアウトブレイクが発生しています。患者には合併症があります。9月2日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており,状態は安定しています。病院でのMERS-CoV患者との疫学的なつながりについての調査が行われています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への
曝露歴はありません。

⑭リヤド在住の外国籍の医療従事者44歳女性は8月28日発症し、8月30日に勤務先の病院に入院しました。
同病院ではMERS-CoVのアウトブレイクが発生しています。患者には合併症はありません。8月31日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在患者は病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。病院でのMERS-CoV患者との疫学的なつながりについての調査が行われています。発症前2週間以内に
他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

⑮リヤド在住の16歳の少年は8月21日から他疾患で入院中でしたが8月28日に発症しています。同病院ではMERS-CoVのアウトブレイクが発生しています。8月30日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。
現在患者はICUに収容されており,重篤な状態です。病院でのMERS-CoV患者や共通で患者を担当した医療従事者について疫学的繋がりの調査が行われています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴は
ありません。

⑯リヤド在住の30歳女性は8月16日から他疾患で入院中でしたが8月28日に発症しました。同病院ではMERS-CoVのアウトブレイクが発生しています。8月30日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。
現在ICUに収容されており,重篤な状態です。病院でのMERS-CoV患者や共通で患者を担当した医療従事者について疫学的繋がりの調査が行われています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

⑰リヤド在住の外国籍の医療従事者27歳男性は8月31日に発症し、同日勤務先の病院に入院しました。
同病院ではMERS-CoVのアウトブレイクが発生しています。患者には合併症はありません。9月02日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。
病院内での可能性のあるMERS-CoV患者との繋がりについて調査中です。

⑱リヤド在住の外国籍の医療従事者53歳男性は8月28日に発症し、勤務先の病院に8月31日に入院しました。患者には合併症はありません。9月02日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。患者は既報196のNo.18 の診断確定患者に医療行為を実施していました。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

⑲リヤド在住の外国籍の医療従事者40歳男性は9月1日に発症し勤務先の病院に同日入院しました。患者には合併症はありません。9月02日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在自宅で隔離されており、状態は安定しています。患者は既報202のNo.1の患者に医療行為を行っていました。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

⑳ナジュラン在住の32歳の女性は8月30日に発症し、翌日入院しました。患者は妊娠中であり、合併症はありません。9月1日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており、
状態は安定しています。患者は既報202のNO.11の診断確定患者と接触があります。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

㉑ナジュラン在住の50歳の女性は8月29日に発症し翌日入院となりました。患者には合併症があります。
8月31日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。患者は既報202 のNo.11の診断確定患者との接触歴があります。発症前2週間以内に他の既知の
危険因子への曝露歴はありません。

㉒リヤド在住の外国籍の44歳男性は8月29日に発症し、翌日入院となりました。8月31日の検査でMERS-CoVの診断が確定しています。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。患者は定期的にMERS-CoVのアウトブレイクのあった病院を受診していました。病院でのMERS-CoV患者や共通で患者を担当した医療従事者についての疫学的繋がりの調査が行われています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

㉓リヤド在住の31歳の男性は8月26日に発症し、31日に入院しました。患者には合併症はありません。
9月1日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在ICUに収容されており、重篤な状態です。発症前
2週間以内の既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

㉔リヤド在住の51歳女性は8月10日から他疾患のために入院していましたが同病院ではMERS-CoVのアウトブレイクが発生しています。患者は8月14日に退院しています。その後8月27日に発症し、8月30日に
その病院に再入院しています。入院翌日の検査でMERS-CoVの診断が確定しています。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。病院でのMERS-CoV患者や共通で患者を担当した医療従事者について疫学的繋がりの調査が行われています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

㉕リヤド在住の47歳男性は8月24日に発症し、8月28日に入院しました。患者は8月30日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。発症前2週間以内に他の疾患のためにMERS-CoVのアウトブレイクのあった病院を受診しています。病院でのMERS-CoV患者や共通で患者を担当した医療従事者について疫学的繋がりの調査が行われています。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

 上記の患者について、家庭内及び医療従事者で接触した人の追跡調査が実施されています。
サウジアラビアのIHRはWHOに対して既報202の患者のうちNo.12.14.18.の3人と既報200の患者のうちNo.1.11の2人を合わせて5人が死亡したことを報告しました。

 2012年9月以降、WHOには全世界で1,542人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、うち544人が関連死しています。


【出典】
 WHO Disease outbreak news
 Middle East Respiratory Syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia
 http://www.who.int/csr/don/09-september-2015-mers-saudi-arabia/en/