(No.157)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例(207)-サウジアラビア
平成27年9月27日更新

 2015年9月12日から18日までの間に、サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口はWHO
(世界保健機関)に対して、新たに13人(うち死亡者1人)の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)
感染確定例を報告しました。
詳細は以下の通りです。

1. ジェッダ市在住の30歳の男性は、9月11日に発症し16日に入院しました。患者は合併症がなく、18日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。患者はリヤド市への
旅行歴があり、9月3日にジェッダ市に戻っています。発症前14日以内のジェッダ市とリヤド市での
既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

2. ジェッダ市在住の72歳の女性は、ヨルダンのアンマン市に旅行し8月9日に治療のために旅行先で
入院しました。この病院では、既報患者(更新205の1例目、更新199の2例目)が報告されています。
患者は8月22日に退院して、同日にジェッダ市に戻りました。その後、8月30日に発症して、同日に
入院しました。8月31日から9月4日までの間、既報患者(更新207の12例目)の看護を受けました。
発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴はありません。患者は合併症があり、9月16日に
MERS-CoV陽性が検出されました。現在、ICUに入院中で危篤状態です。

3. リヤド市在住の63歳の男性は、9月16日に発症し同日に入院しました。13日に同病院で治療を
受けていました。患者は合併症があり、17日にMERS-CoV陽性が検出されました。18日に死亡しました。
病院内でのMERS-CoV感染確定例との疫学的な関連について調査中です。

4. リヤド市在住の14歳の少年は、接触者の追跡調査中の9月17日に無症状でMERS-CoV陽性が検出
されました。患者は合併症がなく、MERS-CoV感染確定例(下記5例目)との接触歴があります。
発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴はありません。現在、自宅隔離中で症状はまだ
ありません。

5. リヤド市在住の38歳の外国籍の男性は、9月12日に発症し14日に入院しました。患者は合併症がなく、
15日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。
発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴について調査しています。

6. リヤド市在住の21歳の女性は、9月11日に発症し14日に入院しました。患者は合併症がなく、15日に
MERS-CoV陽性が検出されました。現在、自宅隔離中で安定した状態です。発症前14日以内の他の既知の
危険因子への曝露歴について調査しています。

7. アルクウェイヤー市在住の60歳の男性は、9月13日に発症し9月14日に入院しました。患者は合併症
があり、15日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。
既報患者(更新204の9例目)との接触歴があります。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴は
ありません。

8. リヤド市在住の医療従事者で29歳の外国籍の女性は、9月11日に発症し12日に自身が勤務する病院とは
別の病院に入院しました。この病院はMERS-CoVの集団感染が発生していません。患者は合併症がなく、
14日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。
勤務していた病院内でのMERS-CoV感染確定例との疫学的な関連の可能性について調査しています。
発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

9. リヤド市在住の医療従事者で28歳の外国籍の女性は、9月11日に発症し同日に自身が勤務する病院に
入院しました。この病院でMERS-CoVの集団感染が発生しています。患者は合併症がなく、13日に
MERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。この病院内での
MERS-CoV感染確定例との疫学的な関連について調査しています。発症前14日以内の他の既知の危険因子
への曝露歴はありません。

10. マディーナ市在住の30歳の男性は、9月4日に発症し6日に入院しました。患者は合併症がなく、7日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、ICUに入院中で危篤状態です。発症前14日以内にリヤド市への
旅行歴があります。リヤド市での既知の危険因子への曝露歴について調査しています。

11. マディーナ市在住の医療従事者で34歳の外国籍の女性は、9月8日に発症し9日に自身が勤務する病院に
入院しました。この病院はMERS-CoVの集団感染が発生しています。患者は合併症がなく、10日に
MERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。
既報患者(更新202の8例目)の治療を担当していました。発症前14日以内の他の既知の危険因子への
曝露歴はありません。

12. ジェッダ市在住の医療従事者で24歳の外国籍の女性は、9月4日に発症し10日に自身が勤務する病院に
入院しました。患者は合併症がなく、10日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、ICUに入院中で
危篤状態です。患者はフィリピンへの最近の渡航歴があり、MERS-CoV感染確定患者(上記2例目)の
治療を担当していました。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴について調査しています。

13. リヤド市在住の71歳の女性は、9月6日に発症し9月9日に入院しました。患者は合併症があり、11日に
MERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。発症前14日以内の
他の既知の危険因子への曝露歴について調査しています。

 報告された患者について、家庭内及び医療従事者で接触した人の追跡調査が実施されています。加えて、
サウジアラビアのIHR担当窓口は、既報患者10人(更新204の3,5,13例目、更新203の3例目、
更新202の4,22例目、更新200の13例目、更新198の1例目、更新197の2,9例目)が死亡したことをWHOに報告しました。
 2012年9月以降、WHOには全世界で1,583人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、うち566人が
関連死しています。

【出典】
 WHO, Global Alert and Response (GAR).
 Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia,
 27 September 2015
 http://www.who.int/csr/don/27-september-2015-mers-saudi-arabia/en/