エボラ出血熱の流行状況(59)
平成27年9月30日更新
要約
1.9月27 日末の週に、エボラウイルス感染症(EVD)確定例が4人報告されました。すべてギニアからの
報告です。今年の7月末から症例の発生数が1週間に10人未満に留まっています。同時期からウイルスの感染伝播は地理的にはギニア西部とシエラレオネのいくつかの小さな地域に限られており、感染の流行は第3段階に移行してきています。影響のあった地域における迅速かつ正確な症例調査や接触者追跡、迅速な隔離や
治療、効果的な介入、これらの改善が症例の発生数を現在の低い水準まで減らすのに重要な役割を
果たしました。EVDにおける省庁間の協力体制の調整が行われ、第3期の取り組みが洗練されれば、症例数をゼロとすることができ、EVDの伝播を継続して終焉できるでしょう。(流行地域からの伝播か、宿主動物からの伝播のどちらかからの)ウイルスの再侵入か生存者のウイルスの再出現を迅速に同定するための強化された監視能力、生存者の福祉を守るための包括的なパッケージの一部としての検査能力やカウンセリング能力の
改善、(ワクチンから迅速診断検査までの)革新的な技術の使用増加が第3期の対策の枠組みの中心です。
2.今週に報告されたギニアの有症者4例はいずれもフォレカリア在住です。彼らは首都コナクリのラトマの旅行から帰宅した10歳の女児への接触者として登録されていました。4人のうち2人はその女児を治療した
伝統的医療を施す施術者でした。現在ギニアでは450人以上の接触者が監視中です。うち1人はラトマでの
感染連鎖と関連した接触者がゼレコレに転居したためにゼレコレでの監視となっています。多くの接触者(311人)はフォレカリアに存在市、うちコナクリは147人となっています。すべての接触者はラトマでの
感染連鎖と関連しています。9月28日から10月1日にかけてコナクリのディキシン自治区とラトマで
900世帯を訪問し、活発な症例探しが行われています。
3.シエラレオネでは9月27日末の週には新たな患者の発生はありませんでした。2週間連続して新規患者
発生はありません。9月13日に報告のあった最終患者との接触者700人以上がボンバリで監視中です。
カンビアでの感染連鎖での接触者はすべて9月28日で監視を終了する予定です。
4.現在EVDの影響を受けていない地域でのEVDの再侵入や再出現を迅速に検出することを確実にする
ために、しっかりとした監視方法が不可欠です。9月27日末の週にギニア全体で784検体が稼働中の
検査機関8ヶ所で検査されました。収集された検体の地理的な分布の分析ではギニア34県中18県で、
1週間のうちにEVDの生きた患者あるいは死体から如何なる検体も収集されていないことを示しています。
リベリアでは9月27日末の週に100%(15中、15全て)の地区から1373検体が集められました。
モントセラドに4番目の検査機関が開設され検体処理能力がアップしました。同時期にシエラレオネでは100%(14中14全て)の地区から1969検体が集められ、稼働中の検査機関9ヶ所で検査されました。
3か国での監視は第3期の枠組みに沿って強化される予定です。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて28,388人のEVD患者が発生しており、11,296人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者
および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています(表1)。9月27日末の週に、ギニアで新たな
確定例が4人報告されました。
2.診断確定例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人はギニアと
リベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。45歳以上の成人では
ギニアで約5倍、リベリアとシエラレオネで約4倍となっています。
3.9月27日末の週に、医療従事者の新たな感染例は報告されませんでした。流行が始まって以降、
医療従事者の感染者例は流行3か国で合計881人となっており、うち513人が死亡しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
1.リベリアは、最後の確定患者がEVD検査で陰性が確認されてから42日が経過したため、2015年9月3日
に終息を宣言しました。現在、最後の患者が発生してから78日目になり、90日間の強化監視期間に
入りました。
9月27日末の週に15地区から1373検体が集められました。モントセラドで検査機関が開設されたことに
はじまり、同国では検査機関が増え合計4施設になりました。検体の88%が9月27日末の週に生存している
疑い例から採取した血液検体となりました。
2.イタリア、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の7か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が以前報告されました。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されました。継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。2015年5月9日以降に報告
された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した集団発生を構成していると
考えられています。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
§ リベリアのデータは2015年5月9日までのものです。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 30 September 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-30-september-2015
1.9月27 日末の週に、エボラウイルス感染症(EVD)確定例が4人報告されました。すべてギニアからの
報告です。今年の7月末から症例の発生数が1週間に10人未満に留まっています。同時期からウイルスの感染伝播は地理的にはギニア西部とシエラレオネのいくつかの小さな地域に限られており、感染の流行は第3段階に移行してきています。影響のあった地域における迅速かつ正確な症例調査や接触者追跡、迅速な隔離や
治療、効果的な介入、これらの改善が症例の発生数を現在の低い水準まで減らすのに重要な役割を
果たしました。EVDにおける省庁間の協力体制の調整が行われ、第3期の取り組みが洗練されれば、症例数をゼロとすることができ、EVDの伝播を継続して終焉できるでしょう。(流行地域からの伝播か、宿主動物からの伝播のどちらかからの)ウイルスの再侵入か生存者のウイルスの再出現を迅速に同定するための強化された監視能力、生存者の福祉を守るための包括的なパッケージの一部としての検査能力やカウンセリング能力の
改善、(ワクチンから迅速診断検査までの)革新的な技術の使用増加が第3期の対策の枠組みの中心です。
2.今週に報告されたギニアの有症者4例はいずれもフォレカリア在住です。彼らは首都コナクリのラトマの旅行から帰宅した10歳の女児への接触者として登録されていました。4人のうち2人はその女児を治療した
伝統的医療を施す施術者でした。現在ギニアでは450人以上の接触者が監視中です。うち1人はラトマでの
感染連鎖と関連した接触者がゼレコレに転居したためにゼレコレでの監視となっています。多くの接触者(311人)はフォレカリアに存在市、うちコナクリは147人となっています。すべての接触者はラトマでの
感染連鎖と関連しています。9月28日から10月1日にかけてコナクリのディキシン自治区とラトマで
900世帯を訪問し、活発な症例探しが行われています。
3.シエラレオネでは9月27日末の週には新たな患者の発生はありませんでした。2週間連続して新規患者
発生はありません。9月13日に報告のあった最終患者との接触者700人以上がボンバリで監視中です。
カンビアでの感染連鎖での接触者はすべて9月28日で監視を終了する予定です。
4.現在EVDの影響を受けていない地域でのEVDの再侵入や再出現を迅速に検出することを確実にする
ために、しっかりとした監視方法が不可欠です。9月27日末の週にギニア全体で784検体が稼働中の
検査機関8ヶ所で検査されました。収集された検体の地理的な分布の分析ではギニア34県中18県で、
1週間のうちにEVDの生きた患者あるいは死体から如何なる検体も収集されていないことを示しています。
リベリアでは9月27日末の週に100%(15中、15全て)の地区から1373検体が集められました。
モントセラドに4番目の検査機関が開設され検体処理能力がアップしました。同時期にシエラレオネでは100%(14中14全て)の地区から1969検体が集められ、稼働中の検査機関9ヶ所で検査されました。
3か国での監視は第3期の枠組みに沿って強化される予定です。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて28,388人のEVD患者が発生しており、11,296人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者
および疑い患者から報告された死亡者を含みます)しています(表1)。9月27日末の週に、ギニアで新たな
確定例が4人報告されました。
2.診断確定例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人はギニアと
リベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。45歳以上の成人では
ギニアで約5倍、リベリアとシエラレオネで約4倍となっています。
3.9月27日末の週に、医療従事者の新たな感染例は報告されませんでした。流行が始まって以降、
医療従事者の感染者例は流行3か国で合計881人となっており、うち513人が死亡しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
1.リベリアは、最後の確定患者がEVD検査で陰性が確認されてから42日が経過したため、2015年9月3日
に終息を宣言しました。現在、最後の患者が発生してから78日目になり、90日間の強化監視期間に
入りました。
9月27日末の週に15地区から1373検体が集められました。モントセラドで検査機関が開設されたことに
はじまり、同国では検査機関が増え合計4施設になりました。検体の88%が9月27日末の週に生存している
疑い例から採取した血液検体となりました。
2.イタリア、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の7か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が以前報告されました。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,344 |
6 |
2,080 |
可能性例 |
453 |
未報告 |
453 |
|
疑い例 |
8 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,805 |
6 |
2,533 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
- |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
- |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
- |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
- |
4,806 |
|
リベリア※2 |
確定例 |
6 |
0 |
2 |
可能性例 |
未報告 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
データなし |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
6 |
0 |
2 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,704 |
6 |
3,589 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
4,920 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
13,911 |
5 |
3,955 |
|
総数 |
確定例 |
15,205 |
11 |
データなし |
可能性例 |
2,619 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
10,564 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
28,388 |
11 |
11,296 |
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されました。継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。2015年5月9日以降に報告
された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した集団発生を構成していると
考えられています。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,596 |
1,742 |
532 |
1,902 |
861 |
(29) |
(32) |
(11) |
(41) |
(55) |
|
リベリア§ |
1,911 |
1,838 |
561 |
2,060 |
703 |
(96) |
(93) |
(33) |
(121) |
(132) |
|
シエラレオネ |
4,823 |
5,118 |
1,992 |
5,636 |
2,140 |
(169) |
(176) |
(82) |
(218) |
(290) |
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
§ リベリアのデータは2015年5月9日までのものです。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 30 September 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-30-september-2015