(No.165)

イラクにおけるコレラの流行(2)
2015年10月12日更新

 イラクの国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関(WHO)に対して、コレラが流行していることを
報告しました。

 10月8日時点で1,263人からコレラ菌O1稲葉型の診断確定報告があります。これらの症例は少なくとも
15県から報告されています。バビロン県で469人、バグダッド県で304人、カーディーシーヤ県で146人、
ムサンナー県で155人、バスラ県で61人、ワーシト県で41人、カルバラー県で33人、ナジャフ県で32人、
ジーカール県で6人、マイサーン県で6人、ディヤーラー県で2人、アルビール県で2人、キルク-ク県で2人、サラーフッディーン県で1人、スレイマニヤ県で1人です。

公衆衛生上の対策
 保健省(MoH)率いるコレラ対策部隊はこの流行に対し、多部門との連携を強化するため、コレラの
コマンド&コントロールセンターを設立しました。流行している県では監視強化により地域内での
発生調査を向上し、症例管理が現在コレラの症例がある全ての医療施設で標準化されつつあります。
 コレラの流行地域、特に国内避難民や難民がいるキャンプでは、ボトルに入った飲料水やウォーター
サーバー、衛生道具、漂白剤、塩素剤などの配布、給水場所の設立、医療施設での浄化槽の消毒などの
衛生活動、下水処理場を含めた標的である衛生設備の改善の実施、トイレや入浴施設の清掃とゴミ収集の
適正化、ソーシャルメディアや国のラジオ番組、SMSメッセージ、訪問キャンペーンなどを通じてコレラ
予防に対する重要なメッセージの普及などを含め、防災準備活動が進められています。
さらに経口コレラワクチンを国際市場から集めるために国際調整団体で議論が進行中です。ワクチン接種の
優先グループを決めるためのリスク評価を行い、ワクチン接種計画を進めています。

 WHOはこの流行に対応するMOHを支援するために地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク(GOARN)の国際専門家のチームを雇いました。またコレラ対応の国際支援の追加要求としてGORANの
技術協力者を送っています。
 今回のコレラの流行に対し、WHOはいかなる渡航や貿易の制限を推奨していません。


【出典】
 WHO Disease outbreak news
 Cholera – Iraq
 http://www.who.int/csr/don/12-october-2015-cholera/en/