(No.167)

中国における鳥インフルエンザA(H7N9)について
10月19日更新分

 14日、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は、新たに2例の鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)の診断確定例を世界保健機関(WHO)に報告しました。

患者の詳細は以下の通りです。

 患者は浙江省湖州市在住の55歳女性と同省金華市在住の53歳男性で、それぞれ9月18日と21日に
発症しています。両患者とも生きた家禽および家禽市場での鳥との接触があります。報告された2例の間に
疫学的な関連はありません。

公衆衛生上の対応

中国政府は、以下のようなサーベイランスと対策を実施しています。
 ・サーベイランス及び発生状況分析の強化
 ・患者管理と治療の再強化
 ・市民とのリスクコミュニケーションと情報の提供

 WHOは、厳重に鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況の監視とリスク評価を継続しています。
これまでのところ、全体的なリスク評価は変わっていません。
 2015年6月時点で、国際連合食糧農業機関(FAO)は同国の複数の省において生きた家禽間で、
鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの検出が続いていると報告しています。前年度の傾向から、
ウイルスのヒト感染例は今後数ヶ月にわたって増加する可能性があります。また、散発的なヒト感染例は
流行地域および近隣地域で散発的に発生することが予想されます。流行地域から感染者が海外に渡航する
場合、移動中もしくは到着後に感染が発見されるかもしれません。このような事例が発生しても、
ウイルスは容易にヒトからヒトへの感染能力を持っていないので、地域での感染の拡がりは起こりにくい
と考えられます。

WHOのアドバイス

WHOは、流行地域への渡航者に対して養鶏場や生きた鳥市場での動物との接触、堵殺がなされている
場所への立入り、家禽や他の動物の糞で汚染されているとみられる場所や部位との接触等を避けるよう
勧告しています。渡航者に石けん水を用いての頻回の手洗いも推奨しています。また食品安全と衛生習慣を
順守するべきとしています。

 WHOは、入国ポイントでの特別なスクリーニングや、いかなる渡航・貿易制限も勧告していません。
鳥インフルエンザの流行地域に滞在中、もしくは帰国後直ぐに急性呼吸器症状を呈した場合、
常に鳥インフルエンザへの感染を鑑別診断として考慮すべきです。

 WHOは国際保健規則(2005)に基づき、各国にSARI(重症急性呼吸器感染)を含むインフルエンザの
調査を強化し、通常見られない事例は常に注意深く検証するよう求めています。さらに、国民の健康に
備える活動を続けていくことを求めています。



【出典】
 WHO, Global Alert and Response (GAR).
 Human infection with avian influenza A(H7N9) virus – China 19 October 2015
 http://www.who.int/csr/don/19-october-2015-avian-influenza-china/en/