(No.169)

ブラジル、コロンビアにおけるジカウイルス感染症
2015年10月21日

 2015年10月8日から16日の間にブラジル及びコロンビアの国際保健規則(IHR)担当窓口は、
全米保健機構(PAHO)と世界保健機関(WHO)に対してジカウイルス感染症例を報告しました。

ブラジル
 2015年5月にブラジルの公衆衛生専門家はジカウイルスへの地域内感染が同国の北東部であったことを
報告しました。10月8日までに同様な地域でのジカウイルス感染例は14州で報告されています。
アラゴアス、バイーア、セアラ、マラニョン、マットグロッソ、パラー、パラナ、パライバ、
ペルナンブコ、ピアウィ、リオデジャネイロ、リオグランデドノルテ、ロライマ、サンパウロの各州です。国家あるいは州レベルで行われている公衆衛生対策としてはジカウイルスに対する監視サーベイランスの
拡大、神経学的症候のサーベイランスプロトコールの拡大と有効化、媒介蚊のコントロールなどが
あげられます。

コロンビア
 10月16日現在、ボリーバル県の98検体(内13検体はカルタヘナから、85検体はトゥルバコから)のうち
9検体からジカウイルス陽性となっています。同国ではジカウイルス例がみつかったのは初めての事です。

背景
 ジカ熱は蚊媒介性のジカウイルスによって起こるウイルス感染症です。症状は軽度の発熱と、大抵は
斑状丘疹状の発疹、頭痛、関節痛、筋肉痛、脱力感、非化膿性の結膜炎などで蚊にさされてから3-14日の
潜伏期後に発症します。4人に1人くらいは無症候性ですが感染者は通常2-7日間軽い症状が持続します。
同じ蚊媒介性のデング熱と症状が似ています。2014年以来、ジカウイルスの地域循環はアメリカ大陸で
認められています。2014年2月にはチリの公衆衛生当局はイースター島で同ウイルスへの地域での感染
1例目を確認しており、同年6月までに何例かが報告されています。最近の世界の異なる地域でのジカ熱の
アウトブレイクは媒介動物であるシマカの生息している地域での同アルボウイルスの拡大の可能性を
示しています。

WHOの勧告
 ジカウイルスがアメリカ大陸での発生地域を広めていることを考慮すると、全米保健機構、WHOは
加盟国に対してジカウイルス感染例の把握と探索、すべての医療レベルにおいて発生するであろうさらなる
負担に対する医療サービスの準備、特に媒介蚊の存在する地域において蚊を減らすための有効な
地域社会での戦略的強化を推奨しています。




【出典】
 WHO, Global Alert and Response (GAR).
 Zika virus infection – Brazil and Colombia  21 October 2015
 http://www.who.int/csr/don/21-october-2015-zika/en/