(No.174)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例(214)-サウジアラビア
平成27年10月29日更新

 2015年10月17日から24日までの間に、サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口はWHO
(世界保健機関)に対して、1人の死亡を含む中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を
新たに12人報告しました。

詳細は以下の通りです。

1.アルカルジ市在住の45歳他国籍男性は10月22日に発症し、入院しました。患者には基礎疾患が
あります。10月23日の検査でMERS-CoV診断が確定しましたが、同日患者は死亡しています。
発症前2週間以内における既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

2.リヤド市在住の60歳の女性は10月13日に発症し、22日に入院しました。患者には基礎疾患が
あります。10月23日の検査でMERS-CoVの診断が確定しています。現在ICUに収容されており、
危篤状態です。発症前2週間以内における既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

3.リヤド市在住の47歳他国籍の医療従事女性は10月15日に発症し、19日に入院しました。患者には
基礎疾患はありません。10月21日の検査でMERS-CoVの診断が確定しています。現在病棟の陰圧隔離室
に収容されており、状態は安定しています。患者は既報212-No.1の患者の治療にあたっていました。
発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

4.リヤド市在住の28歳他国籍女性は10月16日に発症し、入院しました。患者には基礎疾患は
ありません。10月21日の検査でMERS-CoVの診断が確定しています。現在病棟の陰圧隔離室に収容
されており、状態は安定しています。患者はMERS-CoVのアウトブレイクのあった宿舎で暮らして
いました。発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。同宿舎での過去の患者との
疫学的な繋がりについては調査中です。

5.フフーフ市在住の75歳男性は10月8日から慢性の他疾患で入院中でしたが10月20日に発症しました。
21日の検査でMERS-CoVの診断が確定しています。現在ICUに収容されており、危篤状態です。患者は
下記10番目の患者が入院していた同じ病棟に入院していました。発症前2週間以内に他の既知の危険因子
への曝露歴はありません。下記10番目の患者あるいはその患者を同じく担当した医療従事者との疫学的な
繋がりについては調査中です。

6.リヤド市在住の52歳他国籍女性は無症候ですが接触者の調査で診断が確定しています。患者には
基礎疾患があり、10月21日の検査でMERS-CoVの診断が確定し、同日入院となっています。現在無症候で
状態は安定していますが病棟の陰圧隔離室に収容されています。患者はMERS-CoVのアウトブレイックの
あった宿舎にいたということ以外に既報212-No4の患者との接触歴があります。発見前2週間以内に他の
既知の危険因子への曝露歴はありません。

7.フフーフ市在住の37歳男性は10月8日に発症し、11日に入院しました。患者には基礎疾患があり、
10月17日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在ICUに収容されており、危篤状態です。患者は
ヒツジを所有しており、濃厚な接触があります。さらに発症前2週間以内にラクダとの接触もあります。
発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

8.リヤド市在住の29歳他国籍女性は接触者の追跡調査で発見されています。10月15日に発症し、翌日に
入院となっています。患者には基礎疾患はなく、10月18日の検査でMERS-CoVの診断が確定されて
います。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。患者はMERS-CoVの
アウトブレイクのあった宿舎で生活しており、さらに既報212-No4 の患者との接触歴があります。
発見前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

9.リヤド市在住の61歳女性は10月14日に発症し、16日に入院しました。患者には基礎疾患があります。
10月18日の検査でMERS-CoVの診断が確定しています。現在ICUに収容されており、危篤状態です。
発症前2週間以内における既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

10.フフーフ市在住の76歳男性は10月3日に発症し、14日に入院しました。患者には基礎疾患があります。10月16日の検査でMERS-CoVの診断が確定しています。現在、病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。発症前2週間以内における既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

11.アルダワドミ市在住の65歳男性は10月11日に発症し、16日に入院となりました。患者には基礎疾患があります。10月17日の検査でMERS-CoVの診断が確定しました。現在患者は病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。発症前2週間以内における既知の危険因子への曝露歴は調査中です。

12.リヤド市在住の29歳他国籍女性は接触者の追跡調査で発見されています。10月13日に発症し
、翌日入院となっています。患者には基礎疾患があります。10月17日の検査でMERS-CoVの診断が確定
しています。現在病棟の陰圧隔離室に収容されており、状態は安定しています。患者はMERS-CoVの
アウトブレイクのあった宿舎で生活していました。なおかつ既報212-No.4の患者との接触歴があります。
発見前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

報告された患者について、家庭内及び医療従事者で接触した人の追跡調査が実施されています。
WHOには2012年9月以降、全世界で1,611人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、うち575人が
関連死しています。




【出典】
 WHO, Global Alert and Response (GAR).
 Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – ,Saudi Arabia
 29October 2015
 http://www.who.int/csr/don/29-october-2015-mers-saudi-arabia/en/