エボラ出血熱の流行状況(65)
平成27年11月11日更新
2015年11月11日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
1.WHOは11月7日に、シエラレオネにおけるEVD流行が終息したことを宣言しました。現在、同国は、
90日のサーベイランス強化期間に入っており、2016年2月5日に終了する予定です。リベリアと
シエラレオネの両国は、第3期感染対策の目的の1つを達成しました。残存していたエボラウイルスの
感染伝播の鎖をすべて断ち切るという目的です。ギニアでは、11月8日末の週に新たなEVD患者は報告
されませんでした。過去21日間にギニアからは合計4人の患者が報告されており、全員がフォレカリア
県下のカリアにあるコンデヤー(Kondeyah)村の同じ家族からの報告でした。現在、ギニアで
健康監視下にある69人は、全員がカリアに所在しており、11月14日に21日間の監視期間を終了する
予定です。しかし、60人の接触者はハイリスクと考えられており、過去42日間にフォレカリアからの
接触者1人と連絡が取れなくなっています。このため、登録された接触者や連絡が取れていない接触者
から、さらに患者が発生する短期的でのリスクが残っています。
2.現在、感染の影響を受けていない地域におけるEVDの再侵入や再出現の迅速な検出を確保するために、
厳重な監視措置が不可欠です。そして、これが第3期感染対策の2つ目の達成すべき目的の中心
となります。そのため、ギニア、リベリア、シエラレオネでは、EVDとの関連が疑われる病気や死亡、
何れの場合においても公的な役員が報告を得られるように、相互の調査体制を構築しています。11月8日
末の週に、ギニアでは国内の全34県から、このような警戒情報24,634件が報告されました。
リベリアでは、現在、同等に利用できるデータはありません。シエラレオネでは、10月25日までの週
(利用可能な最新の週)に、14地区のうち12地区から警戒情報1,690件が報告されました。
3.各国のEVDサーベイランス戦略の一環として、EVDに一致する臨床症状を有する人全員と、
14日以内に発症して死亡後に死亡原因を特定できなかった5歳以上のすべての遺体について、血液検体
もしくは経口スワブ検体を収集することが必要とされています。ギニアでは、11月8日末の週に
34県のうち12県からの合計633検体が、稼働している9か所の検査室で新たにかつ繰り返し検査
されました。ギニアで検査された全検体のうちの89%は、遺体から採取されたスワブ検体でした。また、
リベリアでは、同期間中に15郡すべてから検体が収集され、国内で稼働している4か所の検査室で検査
されました。シエラレオネでは、14地区すべてから新たに1,294検体が集められ、稼働している9か所の
検査室で検査されました。シエラレオネの検体の89%は、遺体から採取されたスワブ検体でした。
4.ギニアでは、11月8日末の週に、地域内で470人の死亡が報告されました。これは、人口と1,000人
あたりの年間死亡者数11人に基づいて概算される死亡者数2,248人の約20%に相当しています。
報告された470人の死亡者のうち、4人を除いて全員が安全に埋葬されました。リベリアでは、現在、
同等に利用できるデータはあません。シエラレオネでは、10月25日末の週(利用可能な最新の週)までに、
地域内で1,452人の死亡者が警戒情報システムを通じて報告されました。これは、人口と1,000人
あたりの年間死亡者数17人に基づいて概算される死亡者数2,075人の約70%に相当しています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されており、この時点におけるデータです。
※3 2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した
集団発生の構成によるものです。この発生は9月3日に終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
※4 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 11 November 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-11-november-2015
要約
1.WHOは11月7日に、シエラレオネにおけるEVD流行が終息したことを宣言しました。現在、同国は、
90日のサーベイランス強化期間に入っており、2016年2月5日に終了する予定です。リベリアと
シエラレオネの両国は、第3期感染対策の目的の1つを達成しました。残存していたエボラウイルスの
感染伝播の鎖をすべて断ち切るという目的です。ギニアでは、11月8日末の週に新たなEVD患者は報告
されませんでした。過去21日間にギニアからは合計4人の患者が報告されており、全員がフォレカリア
県下のカリアにあるコンデヤー(Kondeyah)村の同じ家族からの報告でした。現在、ギニアで
健康監視下にある69人は、全員がカリアに所在しており、11月14日に21日間の監視期間を終了する
予定です。しかし、60人の接触者はハイリスクと考えられており、過去42日間にフォレカリアからの
接触者1人と連絡が取れなくなっています。このため、登録された接触者や連絡が取れていない接触者
から、さらに患者が発生する短期的でのリスクが残っています。
2.現在、感染の影響を受けていない地域におけるEVDの再侵入や再出現の迅速な検出を確保するために、
厳重な監視措置が不可欠です。そして、これが第3期感染対策の2つ目の達成すべき目的の中心
となります。そのため、ギニア、リベリア、シエラレオネでは、EVDとの関連が疑われる病気や死亡、
何れの場合においても公的な役員が報告を得られるように、相互の調査体制を構築しています。11月8日
末の週に、ギニアでは国内の全34県から、このような警戒情報24,634件が報告されました。
リベリアでは、現在、同等に利用できるデータはありません。シエラレオネでは、10月25日までの週
(利用可能な最新の週)に、14地区のうち12地区から警戒情報1,690件が報告されました。
3.各国のEVDサーベイランス戦略の一環として、EVDに一致する臨床症状を有する人全員と、
14日以内に発症して死亡後に死亡原因を特定できなかった5歳以上のすべての遺体について、血液検体
もしくは経口スワブ検体を収集することが必要とされています。ギニアでは、11月8日末の週に
34県のうち12県からの合計633検体が、稼働している9か所の検査室で新たにかつ繰り返し検査
されました。ギニアで検査された全検体のうちの89%は、遺体から採取されたスワブ検体でした。また、
リベリアでは、同期間中に15郡すべてから検体が収集され、国内で稼働している4か所の検査室で検査
されました。シエラレオネでは、14地区すべてから新たに1,294検体が集められ、稼働している9か所の
検査室で検査されました。シエラレオネの検体の89%は、遺体から採取されたスワブ検体でした。
4.ギニアでは、11月8日末の週に、地域内で470人の死亡が報告されました。これは、人口と1,000人
あたりの年間死亡者数11人に基づいて概算される死亡者数2,248人の約20%に相当しています。
報告された470人の死亡者のうち、4人を除いて全員が安全に埋葬されました。リベリアでは、現在、
同等に利用できるデータはあません。シエラレオネでは、10月25日末の週(利用可能な最新の週)までに、
地域内で1,452人の死亡者が警戒情報システムを通じて報告されました。これは、人口と1,000人
あたりの年間死亡者数17人に基づいて概算される死亡者数2,075人の約70%に相当しています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,351 |
4 |
2,083 |
可能性例 |
453 |
未報告 |
453 |
|
疑い例 |
1 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,805 |
4 |
2,536 |
|
リベリア※2 |
確定例 |
3,151 |
- |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
- |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
- |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
- |
4,806 |
|
リベリア※3 |
確定例 |
6 |
0 |
2 |
可能性例 |
未報告 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
データなし |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
6 |
0 |
2 |
|
シエラレオネ※4 |
確定例 |
8,704 |
0 |
3,589 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
5,131 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
14,122 |
0 |
3,955 |
|
総数 |
確定例 |
15,212 |
4 |
データなし |
可能性例 |
2,619 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
10,768 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
28,599 |
4 |
11,299 |
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されており、この時点におけるデータです。
※3 2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した
集団発生の構成によるものです。この発生は9月3日に終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
※4 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 11 November 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-11-november-2015