(No.181)

   中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例(215)-サウジアラビア
平成27年11月13日更新

 2015年10月26日から11月1日までの間に、サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口はWHO
(世界保健機関)に対して、1人の死亡を含む中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を
新たに7人報告しました。

詳細は以下の通りです。

1.フフーフ市在住の医療従事者で28歳の外国籍女性は、10月18日に発症し、同日に自宅隔離と
なりました。10月23日に症状が悪化し、働いている病院に入院しました。患者に基礎疾患はなく、
28日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、ICUに入院中で危篤状態です。この病院はMERS-CoVの
集団感染が発生している病院で、10月29日既報5例目、7例目の治療にあたっていました。発症前14日以内
の他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

2.リヤド市在住の56歳女性は、接触者の追跡調査中に無症状で発見されました。患者には基礎疾患
があり、10月26日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、無症状で自宅隔離中です。10月29日
既報2例目との接触歴があります。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

3.リヤド市在住の医療従事者で24歳の外国籍女性は、10月23日に発症し、24日に入院しました。患者に
基礎疾患はなく、26日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、状態は安定しており自宅隔離中
です。10月29日既報3例目との接触歴があります。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴は
ありません。

4.フフーフ市在住の81歳男性は、9月18日から別の疾患で入院しており、10月22日に発症しました。
この病院はMERS-CoVの集団感染が発生している病院です。患者には基礎疾患があり、27日に
MERS-CoV陽性が検出されました。現在、ICUに入院中で危篤状態です。病院での感染確定例との接触歴、
もしくは共通で担当した医療従事者との疫学的な関連は調査中です。発症前14日以内の他の既知の
危険因子への曝露歴はありません。

5.フフーフ市在住の54歳男性は、10月15日に慢性疾患で入院して、22日に退院しました。この病院は
MERS-CoVの集団感染が発生している病院です。24日に発症し、25日に転院しています。26日に
MERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。病院での感染確定例
との接触歴、もしくは共通で担当した医療従事者との疫学的な関連は調査中です。発症前14日以内の他の
既知の危険因子への曝露歴はありません。

6.フフーフ市在住の61歳男性は、2007年から別の疾患で入院しており、10月20日に発症しました。
この病院はMERS-CoVの集団感染が発生している病院です。22日にMERS-CoV陽性が検出され、
30日に死亡しています。病院での感染確定例との接触歴、もしくは共通で担当した医療従事者との
疫学的な関連は調査中です。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴はありません。

7.フフーフ市在住の医療従事者で36歳の外国籍女性は、10月15日に発症し、16日に働いている病院に
入院しました。患者に基礎疾患はなく、23日にMERS-CoV陽性が検出されました。現在、陰圧室病棟に
入院中で安定した状態です。この病院はMERS-CoVの集団感染が発生している病院で、10月29日既報
5例目、7例目の治療にあたっていました。発症前14日以内の他の既知の危険因子への曝露歴は
ありません。

報告された患者について、家庭内及び医療従事者で接触した人の追跡調査が実施されています。
サウジアラビアのIHRはWHOにMERS-CoV患者3人(10月29日既報5例目、7例目、10例目)の死亡を
報告しました。

WHOには2012年9月以降、全世界で1,618人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、うち579人が
関連死しています。

【出典】
 WHO, Global Alert and Response (GAR).
 Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – ,Saudi Arabia
 13 November 2015
 http://www.who.int/csr/don/13-november-2015-mers-saudi-arabia/en/