エボラ出血熱の流行状況(68)
平成27年12 月2日更新
2015年12月2 日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
1.11月29日末までの週に、新たにEVD確定症は報告されていません。11月22日末までの週に、
リベリアから報告のあった3人のEVD確定症の感染源は調査中です。最初の症例は15歳の少年で、
11月19日にGreater Monrovia地区の保健施設に入院後に検査でEVD陽性が確認され、家族5人と共に
エボラ治療センターへ転院しています。その後、家族のうち8歳の弟と40歳の父親が検査で陽性が
確認され、隔離されました。15歳の少年は、11月23日に死亡しています。少年の家族に加え、
これまでに34人の濃厚接触者を含めた165人の接触者が確認されました。リベリアでは9月3日に
終息宣言がなされていました。
2.11月7日、WHOはシエラレオネが第3期感染対策の目標を達成したと宣言し、2016年2月5日まで
90日間のサーベイランス強化期間に入りました。11月29日は、ギニアでの最後のEVD患者の検査で
2回連続陰性となって13日目でした。ギニアでの最後のEVD患者が報告されたのは2015年10月29日
でした。
3.リベリアでの直近の症例は、現在EVDの影響を受けていない地域での再導入もしくは再度の
緊急事態に迅速に対応するために強力なサーベイランスを行うことが重要であることを強調しています。
第3期感染対策の2つ目の目的-残存するEVDの危険性を管理し対応すること-を達成するために、
ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国はサーベイランスシステムを設置し、医療従事者や公的機関の
職員がEVDに関連した疾患や死亡例および疑い例を関連当局に報告できるようにしました。
11月29日までの週で、ギニアの34の県全土から18,014件の警告が報告されました。同等のデータは、
現在リベリアには利用できません。シエラレオネでは、11月15日までの週で(データが利用できるごく
最近の週)1,420件の警告が全14地区から報告されました。
4.各国のEVDサーベイランスの戦略の一部として、生死にかかわらずEVD に合致した臨床症状が
あった患者から血液や咽頭ぬぐいの検体を集めなければなりません。11月29日までの週に、
ギニアでは34県のうち15県から8つの検査施設で新規及び再検査をあわせた631検体を検査しました。
ギニアでの検体のうち82%が死体からのスワブでした。対照的に、同期間にリベリアで検査された
新規及び再検査をあわせた981検体の84%は、生存している患者から集められた血液検体でした。これに
加えて、リベリアでは、全土15県から同国の稼働中の5つの研究所に検査のための検体を
提出しました。シエラレオネでは全土14地区から新規の1,344検体が集められ、稼働中の8つの研究所で
検査されました。シエラレオネでの検体の89%は、死体からのスワブでした。
5.11月29日までの週にギニアから994人の死亡者が同国の警告システムより報告されました。これは
2,248件のコミュニティ内での死亡例の約44%にあたりますが、これは人口と1年で1,000人につき11人
との死亡率の推計に基づいています。同等のデータは、リベリアではまだ利用できません。シエラレオネ
では、11月15日までの週の終わりに(データが利用できる直近の週)、2,075人の死亡の約62%に
あたる、1,282件のコミュニティ内での死亡例の報告が、警報システムによって受領されました。これらは、
人口と1年で人口1,000人につき17人との死亡率の推計に基づいています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されており、この時点におけるデータです。
※3 2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した
集団発生の構成によるものです。
※4 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 2 December 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-2-december-2015
要約
1.11月29日末までの週に、新たにEVD確定症は報告されていません。11月22日末までの週に、
リベリアから報告のあった3人のEVD確定症の感染源は調査中です。最初の症例は15歳の少年で、
11月19日にGreater Monrovia地区の保健施設に入院後に検査でEVD陽性が確認され、家族5人と共に
エボラ治療センターへ転院しています。その後、家族のうち8歳の弟と40歳の父親が検査で陽性が
確認され、隔離されました。15歳の少年は、11月23日に死亡しています。少年の家族に加え、
これまでに34人の濃厚接触者を含めた165人の接触者が確認されました。リベリアでは9月3日に
終息宣言がなされていました。
2.11月7日、WHOはシエラレオネが第3期感染対策の目標を達成したと宣言し、2016年2月5日まで
90日間のサーベイランス強化期間に入りました。11月29日は、ギニアでの最後のEVD患者の検査で
2回連続陰性となって13日目でした。ギニアでの最後のEVD患者が報告されたのは2015年10月29日
でした。
3.リベリアでの直近の症例は、現在EVDの影響を受けていない地域での再導入もしくは再度の
緊急事態に迅速に対応するために強力なサーベイランスを行うことが重要であることを強調しています。
第3期感染対策の2つ目の目的-残存するEVDの危険性を管理し対応すること-を達成するために、
ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国はサーベイランスシステムを設置し、医療従事者や公的機関の
職員がEVDに関連した疾患や死亡例および疑い例を関連当局に報告できるようにしました。
11月29日までの週で、ギニアの34の県全土から18,014件の警告が報告されました。同等のデータは、
現在リベリアには利用できません。シエラレオネでは、11月15日までの週で(データが利用できるごく
最近の週)1,420件の警告が全14地区から報告されました。
4.各国のEVDサーベイランスの戦略の一部として、生死にかかわらずEVD に合致した臨床症状が
あった患者から血液や咽頭ぬぐいの検体を集めなければなりません。11月29日までの週に、
ギニアでは34県のうち15県から8つの検査施設で新規及び再検査をあわせた631検体を検査しました。
ギニアでの検体のうち82%が死体からのスワブでした。対照的に、同期間にリベリアで検査された
新規及び再検査をあわせた981検体の84%は、生存している患者から集められた血液検体でした。これに
加えて、リベリアでは、全土15県から同国の稼働中の5つの研究所に検査のための検体を
提出しました。シエラレオネでは全土14地区から新規の1,344検体が集められ、稼働中の8つの研究所で
検査されました。シエラレオネでの検体の89%は、死体からのスワブでした。
5.11月29日までの週にギニアから994人の死亡者が同国の警告システムより報告されました。これは
2,248件のコミュニティ内での死亡例の約44%にあたりますが、これは人口と1年で1,000人につき11人
との死亡率の推計に基づいています。同等のデータは、リベリアではまだ利用できません。シエラレオネ
では、11月15日までの週の終わりに(データが利用できる直近の週)、2,075人の死亡の約62%に
あたる、1,282件のコミュニティ内での死亡例の報告が、警報システムによって受領されました。これらは、
人口と1年で人口1,000人につき17人との死亡率の推計に基づいています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,351 |
0 |
2,083 |
可能性例 |
453 |
未報告 |
453 |
|
疑い例 |
0 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,804 |
0 |
2,536 |
|
リベリア※2 |
確定例 |
3,151 |
- |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
- |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
- |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
- |
4,806 |
|
リベリア※3 |
確定例 |
9 |
3 |
2 |
可能性例 |
未報告 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
データなし |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
9 |
3 |
2 |
|
シエラレオネ※4 |
確定例 |
8,704 |
0 |
3,589 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
5,131 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
14,122 |
0 |
3,955 |
|
総数 |
確定例 |
15,215 |
3 |
データなし |
可能性例 |
2,619 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
10,767 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
28,601 |
3 |
11,300 |
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されており、この時点におけるデータです。
※3 2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した
集団発生の構成によるものです。
※4 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 2 December 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-2-december-2015