エボラ出血熱の流行状況(69)
平成27年12月9日更新
2015年12月9日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
1.12月6日末までの週に、新たにEVD確定症は報告されていません。11月22日末までの週にリベリア
から報告のあった3人のEVD確定症の感染源の調査は、生存者からの持続的なウイルスの稀な再出現の
結果発生したという仮説を立てて継続しています。最初の症例は15歳の少年で、11月19日にGreater Monrovia地区の保健施設に入院後に検査でEVD陽性が確認され、家族5人と共にエボラ治療センターへ
転院しています。その後、家族のうち8歳の弟と40歳の父親が検査で陽性が確認され、隔離されました。
2人とも12月3日の検査で2度陰性でした。15歳の少年は、11月23日に死亡しています。少年の家族に
加え、これまでに15人の濃厚接触者を含めた165人の接触者が確認されました。現在21日間の健康監視の
3週目に入っています。
2.11月7日、WHOはシエラレオネが第3期感染対策の目標を達成したと宣言し、2016年2月5日まで
90日間のサーベイランス強化期間に入りました。12月6日は、ギニアでの最後のEVD患者の検査で
2回連続陰性となって20日目でした。ギニアでの最後のEVD患者が報告されたのは2015年10月29日
でした。
3.リベリアでの直近の症例は、現在EVDの影響を受けていない地域での再導入もしくは再度の緊急事態
に迅速に対応するために強力なサーベイランスを行うことが重要であることを強調しています。第3期
感染対策の2つ目の目的-残存するEVDの危険性を管理し対応すること-を達成するために、ギニア、
リベリア、シエラレオネの3か国はサーベイランスシステムを設置し、医療従事者や公的機関の職員が
EVDに関連した疾患や死亡例および疑い例を関連当局に報告できるようにしました。12月6日までの週で、
ギニアの34の県全土から19,864件の警告が報告されました。同等のデータは、現在リベリアには利用
できません。シエラレオネでは、11月15日までの週で(データが利用できるごく最近の週)1,420件の
警告が全14地区から報告されました。
4.各国のEVDサーベイランスの戦略の一部として、生死にかかわらずEVD に合致した臨床症状が
あった患者から血液や咽頭ぬぐいの検体を集めなければなりません。12月6日までの週に、ギニアでは
34県のうち12県から8つの検査施設で新規及び再検査をあわせた582検体を検査しました。ギニアでの
検体のうち84%が死体からのスワブでした。対照的に、同期間にリベリアで検査された新規及び再検査を
あわせた1,020検体の82%は、生存している患者から集められた血液検体でした。これに加えて、
リベリアでは、全土15県から同国の稼働中の5つの研究所に検査のための検体を提出しました。
シエラレオネでは全土14地区から新規の1,363検体が集められ、稼働中の8つの研究所で検査されました。
シエラレオネでの検体の95%は、死体からのスワブでした。
5.12月6日までの週にギニアのコミュニティから964人の死亡者が同国の警告システムより
報告されました。これは、人口と1年で1,000人につき11人との死亡率の推計に基づいた2,248件の
コミュニティ内での死亡例の約43%にあたります。同等のデータは、リベリアではまだ利用できません。
シエラレオネでは、11月15日までの週の終わりに(データが利用できる直近の週)、2,075人の死亡の
約62%にあたる、1,282件のコミュニティ内での死亡例の報告が、警報システムによって受領されました。
これらは、人口と1年で人口1,000人につき17人との死亡率の推計に基づいています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されており、この時点におけるデータです。
※3 2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した
集団発生の構成によるものです。
※4 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 9 December 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-9-december-2015
要約
1.12月6日末までの週に、新たにEVD確定症は報告されていません。11月22日末までの週にリベリア
から報告のあった3人のEVD確定症の感染源の調査は、生存者からの持続的なウイルスの稀な再出現の
結果発生したという仮説を立てて継続しています。最初の症例は15歳の少年で、11月19日にGreater Monrovia地区の保健施設に入院後に検査でEVD陽性が確認され、家族5人と共にエボラ治療センターへ
転院しています。その後、家族のうち8歳の弟と40歳の父親が検査で陽性が確認され、隔離されました。
2人とも12月3日の検査で2度陰性でした。15歳の少年は、11月23日に死亡しています。少年の家族に
加え、これまでに15人の濃厚接触者を含めた165人の接触者が確認されました。現在21日間の健康監視の
3週目に入っています。
2.11月7日、WHOはシエラレオネが第3期感染対策の目標を達成したと宣言し、2016年2月5日まで
90日間のサーベイランス強化期間に入りました。12月6日は、ギニアでの最後のEVD患者の検査で
2回連続陰性となって20日目でした。ギニアでの最後のEVD患者が報告されたのは2015年10月29日
でした。
3.リベリアでの直近の症例は、現在EVDの影響を受けていない地域での再導入もしくは再度の緊急事態
に迅速に対応するために強力なサーベイランスを行うことが重要であることを強調しています。第3期
感染対策の2つ目の目的-残存するEVDの危険性を管理し対応すること-を達成するために、ギニア、
リベリア、シエラレオネの3か国はサーベイランスシステムを設置し、医療従事者や公的機関の職員が
EVDに関連した疾患や死亡例および疑い例を関連当局に報告できるようにしました。12月6日までの週で、
ギニアの34の県全土から19,864件の警告が報告されました。同等のデータは、現在リベリアには利用
できません。シエラレオネでは、11月15日までの週で(データが利用できるごく最近の週)1,420件の
警告が全14地区から報告されました。
4.各国のEVDサーベイランスの戦略の一部として、生死にかかわらずEVD に合致した臨床症状が
あった患者から血液や咽頭ぬぐいの検体を集めなければなりません。12月6日までの週に、ギニアでは
34県のうち12県から8つの検査施設で新規及び再検査をあわせた582検体を検査しました。ギニアでの
検体のうち84%が死体からのスワブでした。対照的に、同期間にリベリアで検査された新規及び再検査を
あわせた1,020検体の82%は、生存している患者から集められた血液検体でした。これに加えて、
リベリアでは、全土15県から同国の稼働中の5つの研究所に検査のための検体を提出しました。
シエラレオネでは全土14地区から新規の1,363検体が集められ、稼働中の8つの研究所で検査されました。
シエラレオネでの検体の95%は、死体からのスワブでした。
5.12月6日までの週にギニアのコミュニティから964人の死亡者が同国の警告システムより
報告されました。これは、人口と1年で1,000人につき11人との死亡率の推計に基づいた2,248件の
コミュニティ内での死亡例の約43%にあたります。同等のデータは、リベリアではまだ利用できません。
シエラレオネでは、11月15日までの週の終わりに(データが利用できる直近の週)、2,075人の死亡の
約62%にあたる、1,282件のコミュニティ内での死亡例の報告が、警報システムによって受領されました。
これらは、人口と1年で人口1,000人につき17人との死亡率の推計に基づいています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,351 |
0 |
2,083 |
可能性例 |
453 |
未報告 |
453 |
|
疑い例 |
0 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,804 |
0 |
2,536 |
|
リベリア※2 |
確定例 |
3,151 |
- |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
- |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
- |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
- |
4,806 |
|
リベリア※3 |
確定例 |
9 |
3 |
3 |
可能性例 |
未報告 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
データなし |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
9 |
3 |
3 |
|
シエラレオネ※4 |
確定例 |
8,704 |
0 |
3,589 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
5,131 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
14,122 |
0 |
3,955 |
|
総数 |
確定例 |
15,215 |
3 |
データなし |
可能性例 |
2,619 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
10,767 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
28,601 |
3 |
11,300 |
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 リベリアは2015年5月9日にEVD流行の終息が宣言されており、この時点におけるデータです。
※3 2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した
集団発生の構成によるものです。
※4 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 9 December 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-9-december-2015