エボラ出血熱の流行状況(70)
平成27年12月16日更新
2015年12月16日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・12月13日末までの週に、新たにEVD確定例は報告されていません。11月22日末までの週に
リベリアから報告のあった3人のEVD確定例において、全ての接触者は21日の監視期間を終了しました。
最初に報告された15歳の少年は11月23日に死亡しました。
続発患者である少年の父と弟は、12月3日にEVD陰性が2度確認され隔離が解除されました。
12月11日現在、リベリア政府とアメリカ国立衛生研究所(NIH)によって施行されている
PREVAIL(Partnership for Research on Ebola Vaccines in Liberia)試験の一部として、
感染者集団に関連のあった210人がエボラワクチンであるrVSV-ZEBOVの接種を受けました。
・リベリアにおいては、これ以上の感染者の発生がなければ、最後の2名の感染者が連続する2回の検査で
陰性であった日の42日後(2016年1月14日)をもって、最後の集団感染に関連したヒト-ヒト感染は
終息することになります。ギニアで初期に発生したヒト-ヒト感染は、同国の最後の感染者が
連続する2回の検査で陰性であった日の42日後(2015年12月28日)に終息することになります。
シエラレオネで最初に発生したヒト-ヒト感染は、既に2015年11月7日に終息宣言が出されています。
現在同国では、90日間のサーベイランス強化期間に入っており、2016年2月5日に終了する予定です。
・リベリアにおける最後の集団感染例は、感染の既往があるヒトからの再感染であると理解されています。
このような再感染の可能性は大変低いですが、これによる更なる感染拡大の危険性が存在するという
ことで、エボラウイルスRNAの存在を確認するために適切な体液の検査を含めた、生存者に対する
包括的な取り組みがより重要になってきます。リベリアおよびシエラレオネ政府は、世界保健機関
(WHO)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)などの協力を得て、男性の生存者に対して
自主的な精液のスクリーニング検査を行うと共に、感染の危険性と濃厚接触者を守るために必要な
予防策に対する理解を助けるためのカウンセリングプログラムを実行しています。リベリアと
シエラレオネにおいて、2016年1月に完了することになっている生存者ケアのための包括的な
政策方針に伴い、生存者のための医療サービスのネットワークを拡大中です。
・残存するEVDの危険性に効果的に対処するために、リベリアとシエラレオネは、医療従事者や
民間の協力者が、いかなる場合でもEVDに関連していると疑われる患者や死亡者を発見した場合に、
関連当局に対して報告することが可能となるサーベイランスシステムを構築しています。
12月13日末までの週で、ギニアの34県全てのコミュニティから、同国の警告システムより1,014人の
死亡者が報告されました。同時期に、ギニアで稼働している8つの検査施設において、34県のうち
12県から採取された新規及び再検査をあわせた計593検体が検査されました。リベリアでは、
15州全てから1,027の警報が受領されました。同時期に、同国で稼働している5つの検査施設において、
1,277検体の検査が行われました。シエラレオネでは、11月29日を最終日とする週(データが利用できる
直近の週)までに14の地域から1,446の警報が報告されました。同国で稼働している8つの検査施設に
おいて、12月13日を最終日とする週までに1,151検体の検査が行われました。
・新しい感染確定例を発見した後にRapid Response Team(RRT)を派遣することは、ギニア、リベリア、
シエラレオネにおける国家対策の根本戦略です。それぞれの国は少なくとも1つはRRTを持ち、
12月および1月をとおして、迅速に対応する能力を強化し、継続して行っている問題対応計画を遂行する
努力を行っています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 現在行われているサーベイランスや、発症者、死亡者の再調査により、これらの数字は改訂される
可能性があります。
※3 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 16 December 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-16-december-2015
要約
・12月13日末までの週に、新たにEVD確定例は報告されていません。11月22日末までの週に
リベリアから報告のあった3人のEVD確定例において、全ての接触者は21日の監視期間を終了しました。
最初に報告された15歳の少年は11月23日に死亡しました。
続発患者である少年の父と弟は、12月3日にEVD陰性が2度確認され隔離が解除されました。
12月11日現在、リベリア政府とアメリカ国立衛生研究所(NIH)によって施行されている
PREVAIL(Partnership for Research on Ebola Vaccines in Liberia)試験の一部として、
感染者集団に関連のあった210人がエボラワクチンであるrVSV-ZEBOVの接種を受けました。
・リベリアにおいては、これ以上の感染者の発生がなければ、最後の2名の感染者が連続する2回の検査で
陰性であった日の42日後(2016年1月14日)をもって、最後の集団感染に関連したヒト-ヒト感染は
終息することになります。ギニアで初期に発生したヒト-ヒト感染は、同国の最後の感染者が
連続する2回の検査で陰性であった日の42日後(2015年12月28日)に終息することになります。
シエラレオネで最初に発生したヒト-ヒト感染は、既に2015年11月7日に終息宣言が出されています。
現在同国では、90日間のサーベイランス強化期間に入っており、2016年2月5日に終了する予定です。
・リベリアにおける最後の集団感染例は、感染の既往があるヒトからの再感染であると理解されています。
このような再感染の可能性は大変低いですが、これによる更なる感染拡大の危険性が存在するという
ことで、エボラウイルスRNAの存在を確認するために適切な体液の検査を含めた、生存者に対する
包括的な取り組みがより重要になってきます。リベリアおよびシエラレオネ政府は、世界保健機関
(WHO)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)などの協力を得て、男性の生存者に対して
自主的な精液のスクリーニング検査を行うと共に、感染の危険性と濃厚接触者を守るために必要な
予防策に対する理解を助けるためのカウンセリングプログラムを実行しています。リベリアと
シエラレオネにおいて、2016年1月に完了することになっている生存者ケアのための包括的な
政策方針に伴い、生存者のための医療サービスのネットワークを拡大中です。
・残存するEVDの危険性に効果的に対処するために、リベリアとシエラレオネは、医療従事者や
民間の協力者が、いかなる場合でもEVDに関連していると疑われる患者や死亡者を発見した場合に、
関連当局に対して報告することが可能となるサーベイランスシステムを構築しています。
12月13日末までの週で、ギニアの34県全てのコミュニティから、同国の警告システムより1,014人の
死亡者が報告されました。同時期に、ギニアで稼働している8つの検査施設において、34県のうち
12県から採取された新規及び再検査をあわせた計593検体が検査されました。リベリアでは、
15州全てから1,027の警報が受領されました。同時期に、同国で稼働している5つの検査施設において、
1,277検体の検査が行われました。シエラレオネでは、11月29日を最終日とする週(データが利用できる
直近の週)までに14の地域から1,446の警報が報告されました。同国で稼働している8つの検査施設に
おいて、12月13日を最終日とする週までに1,151検体の検査が行われました。
・新しい感染確定例を発見した後にRapid Response Team(RRT)を派遣することは、ギニア、リベリア、
シエラレオネにおける国家対策の根本戦略です。それぞれの国は少なくとも1つはRRTを持ち、
12月および1月をとおして、迅速に対応する能力を強化し、継続して行っている問題対応計画を遂行する
努力を行っています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 | 症例定義 | 症例数 | 21日以内の症例数 | 死亡者数 |
ギニア | 確定例 | 3,351 | 0 | 2,087 |
可能性例 | 453 | 未報告 | 453 | |
疑い例 | 3 | 未報告 | データなし | |
国別総数 | 3,807 | 0 | 2,536 | |
リベリア | 確定例 | 3,151 | - | データなし |
可能性例 | 1,879 | - | データなし | |
疑い例 | 5,636 | - | データなし | |
国別総数 | 10,666 | - | 4,806 | |
リベリア※2 | 確定例 | 9 | 0 | 3 |
可能性例 | 未報告 | 未報告 | データなし | |
疑い例 | データなし | 未報告 | データなし | |
国別総数 | 9 | 0 | 3 | |
シエラレオネ※ | 確定例 | 8,704 | 0 | 3,589 |
可能性例 | 287 | 未報告 | 208 | |
疑い例 | 5,131 | 未報告 | 158 | |
国別総数 | 14,122 | 0 | 3,955 | |
総数 | 確定例 | 15,215 | 0 | データなし |
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 現在行われているサーベイランスや、発症者、死亡者の再調査により、これらの数字は改訂される
可能性があります。
※3 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 16 December 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-16-december-2015