エボラ出血熱の流行状況(72)
平成27年12月30日更新
2015年12月30日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・12月27日末までの週に、新たにEVD確定例は報告されていません。最後の感染者において連続する
2回の検査で陰性であった日から42日が経過したことをうけて、12月29日、WHOはギニアにおける
EVD流行のヒト-ヒト感染が終息したことを宣言しました。ギニアは現在、90日間のサーベイランス強化
期間に入っています。
・リベリアにおいては、これ以上の感染者の発生がなければ、最後の2人の感染者が連続する2回の検査
で陰性であった日の42日後(2016年1月14日)をもって、最後の集団感染に関連したヒト-ヒト感染は
終息することになります。シエラレオネで最初に発生したヒト-ヒト感染は、既に2015年11月7日に
終息宣言が出されています。現在同国では、90日間のサーベイランス強化期間に入っており、
2016年2月5日に終了する予定です。
・2015年12月15日、西アフリカでのEVD流行に関して、国際保健規則(IHR 2005)にもとづき
WHO事務局長により開催された第8回緊急委員会会議がテレカンファレンス形式で行われました。
委員会の助言に基づき、事務局長は2014年から2015年のEVD流行が、引き続き国際的に懸念される
公衆衛生上の緊急事態であることを宣言しました。
・リベリアにおける最後の集団感染例は感染の既往があるヒトからの再感染でした。このような再感染の
可能性は大変低いですが、これによる更なる感染拡大の危険性が存在するということで、
エボラウイルスRNAの存在を確認するための適切な体液の検査を含めた、生存者に対する包括的な
取り組みがより重要になってきます。リベリアおよびシエラレオネ政府はWHOや
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)などの協力を得て、男性の生存者に対して自主的な精液の
スクリーニング検査を行うと共に、感染の危険性と濃厚接触者を守るために必要な予防策に対する理解を
助けるためのカウンセリングプログラムを実行しています。リベリアとシエラレオネでは、12月27日
までに405人の男性生存者が精液のスクリーニング検査を受けました。リベリアとシエラレオネに
おいて、2016年1月に完了することになっている生存者ケアのための包括的な政策方針に伴い、
生存者のための医療サービスのネットワークを拡大中です。
・残存するEVDの危険性に効果的に対処するために、ギニアとリベリアとシエラレオネは、医療従事者や
民間の協力者が、いかなる場合でもEVDに関連していると疑われる患者や死亡者を発見した場合に、
関連当局に対して報告することが可能となるサーベイランスシステムを構築しています。12月27日末まで
の週で、ギニアの34県全てのコミュニティから、同国の警告システムより933人の死亡者が
報告されました。同時期に、ギニアで稼働している9つの検査施設において、34県のうち14県から
採取された新規及び再検査をあわせた計541検体(生存者から6検体、死亡者から535検体)が
検査されました。リベリアでは、15州全てから611の警報が受領されました。同時期に、同国で
稼働している5つの検査施設において、新規及び再検査をあわせた計469検体(生存者から281検体、
死亡者から188検体)の検査が行われました。シエラレオネでは、12月20日を最終日とする週(データが利用できる直近の週)までに1,226の警報が報告されました。同国で稼働している8つの検査施設に
おいて、12月27日を最終日とする週までに新規及び再検査をあわせた計734検体(生存者から10検体
死亡者から724検体)の検査が行われました。
・新しい感染確定例を発見した後にRapid Response Team(RRT)を派遣することは、ギニア、リベリア、
シエラレオネにおける国家対策の根本戦略です。それぞれの国は少なくとも1つはRRTを持ち、
12月および1月をとおして、迅速に対応する能力を強化し、継続して行っている問題対応計画を遂行する
努力を行っています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 現在行われているサーベイランスや、発症者、死亡者の再調査により、これらの数字は改訂される
可能性があります。
※3 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 30 December 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-30-december-2015
要約
・12月27日末までの週に、新たにEVD確定例は報告されていません。最後の感染者において連続する
2回の検査で陰性であった日から42日が経過したことをうけて、12月29日、WHOはギニアにおける
EVD流行のヒト-ヒト感染が終息したことを宣言しました。ギニアは現在、90日間のサーベイランス強化
期間に入っています。
・リベリアにおいては、これ以上の感染者の発生がなければ、最後の2人の感染者が連続する2回の検査
で陰性であった日の42日後(2016年1月14日)をもって、最後の集団感染に関連したヒト-ヒト感染は
終息することになります。シエラレオネで最初に発生したヒト-ヒト感染は、既に2015年11月7日に
終息宣言が出されています。現在同国では、90日間のサーベイランス強化期間に入っており、
2016年2月5日に終了する予定です。
・2015年12月15日、西アフリカでのEVD流行に関して、国際保健規則(IHR 2005)にもとづき
WHO事務局長により開催された第8回緊急委員会会議がテレカンファレンス形式で行われました。
委員会の助言に基づき、事務局長は2014年から2015年のEVD流行が、引き続き国際的に懸念される
公衆衛生上の緊急事態であることを宣言しました。
・リベリアにおける最後の集団感染例は感染の既往があるヒトからの再感染でした。このような再感染の
可能性は大変低いですが、これによる更なる感染拡大の危険性が存在するということで、
エボラウイルスRNAの存在を確認するための適切な体液の検査を含めた、生存者に対する包括的な
取り組みがより重要になってきます。リベリアおよびシエラレオネ政府はWHOや
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)などの協力を得て、男性の生存者に対して自主的な精液の
スクリーニング検査を行うと共に、感染の危険性と濃厚接触者を守るために必要な予防策に対する理解を
助けるためのカウンセリングプログラムを実行しています。リベリアとシエラレオネでは、12月27日
までに405人の男性生存者が精液のスクリーニング検査を受けました。リベリアとシエラレオネに
おいて、2016年1月に完了することになっている生存者ケアのための包括的な政策方針に伴い、
生存者のための医療サービスのネットワークを拡大中です。
・残存するEVDの危険性に効果的に対処するために、ギニアとリベリアとシエラレオネは、医療従事者や
民間の協力者が、いかなる場合でもEVDに関連していると疑われる患者や死亡者を発見した場合に、
関連当局に対して報告することが可能となるサーベイランスシステムを構築しています。12月27日末まで
の週で、ギニアの34県全てのコミュニティから、同国の警告システムより933人の死亡者が
報告されました。同時期に、ギニアで稼働している9つの検査施設において、34県のうち14県から
採取された新規及び再検査をあわせた計541検体(生存者から6検体、死亡者から535検体)が
検査されました。リベリアでは、15州全てから611の警報が受領されました。同時期に、同国で
稼働している5つの検査施設において、新規及び再検査をあわせた計469検体(生存者から281検体、
死亡者から188検体)の検査が行われました。シエラレオネでは、12月20日を最終日とする週(データが利用できる直近の週)までに1,226の警報が報告されました。同国で稼働している8つの検査施設に
おいて、12月27日を最終日とする週までに新規及び再検査をあわせた計734検体(生存者から10検体
死亡者から724検体)の検査が行われました。
・新しい感染確定例を発見した後にRapid Response Team(RRT)を派遣することは、ギニア、リベリア、
シエラレオネにおける国家対策の根本戦略です。それぞれの国は少なくとも1つはRRTを持ち、
12月および1月をとおして、迅速に対応する能力を強化し、継続して行っている問題対応計画を遂行する
努力を行っています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,351 |
0 |
2,083 |
可能性例 |
453 |
未報告 |
453 |
|
疑い例 |
0 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,804 |
0 |
2,536 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
- |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
- |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
- |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
- |
4,806 |
|
リベリア※2 |
確定例 |
9 |
0 |
3 |
可能性例 |
未報告 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
データなし |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
9 |
0 |
3 |
|
シエラレオネ※3 |
確定例 |
8,704 |
0 |
3,589 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
5,131 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
14,122 |
0 |
3,955 |
|
総数 |
確定例 |
15,215 |
0 |
データなし |
可能性例 |
2,619 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
10,767 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
28,601 |
0 |
11,300 |
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 現在行われているサーベイランスや、発症者、死亡者の再調査により、これらの数字は改訂される
可能性があります。
※3 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 30 December 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-30-december-2015