(No.210)

仏領ギアナとマルティニークにおけるジカウイルス感染症
平成27年12月30日更新

 2015年12月21日仏領ギアナのカイエンヌ近くのRemire市とマルティニーク島のSchoelcher市に
おいて、現地では初めての発生となる2例のジカウイルス感染症が検査で確認されたことが
世界保健機関(WHO)に報告されました。更に新たに2例、1例はマルティニークのFort de Franceから、
もう1例は仏領ギアナのSaint Laurent du Maroniで感染が確認されました。
これらの感染例は、マルティニークにある大学病院の検査室と仏領ギアナ・カイエンヌにある
パスツール研究所において、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により感染が確認されました。

マルティニークにおける新たな4例の疑い例(3例はRobertから、1例はLamentinから)の検体は、
更なる分析のためにマルセイユの国立アルボウイルスリファレンスセンターへ送られています。

公衆衛生上の取り組み
カリブ海にあるフランス領では、現地で発生するジカウイルス感染症に対するサーベイランスが、
2015年夏から実施されている危機管理対策に含まれており、感染疑い例は現地保健当局に通報されて
います。感染例が報告された場合、現地当局は積極的な症例探索を行い、感染例が発生した住居の周囲
における媒介蚊に対する防除対策を実施しています。
更に現地公衆衛生当局は、異常な徴候に気を付けるように医療従事者に対して注意喚起を行っています。

WHOからのアドバイス
 居住地域と媒介蚊の繁殖地域が近接していることは、ジカウイルス感染症の危険因子となります。
感染症予防対策として重要な事は、繁殖地の除去や改変を通して蚊の繁殖を抑制し、蚊との接触を
極力避けることです。これは、幼虫の生息地となる自然および人工の水源を減らすことで危険地域の成虫蚊
の数を減らし、防蚊ネットを使用し窓や戸口を閉め、長袖の着用や防虫剤を使用することで達成されます。この感染症の主要な媒介蚊となるヤブカは日中に活動することが知られており、小さい子供、病人や老人
など日中に睡眠をとる人々は、殺虫剤が塗布された、あるいは未塗布のものであっても蚊帳を使用して
睡眠をとることが推奨されています。また、蚊取線香やその他の殺虫剤用噴霧器も、蚊に刺される機会を
減らすのに役立つでしょう。

 感染が流行している間は、殺虫剤の散布がWHOの技術指南のもと実行される予定です。この際、WHOの
殺虫剤評価体系によって推奨されている適切な殺幼虫剤が、大きな貯水タンクに対して使用される
でしょう。

 蚊咬傷を防止するための基本的な予防策が、危険性の高い地域に旅行する人々、特に妊婦に対して
実行されるべきです。この予防策として、忌避剤の使用、明るい色の服、長袖、長ズボンの着用、蚊の侵入
を防ぐために隙間なく網戸を設置する、等が挙げられます。

WHOは、フランス領ギアナとマルティニークに対する、現在の情報に基づいたいかなる旅行や貿易の制限
を推奨しません。

【出典】
 WHO, Emergencies preparedness, response.
 Zika virus infection – French Guiana and Martinique ,
 30 December 2015