(No.6)

プエルトリコにおけるジカウイルス感染症
2016年1月8日

 2015年12月31日、アメリカ合衆国の国際保健規則(IHR)担当窓口は、プエルトリコ自治連邦区に
おいて初めてとなるジカウイルス感染例が検査で確認されたことを汎アメリカ保健機構/世界保健機関
(PAHO/WHO)に報告しました。患者はプエルトリコ在住で、発症に先立ち3か月以内に島外に
旅行した経歴はありません。

公衆衛生上の取り組み
 感染源および起こり得る新たな感染者の発見のために、疫学調査が継続して行われております。
環境保健省により、蚊の繁殖地域の同定を含めた媒介生物の制御が現在進行中です。住民は至急に
蚊咬傷を避けるための防蚊対策を取るよう促されています。

WHOからのアドバイス
 居住地域と媒介蚊の繁殖地域が近接していることは、ジカウイルス感染症の危険因子となります。
感染症予防対策として重要な事は、繁殖地の除去や改変を通して蚊の繁殖を抑制し、蚊との接触を
極力避けることです。これは、幼虫の生息地となる自然および人工の水源を減らすことで危険地域の
成虫蚊の数を減らし、防蚊ネットを使用し窓や戸口を閉め、長袖の着用や防虫剤を使用することで
達成されます。この感染症の主要な媒介蚊となるヤブカは日中に活動することが知られており、
小さい子供、病人や老人など日中に睡眠をとる人々は、殺虫剤が塗布された、あるいは
未塗布のものであっても蚊帳を使用して睡眠をとることが推奨されています。また、蚊取線香や
その他の殺虫剤用噴霧器も、蚊に刺される機会を減らすのに役立つでしょう。

 感染が流行している間は、殺虫剤の散布がWHOの技術指南のもと実行される場合があります。
技術的に適応のある場合に、WHOの殺虫剤評価体系によって推奨されている適切な殺幼虫剤が、
大きな貯水タンクに対して使用されるでしょう。

 蚊咬傷を防止するための基本的な予防策が、危険性の高い地域に旅行する人々、特に妊婦に対して
実行されるべきです。この予防策として、忌避剤の使用、明るい色の服、長袖、長ズボンの着用、
蚊の侵入を防ぐために隙間なく網戸を設置する、等が挙げられます。

 WHOは、アメリカ合衆国に対する、現在の情報に基づいたいかなる旅行や貿易の制限を推奨しません。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
 Zika virus infection – United States of America - Puerto Rico
 8 January 2016
http://www.who.int/csr/don/8-january-2016-zika-usa/en/