(No.7)

中国における鳥インフルエンザA(H5N6)の発生
2016年1月11日

 2016年1月8日、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は、新たに2人の鳥インフルエンザA
(H5N6)感染者が検査で確認されたことを世界保健機関(WHO)に対して報告しました。

症例の詳細情報
 1人目の患者は、25歳の男性です。広東省深セン市在住で1月1日に症状が増悪しました。
患者は1月4日に病院に入院し、現在危篤状態です。患者は家禽市場を訪れた経歴がありました。
 2人目の患者は、42歳の男性です。広東省掲陽市在住で12月12日に症状が増悪しました。患者は
12月19日に病院に入院し、同21日に死亡しました。患者は家禽市場を訪れた経歴がありました。

公衆衛生上の取り組み
 中国政府は以下のようなサーベイランスと感染症対策を取っています。:患者の治療に関して
いかなる努力も惜しまない;ウイルスを分離し遺伝子配列の同定および比較を行うために、
患者の検体を収集し検査を行う;疫学的調査を行う;濃厚接触者の追跡と観察を行う;
病因の説明出来ない肺炎や通常のインフルエンザに対するサーベイランスを強化する;
インフルエンザ/鳥インフルエンザウイルスの病因監視を強化する。

WHOのリスク評価
 WHOは鳥インフルエンザA(H5N6)に対して、引き続き厳密な監視を行い、リスクの評価を実行します。
これまで、鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスに対する危険性は、総合的に見て変化はありません。

WHOからのアドバイス
 WHOはこれまで鳥インフルエンザの流行が知られている国々への旅行者に対して、家禽農場を避け、
生きた鳥を扱う市場での動物との接触や家禽が屠殺される可能性のある地域へ入ること、及び家禽その他の
動物によって汚染された地面を触れることを避けるよう勧告します。また、旅行者は石けんと水で
頻回に手を洗い、安全な食物を衛生的に摂取することをお勧めします。

 WHOはこの事象によって入国地点における特別なスクリーニング検査を行う事や、旅行あるいは貿易の
いかなる制限をも推奨しません。これまでと同じように、鳥インフルエンザウイルス感染の診断は、
鳥インフルエンザが懸念される地域への旅行中や同所からの帰還後すぐの時期に、重篤な急性の
呼吸器症状を呈した人において考慮すべきだと考えます。

 WHOは加盟国に対して、重篤な急性呼吸器感染症を含めたインフルエンザのサーベイランスを
引き続き行い、国際保健規則(IHR 2005)に準じてヒト感染を確実に報告するためにいかなる異常な
事象に対しても注意深く調査し、国家レベルでの健康対策を継続することを推奨しています。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
 Human infection with avian influenza A(H5N6) virus – China
 11 January 2016
http://www.who.int/csr/don/11-january-2016-avian-influenza-china/en/