(No.8)

リベリアにおけるエボラ出血熱流行の終息
平成28年1月14日更新

 2016年1月14日、WHO(世界保健機関)は、リベリアにおける直近のエボラ出血熱(EVD)流行が終息し、
西アフリカにおけるEVD伝染の連鎖が終了したことを宣言しました。しかしながら、WHOは、
まだ仕事は終わっておらず、再燃が起こり得るため今後数か月は強力なサーベイランスと対策システムが
重要であると述べています。
 リベリアは、2015年5月に初めてEVD流行の終息が宣言されましたが、それ以来2度に渡る感染の
再燃があり、最近の流行は11月に発生していました。本日の発表は、同国における最後のEVD確定患者の
血液検査で二度の陰性が確認されてから、42日(EVDウイルスにおける21日の潜伏期間2周期分)が
経過したことにより成されました。

3国全てで感染者ゼロに
 WHOリベリア代表のDr. Alex Gasasiraは、「WHOは、リベリア政府と国民の今回のEVD再燃に対する
効果的な対応に関して賞賛します。今回の再燃の迅速な終息は、リベリア政府がEVD流行への対応能力の
強化に成功したことを示しています。WHOは引き続きEVD感染疑い患者に対する予防、探索、および
対応に関してリベリアを支援します。」と発言しています。
 2年前に最も深刻な被害を受けた3国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)において感染の流行が
始まって以来、本日は、初めて42日の間感染者を認めなかった日となります。シエラレオネにおいては
2015年1月7日に、ギニアにおいては同年12月29日に終息宣言が出されています。
 また、WHOはWHO事務局長Dr Margaret Chan の言葉として次のように述べています。
「EVD伝播のあらゆる連鎖を探知し阻止することについて、金字塔を打ち立てました。多く物を必要とし
多くの事が、各国政府当局、勇気ある医療従事者、市民社会、地方および国際協力機関、思いやりのある
協力者達によって成し遂げられました。しかし、私達の仕事はまだ残っており、新しい流行に対しての
警戒が必要となります。」

警戒を引き続き行う必要性
 WHOは、リベリアでの最近の再燃のように、この3国が新たなEVDの小流行についての危険が
高いままであることを警告しています。現在まで、このような再燃例として10例が認識されており、
これらは最初の流行の一部ではなく、回復後でさえEVD生存者の中にとどまり続けるウイルスが原因である
可能性があります。ウイルスは生存者から比較的早く消滅しますが、少数の男性生存者の精液に1年もの間
残存し、近親者に伝染し得るという証拠があります。
 WHO EVD対策特別代表Dr Bruce Aylwardは、次の様に述べています。「我々はEVD流行において、
感染事象や患者に対応する段階から新しい感染への残った危険性に対処する段階へと移る重要な局面に
あります。生存者に残存するウイルスが徐々に消滅するにつれて、EVD再燃の危険性も減少していきます。
しかし、それでもなお再燃を予期し必要な準備をしなければなりません。3月末までに、3国全てにおいて、
強固な予防、サーベイランス、対応能力の強化を確実にするために、多くの努力が行われています。」
 WHOとその協力機関は、ギニア、リベリア、シエラレオネ政府を支援する形で、生存者が家族や
社会生活に復帰し、汚名を晴らしEVD伝染の危険性を最小化するのを助けるためのカウンセリングや
教育を行うとともに、生存者が医療や心理社会的なケアおよびウイルス残存に対するスクリーニング検査に
確実にアクセスできるような方策を打ち出しています。
 今回のEVD流行は、11,300人以上の命を奪い、23,500人以上の感染者を生み出しました。
この疾患は、この3国全てにおいて、家族や社会生活および医療システム、経済システムを
荒廃させました。

【出典】
WHO, Ebola
News release by WHO - 14 January 2016
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2016/ebola-zero-liberia/en/