(No.101)

中国における鳥インフルエンザA(H5N6)のヒト感染例
2016年5月6日更新

 2016年4月21日から26日までの間に中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は世界保健機関
(WHO)に対し、新たに2人の鳥インフルエンザA(H5N6)ヒト感染確定例を報告しました。

症例の詳細情報
• 35歳の男性です。湖北省神農架林区(Shen Nong Jia forest region)の住民で4月9日に発熱症状が出現
 したため病院にかかり12日に入院しました。現在危篤状態です。4月21日に中国疾病管理予防センター
 (中国CDC)において検査したところ、患者の臨床検体から鳥インフルエンザA(H5N6)の核酸が検出
 したことが確認されました。患者は発症前に生きた家禽を扱う市場における曝露歴がありました。患者
 との濃厚接触者は発症していません。
• 11歳の女児です。湖南省株洲市(Zhuzhou City)の住民で4月11日に発熱と咳症状が出現し、12日に症状
 悪化したため病院で治療を受けました。現在は安定した状態です。4月24日に中国CDCにおいて検査した
 ところ、患児の臨床検体から鳥インフルエンザA(H5N6)の核酸が検出したことが確認されました。患児は
 発症前に生きた家禽を扱う市場における曝露歴がありました。患者との濃厚接触者は発症していません。

公衆衛生上の取り組み
 中国政府は以下のサーベイランスと感染制御対策をとっています。
•アウトブレイクに対するサーベイランスと状況分析の強化
•治療のためのあらゆる取り組みに対して補強を行うこと
•住民に対してリスクコミュニケーションと情報の周知を実施すること

WHOのリスク評価
 この報告により鳥インフルエンザA(H5N6)の公衆衛生上の全体的なリスクが変化するわけでは
ありません。同ウイルスはこれまでにもヒトに対して重篤な感染症を引き起こしてきましたが、現在まで
同ウイルスへの感染は連続的にヒト-ヒト感染を起こすことなく散発的で濃厚接触者も発症していません。
しかしこのウイルスの特徴については研究中であり、その進化とパンデミック株の発生については不明です。
現時点において国際的な拡大の危険性については低いと考えられています。WHOは疫学的な発生状況を
監視し、最新の情報に基づいて引き続きリスク評価を行っています。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Human infection with avian influenza A(H5N6) virus – China
Disease outbreak news
6 May 2016
http://www.who.int/csr/don/6-may-2016-ah5n6-china/en/