(No.105)

ジカウイルス感染症の流行状況(3)
平成28年5月12日更新

 2016年5月11日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

要約
・蚊媒介による伝播:2016年5月11日現在、以下の様に58の国と地域において引き続き蚊による感染伝播が
 報告されています。
   ・2015年以来、45か国において今回初めて流行が報告されております。これらの国々では過去に
    ジカウイルス感染症流行の形跡がなく、現在もこの蚊による感染伝播が継続して発生しています。
   ・2007年から2014年の間に13か国においてジカウイルス感染症の伝播が報告されており、現在も
    この伝播が継続して発生しています。
   ・2007年から2014年の間には、4つの国と地域(クック諸島、フランス領ポリネシア、チリの
    イースター島、ミクロネシア連邦政府観光局のヤップ島)において、ジカウイルス感染症の感染
    伝播が報告されましたが、現在は終息しています。

・ヒト-ヒト感染による伝播
   ・9か国においてジカウイルスのヒト-ヒト感染例が報告されており、これらはおそらく性交渉に
    よって感染したと思われます。

・5月11日までの週において、新たにグレナダからジカウイルス感染症の報告がありました。

・ジカウイルス感染が潜在的に関連している、あるいは先天性感染が示唆される小頭症やその他の胎児
 奇形が、7つの国と地域から報告されています。ブラジル滞在との間に関連性を認める2人の患者が
 スロベニアと米国において発見されました。さらに、メキシコ、グアテマラ、ベリーズにおける短期
 滞在との間に関連性を認める妊婦の患者1人が新たに報告されています。

・ラテンアメリカ滞在との間に関連性を認める、小頭症とその他の神経学的異常を呈した3人の患者は、
 ベネズエラ、ホンジュラス、スペインにて現在検証中です。

・ジカウイルス感染症の流行を背景に、13の国と地域において、ギランバレー症候群(GBS)例および
 (あるいは)GBS患者でジカウイルス感染確定例が増加していることが報告されています。

・現在までの研究を踏まえると、ジカウイルスが小頭症やギランバレー症候群の原因であることは、
 科学的なコンセンサスがあります。

・戦略的な対応の枠組みとしてWHOが立ち上げた、世界的な予防とコントロール戦略には、
 サーベイランス、対策活動および研究が内包されています。WHOは、公衆衛生上の緊急事態に対応する
 ために、国際的パートナー、地域および国家のパートナーと共同で主要な介入を実施しています。

・2016年5月4日および5日、6つのWHO地域事務局と本部のインシデント管理担当者は、関連する技術
 および支援スタッフと共に米国ワシントンD.C.において会合を開き、過去および現在継続中の活動に
 ついての再検討と主要な課題について議論を行い、対策のための共同活動が引き続き効果的に行われる
 ことを確実にするために、今後の対応戦略を策定しました。2016年下半期に向けた戦略的な対応の
 枠組みの草案が、5月中旬にはパートナーに共有され、6月中旬には完成される予定です。

・WHOは、ジカウイルスを背景とした様々なテーマに関して、新たな勧告や情報を展開してきました。
 WHOの最新情報である、統合されプログラムに従ったリスクコミュニケーションやコミュニティーへの
 関与を支援するためのニュースおよび情報源については、オンラインで利用可能です。



【出典】
WHO, Zika
ZIKA Situation Report - 12 MAY 2016
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/12-may-2016/en/