(No.107)

エボラ出血熱の流行状況(81)
平成28年5月12日更新

 2016年5月12日、世界保健機関(WHO)はエボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。

・2016年3月29日、西アフリカにおけるエボラ出血熱(EVD)流行に関する国際的に懸念される公衆衛生
 上の緊急事態 (PHEIC)は解除されました。ギニア、リベリア、シエラレオネでは、合計で28,616人の
 感染確定例、可能性例、疑い例及び11,310人の死亡者が報告されています。
・3月17日から4月6日の間に、ウイルスが体内に存続していることの関連性が疑われる最近の感染者集団に
 おいて、7人のEVD確定例および3人の可能性例が、ギニア南東部のゼレコレ県(9人の確定例と可能性例)
 とマセンタ県(1人の確定例)から報告されました。さらに、4月1日から5日の間に、リベリアの
 モントセラド県モンロビアに渡航歴のある、マセンタにおける感染者の妻と2人の子どもが、EVD感染例で
 あることが確認されました。
・今回の感染者集団の発端となる感染者であるゼレコレ県Koropara支庁地域在住の37歳の女性は、2月15日
 頃に発症し、確定診断されることなく2月27日に死亡しました。この患者の感染源は、EVD生存者に
 おけるウイルス存続に起因している可能性が高いです。
・ギニアでは、最後の感染者において、4月19日の2回目の検査結果においてもエボラウイルスが陰性
 でした。リベリアでは、残り1人となっていた入院患者である2歳の男児が元気であることが報告されて
 いますが、退院前に連続する2回の検査結果で陰性となる必要があります。
・ギニアとリベリアでは、流行の終息宣言が可能となる前に、42日間(潜伏期間である21日間の2倍)を
 経過しなければなりません。ギニアでは4月19日にカウントダウンが開始され、5月31日に終了する
 予定です。リベリアでは最後の感染者が2回目の検査結果において陰性であることを確認された時点から
 カウントダウンが開始されます。
*シエラレオネでは今年3月にアウトブレイクを封じ込んでからの後も、報告のあった死亡例に対する強制的
 検体採取と検査の実施、及び疑い例における迅速な調査と検査などによるを伴った強化サーベイランスが
 継続されています。検体採取の方針については6月30日に再検討される予定です。

リスク評価
 積極的なサーベイランスがギニアとリベリアで継続しており、このサーベイランスはエボラウイルスが
最後に陰性となった日から42日間続きます。達成指標を見る限り、3か国において感染の予防(生存者の
ケア)、感染の検出(疫学的及び検査室におけるサーベイランス)及び新たなアウトブレイクに対する対応
能力に差があることが示唆されています。感染から回復した人の体液から新たなアウトブレイクが発生する
危険性は今後も残っており、安全な性交渉の実践についてのカウンセリングと体液の検査を通じてその
危険性を減らし続けることが必要です。

【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 12 May 2016
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/206313/1/ebolasitrep_12may2016_eng.pdf?ua=1