(No.109)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症-カタール
2016年5月16日更新

 2016年5月4日、カタールの国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関(WHO)に対して、中東呼吸器
症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を新たに1人報告しました。

症例の詳細情報
  40歳の男性。患者はカタール国籍で、4月26日に同疾患と関連性のない健康状態で入院しました。
5月1日、患者は仕事の一部としてヒトコブラクダとの頻回の接触があったことを申告しました。5月2日と
3日にMERS-CoV検査が行われ、陽性であることが判明しました。患者にはその他の基礎疾患がなく、
発症前14日以内におけるその他の既知の危険因子への曝露歴はありませんでした。現在のところ、患者の
状態は落ち着いており、陰圧の隔離室に入室しています。
 保健省の健康保護および感染症対策は、症例調査と接触者追跡調査を即座に実行しています。家庭内および
医療従事者における接触者から検体が採取されましたが、全てにおいてMERS-CoV検査が陰性でした。
 接触者に対して、感染者と最後に接触があった時から14日間の健康監視期間における最終日まで追跡
調査が行われます。適切な感染予防手段に関する保健教育のためのメッセージが全ての接触者の間で共有
され、接触者に対してはMERS-CoV感染に対する推奨された予防手段に従い、いかなる呼吸症状が発症した
場合でも保健当局に報告を行うよう勧告されています。保健省により、すべての医療機関において感染防御と
コントロール手段が再強化されてきています。
 農業動物資源省は、報告を受け、ヒトコブラクダに対する調査を引き続き行っています。
 WHOには2012年9月以降、全世界で1729人のMERS-CoV感染症例が報告されており、その内624人が
関連死しています。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Qatar
16 May 2016
http://www.who.int/csr/don/10-march-2016-mers-qatar/en/