(No.110)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症-サウジアラビア
2016年5月16日更新

 2016年4月30日から5月5日までの間に、サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関
(WHO)に対して、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を1人の死亡者を含め新たに
4人報告しました。

症例の詳細情報
1. 39歳の男性。サウジアラビア国籍を持たないリヤド市の住民で、その他のMERS-CoV感染者(以下の
 2番目の症例)との間に家庭内接触がありました。患者には症状がなく、接触者の追跡調査により特定
 されました。また、この患者には基礎疾患がなく、5月5日にMERS-CoV検査で陽性と判明し、現在は
 自宅で隔離されています。
2.40歳の男性。サウジアラビア国籍を持たないリヤド市の住民で、4月14日に発症し5月1日に入院しま
 した。患者には基礎疾患があり、5月2日にMERS-CoV検査で陽性と判明しました。発症前14日以内に
 おけるその他の既知の危険因子への曝露歴については、引き続き調査を継続中です。現在のところ、
 患者は危篤状態で集中治療室(ICU)に入室していますが、人工呼吸は受けておりません。
3.55歳の男性。サウジアラビア国籍のHofuf市の住民で、4月26日に発症し4月29日に入院しました。
 患者には基礎疾患があり、4月30日にMERS-CoV検査で陽性と判明しましたが、5月4日に死亡して
 います。患者にはヒトコブラクダとの頻回の接触歴およびラクダの生乳の喫食歴がありました。農業省は
 報告を受け、ヒトコブラクダの調査を引き続き行っています。
4.70歳の男性。サウジアラビア国籍のHail市の住民で、4月26日に発症し4月28日に入院しました。
 患者には基礎疾患があり、4月30日にMERS-CoV検査で陽性と判明しました。発症前14日以内における
 その他の既知の危険因子への曝露歴については、引き続き調査を継続中です。現在のところ、患者は
 危篤状態で集中治療室(ICU)に入室しており、人工呼吸を受けています。

 患者と接触歴がある家族や介護者の追跡調査が行われています。

 サウジアラビアのIHR担当窓口は、4月14日および22日に報告したMERS-CoV 患者のうち3名(DON4月
14日更新 情報〈関空HP:海外感染症情報2016 No.81〉の1番目と5番目およびDON4月22日更新 情報
〈関空HP:海外感染症情報2016 No.86〉の2番目の症例)が死亡したことをWHOに対して報告しました。
 WHOには、2012年9月以降、全世界で 1,733人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち
628人が関連死しています。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia
16 May 2016
http://www.who.int/csr/don/16-may-2016-mers-saudi-arabia/en/