(No.115)

ジカウイルス感染症の流行状況(4)
平成28年5月19日更新

 2016年5月19日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

要約
・蚊媒介による伝播:2016年5月18日現在、以下の様に60の国と地域において引き続き蚊による感染
 伝播が報告されています。
   ・2015年以来、46か国において今回初めて流行が報告されております。これらの国々では過去に
    ジカウイルス感染症流行の形跡がなく、現在もこの蚊による感染伝播が継続して発生しています。
   ・2007年から2014年の間に14か国においてジカウイルス感染症の伝播が報告されており、現在も
    この伝播が継続して発生しています。
   ・2007年から2014年の間には、4つの国と地域(クック諸島、フランス領ポリネシア、チリの
    イースター島、ミクロネシア連邦政府観光局のヤップ島)においてジカウイルス感染症の感染
    伝播が報告されましたが、現在は終息しています。

・ヒト-ヒト感染による伝播
   ・10か国においてジカウイルスのヒト-ヒト感染例が報告されており、これらはおそらく性交渉に
    よって感染したと思われます。

・5月18日までの週の直近の報告は、アルゼンチンから蚊媒介によるジカウイルス感染例の報告があり、
 また、ドイツからヒト-ヒト感染例が報告です。

・ジカウイルス感染が潜在的に関連している、あるいは先天感染が示唆される小頭症やその他の胎児奇形が、
 8つの国と地域から報告されています。新たにプエルトリコからジカウイルス感染に関連した小頭症が
 報告されました。

・小頭症とその他の神経学的異常を呈した2人の患者は、スペインとベネズエラ・ボリバル共和国にて
 現在検証中です。

・ジカウイルス感染症の流行を背景に、13の国と地域において、ギランバレー症候群(GBS)例および
 (あるいは)GBS患者でジカウイルス感染確定例が増加していることが報告されています。オランダでは
 輸入例としてジカウイルス感染に関連したGBS例1人が報告されました。

・現在までの研究を踏まえると、ジカウイルスが小頭症やギランバレー症候群の原因であることは、
 科学的なコンセンサスがあります。

・戦略的な対応の枠組みとしてWHOが立ち上げた、世界的な予防とコントロール戦略には、サーベイ
 ランス、対策活動および研究が内包されています。WHOは、公衆衛生上の緊急事態に対応するために、
 国際的パートナー、地域および国家のパートナーと共同で主要な介入を実施しています。2016年下半期に
 向けた戦略的な対応の枠組みの草案が、5月中旬にはパートナーに共有され、6月中旬には完成される
 予定です。

・WHOは、ジカウイルスを背景とした様々なテーマに関して、新たな勧告や情報を展開してきました。
 WHOの最新情報である、統合されプログラムに従ったリスクコミュニケーションやコミュニティーへの
 関与を支援するためのニュースおよび情報源については、オンラインで利用可能です。



【出典】
WHO, Zika
ZIKA Situation Report - 19 MAY 2016
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/19-may-2016/en/