(No.116)

黄熱に関する国際保健規則(IHR)緊急委員会における世界保健機関(WHO)声明
2016年5月19日

 黄熱に関する緊急委員会が、国際保健規則2005(IHR2005)に基づき、ヨーロッパ中央時間の5月19日
13:00から17:15にかけてテレカンファレンス形式で事務局長により開催されました。

 感染が流行している以下の加盟国が委員会の情報提供セッションに参加しました
:アンゴラ、コンゴ民主共和国

 WHOの事務局は、委員会に対して、黄熱の歴史やその衝撃力インパクトおよび、アンゴラのルアンダに
おける都市部での流行、さらにはその自国内での拡散、コンゴ民主共和国(DRC)、中国、ケニアへの国際的な
拡散に関する概要を説明しました。また、委員会には、アフリカで都市型黄熱が拡がる危険性、黄熱
ワクチンの世界的な備蓄状況に関する追加情報が提供されました。

 委員会は、提供された情報に関する議論と審議を行った後、アンゴラとDRCの都市部における黄熱の
流行は、国家による対策の強化と国際的な支援の増強の必要性が正当化される程度の公衆衛生上の重篤な
事象であると結論付けました。また委員会は、提供された情報に基づき、この事象が国際的に懸念される
公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)には現時点では該当しないとの結論を下しています。

 この事象がPHEICには該当しないと考える一方で、委員会のメンバーは、都市における黄熱の流行に
よってもたらされる国家および国際的な深刻な危険性を強調し、以下の領域において、WHOとその加盟国の
勘案事項に対する即座の対応への技術的なアドバイスを申し出ています。

・アンゴラとDRCにおける、サーベイランス、集団予防接種、リスクコミュニケーション、住民の動員、
 媒介蚊対策、症例管理の方策について、加速的に行うこと

・アンゴラやDRCとの間を往来する全ての旅行者、特に移民労働者に対して、黄熱ワクチン接種を確実に
 行うこと

・黄熱の危険性のある国および既に流行した国と国境を接する国において、旅行者の黄熱ワクチン接種の
 有無の確認やリスクコミュニケーションを含めた、サーベイランスや準備活動の強化

 委員会は同時に、新たないかなる黄熱の輸入例に対しても素早く対策を行い、現在実行している対応活動を
徹底的に評価し、黄熱の診断および確認を行える許容量を迅速に拡大する必要性を強調しました。また、
委員会は、国際的な黄熱ワクチン供給の限界を認識しているため、黄熱ワクチン接種を一生涯に一度とする
方策をすぐに運用し、予防接種に関する戦略諮問委員会(SAGE)による黄熱ワクチン接種用量の節約戦略を
すぐに評価するように勧告しました。

 委員会は、都市部における黄熱流行の危険性が増加しているとするWHOの分析をもとに、近い将来に
おいて、その予防に関する世界的な戦略計画を再吟味し改訂を行うことに同意しました。

 これらの意見と現在利用可能な情報に基づき、事務局総長は、現在の黄熱流行の状況は深刻であり、大変な
懸念事項であり、対策活動の強化が必要ではあるが、現時点でPHEICではないとする委員会声明を受け入れ
ました。

 また、事務局長は加盟国に対して、IHR (2005)に従い、アンゴラとDRCに出入国する旅行者に対する
黄熱ワクチン接種の要求を強化するよう、強く促しています。

 事務局長は、黄熱流行国や危険性のある国に対する優先的な方策やWHOにおける更なる黄熱の危機管理
対策に関する徹底的な忠告に対して感謝するとともに、必要時、委員会を再招集するという統一見解に謝意を
示しました。

【出典】
WHO
Meeting of the Emergency Committee under the International Health Regulations (2005) concerning Yellow Fever
WHO statement
19 May 2016
http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2016/ec-yellow-fever/en/