(No.118)

ジカウイルス感染症の流行状況(5)
平成28年5月26日更新

 2016年5月26日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

要約
・蚊媒介による伝播:2016年5月25日現在、以下の様に60の国と地域において引き続き蚊による感染伝播が
 報告されています。
   ・2015年以来、46か国において今回初めて流行が報告されております。これらの国々では過去に
    ジカウイルス感染症流行の形跡がなく、現在もこの蚊による感染伝播が継続して発生しています。
   ・2007年から2014年の間に14か国においてジカウイルス感染症の伝播が報告されており、現在も
    この伝播が継続して発生しています。
   ・2007年から2014年の間には、4つの国と地域(クック諸島、フランス領ポリネシア、チリの
    イースター島、ミクロネシア連邦政府観光局のヤップ島)においてジカウイルス感染症の感染伝播が
    報告されましたが、現在は終息しています。

・10か国においてジカウイルスのヒト-ヒト感染例が報告されており、これらはおそらく性交渉によって
 感染したと思われます。

・5月25日までの週において、ジカウイルスの蚊媒介による感染例またはヒト-ヒト感染例について新たに
 報告した国はありません。

・5月25日現在、ジカウイルス感染が潜在的に関連している、あるいは先天感染が示唆される小頭症や
 その他の中枢神経系(CNS)の奇形が、10の国と地域から報告されています。母親への感染が8つの
 異なった国々で引き起こされていますが、ラテンアメリカにおいて新たに発生した一例について、国の
 詳細が特定されておりません。スペインからの直近の報告として、帰還した妊婦の旅行者においてジカ
 ウイルスに関連した小頭症の一例がありました。

・ベネズエラ・ボリバル共和国とコスタリカにおいて、小頭症とその他の神経学的異常を呈した2人の患者が
 現在検証中です。

・ジカウイルス感染症の流行を背景に、13の国と地域において、ギランバレー症候群(GBS)例および
 (あるいは)GBS患者でジカウイルス感染確定例が増加していることが報告されています。オランダから
 帰還した旅行者で、ジカウイルス感染に関連したGBS患者が1人報告されました。また、グアドループでの
 GBS患者一人が現在検証中です。


・カーボベルデ共和国でのジカウイルス感染症流行の原因となったウイルスの遺伝子配列を検索したところ、
 アジア系統のもので、ブラジルで流行したものと同じものであることが判明しました。

・現在までの研究を踏まえると、ジカウイルスが小頭症やギランバレー症候群の原因であることは、科学的な
 コンセンサスがあります。

・2016年2月にWHOが立ち上げた戦略的な対応の枠組みには、サーベイランス、対策活動および研究が
 内包されています。この公衆衛生上の緊急事態に対して、WHOが国際的パートナー、地域および国家の
 パートナーとともに着手している、いくつかの主要な活動に関して、中間発表が公表されました。
 2016年7月から2017年12月の期間における対応戦略の改訂が現在もパートナーとともに行われており、
 6月中旬に公表される予定です。

・WHOは、ジカウイルスを背景とした様々なテーマに関して、新たな勧告や情報を展開してきました。
 WHOの最新情報である、統合されプログラムに従ったリスクコミュニケーションやコミュニティーへの
 関与を支援するためのニュースおよび情報源については、オンラインで利用可能です。




【出典】
WHO, Zika
ZIKA Situation Report - 26 MAY 2016
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/26-may-2016/en/