(No.12)

ガイアナ共和国、バルバドス、エクアドルにおけるジカウイルス感染症
2016年1月20日

  2016年1月14日から15日の間に、ガイアナ共和国、バルバドス、エクアドルの国際保健規則(IHR)
担当窓口は、ジカウイルス感染例を汎アメリカ保健機構/世界保健機関(PAHO/WHO)に報告しました。

ガイアナ共和国
 ガイアナ共和国のIHR担当窓口は、1月14日、同地で感染した初めてのジカウイルス感染例が検査で
確認されたことを報告しました。患者は27歳の女性で、Berbice 6区に在住しており、1月1日に
発症しました。
 患者の検体は1月4日に採取され、トリニダートトバゴ共和国にあるカリブ公衆衛生庁(CARPHA)の
検査室に検査のため送られました。この患者は、ウイルス遺伝子の探索法であるポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)により陽性が確認されました。

バルバドス
 バルバドスのIHR担当窓口は、1月15日、同地で初めてとなる3例のジカウイルス感染例が検査で
確認されたことを報告しました。患者はいずれも旅行歴がありません。
 患者の検体はカリブ公衆衛生庁(CARPHA)の検査室に検査のため送られました。この患者は、
ウイルス遺伝子の探索法であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により陽性が確認されました。

エクアドル
 エクアドルのIHR担当窓口は、1月15日、2例のジカウイルス感染例が検査で確認されたことを
報告しました。1月16日現在、合計で6例の感染例が報告されたことになります。そのうち2例が
現地での感染例で、残りの4例が輸入感染例(3例がコロンビア、1例がベネズエラから)でした。
 患者の検体は採取後、ガイアナにある国立衛生研究所に検査のため送られました。全ての患者において、
ウイルス遺伝子の探索法であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりジカウイルスが陽性で、デングおよび
チクングニア熱ウイルスが陰性であることを確認されました。

公衆衛生上の取り組み
 ガイアナ共和国、バルバドス、エクアドルの保健当局は以下の対策を行っています。
:サーベイランスの強化、媒介蚊の防除対策の実行、ジカウイルスに関連した危険性について
住民への教育、蚊咬傷に対するあらゆる予防策を実行することを推奨。

WHOからのアドバイス
 居住地域と媒介蚊の繁殖地域が近接していることは、ジカウイルス感染症の危険因子となります。
感染症予防対策として重要な事は、繁殖地の除去や改変を通して蚊の繁殖を抑制し、蚊との接触を
極力避けることです。これは、幼虫の生息地となる自然および人工の水源を減らすことで危険地域の
成虫蚊の数を減らし、防蚊ネットを使用し窓や戸口を閉め、長袖の着用や防虫剤を使用することで
達成されます。この感染症の主要な媒介蚊となるヤブカは日中に活動することが知られており、
小さい子供、病人や老人など日中に睡眠をとる人々は、殺虫剤が塗布された、あるいは未塗布の
ものであっても蚊帳を使用して睡眠をとることが推奨されています。また、蚊取線香やその他の
殺虫剤用噴霧器も、蚊に刺される機会を減らすのに役立つでしょう。
 感染が流行している間は、殺虫剤の散布がWHOの技術指南のもと実行される場合があります。
技術的に適応のある場合に、WHOの殺虫剤評価体系によって推奨されている適切な殺幼虫剤が、
大きな貯水タンクに対して使用されるでしょう。
 蚊咬傷を防止するための基本的な予防策が、危険性の高い地域に旅行する人々、特に妊婦に対して
実行されるべきです。この予防策として、忌避剤の使用、明るい色の服、長袖、長ズボンの着用、
蚊の侵入を防ぐために隙間なく網戸を設置する、等が挙げられます。
 WHOは、ガイアナ共和国、バルバドス、エクアドルに対する、現在の情報に基づいたいかなる旅行や
貿易の制限を推奨しません。

【出典】
WHO, Emergencies preparedness, response.
 Zika virus infection – Guyana, Barbados and Ecuador
 20 January 2016
http://www.who.int/csr/don/20-january-2016-zika-guyana-barbados-ecuador/en/