(No.122)

エボラ出血熱の流行状況(84)
平成28年6月2日更新

  2016年6月2日、世界保健機関(WHO)はエボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。

・2016年3月29日、西アフリカにおけるエボラ出血熱(EVD)流行に関する国際的に懸念される
 公衆衛生上の緊急事態 (PHEIC)が解除されました。ギニア、リベリア、シエラレオネでは、
 合計で28,616人の感染確定例、可能性例、疑い例および11,310人の死亡者が報告されています。

・3月17日から4月6日の間に、最近の感染者集団において、7人のEVD確定例および3人の可能性例が、
 ギニア南東部のゼレコレ県(9人)とマセンタ県(1人)から報告されました。さらに、4月1日から
 5日の間に、リベリアの首都モンロビアから3人の感染確定例が報告されました。;これらの感染者は、
 マセンタでの感染者の妻と2人の子で、マセンタからモンロビアへ旅行していました。

・今回の感染者集団の発端となる感染者である、ゼレコレ県Koropara支庁地域在住の37歳の女性は、
 2月15日頃に発症し、確定診断されることなく2月27日に死亡しました。この患者の感染源は、
 EVD生存者の体液への曝露の可能性が高いと思われます。

・ギニアでは、最後の感染者において、4月19日の2回目の検査結果においてもエボラウイルスが陰性
 でした。リベリアでは、最後の感染者において、4月28日の2回目の検査結果においてもエボラウイルス
 が陰性でした。

・リベリアでは、最後の患者が検査で陰性を確認されてから42日間(潜伏期間である21日間の2倍)経過後
 の6月9日に、流行の終息宣言が可能となる予定です。ギニアは6月1日に終息宣言を行いました。

・シエラレオネでは今年3月にアウトブレイクを封じ込んでからの後も、報告のあった死亡例に対する検査
 の実施および疑い例における迅速な調査と検査を伴った強化サーベイランスが継続されています。
 検査の方針については6月30日に再検討される予定です。

リスク評価
 ギニアは6月1日にエボラ出血熱流行の終息宣言を行いました。リベリアでは、6月9日に終息宣言が可能
 となる予定です。達成指標を見る限り、ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて感染の予防、感染の
 検出(疫学的及び検査室におけるサーベイランス)および新たなアウトブレイクに対する対応能力に
 差があることが示唆されています(図1)。感染から回復した人の体液から新たなアウトブレイクが発生
 する危険性は今後も残っており、安全な性交渉の実践についてのカウンセリングと体液の検査を通じて
 その危険性を減らし続けることが必要です。

(図1)


【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 2 JUNE 2016
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/208817/1/ebolasitrep_2Jun2016_eng.pdf?ua=1