エボラ出血熱の流行状況(74)
平成28年1月20日更新
2016年1月20日、世界保健機関(WHO)はエボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・シエラレオネにおいて、2015年11月7日、2014年のエボラ流行に直接関連するヒト-ヒト感染が
終息したことが宣言されました。シエラレオネでは、その後、見逃された感染環や保因動物、
流行地域からのウイルスの再輸入や、生存者に残存しているウイルスからの再感染を迅速に探索するため、
90日間のサーベイランス強化期間に入っていました。90日間のサーベイランス強化期間に入り68日が
経過した1月14日に、シエラレオネにおいて、病死した22歳の女性における死後のスワブ検体から
エボラウイルス陽性が検査で確認され、新たなEVD確定例として報告されました。患者女性は1月12日に
Tonkolili 地区のMagburakaの町中にある彼女の家族の家で死亡し、安全でない方法で埋葬されました。
患者は、その2週間前、彼女が学生をしているポート・ロコからKambiaとBombaliを経由してMagburakaへ
1月7日に至る旅行をしていました。報告によると、旅行中の患者の症状として、嘔吐と下痢があったとの
ことです。シエラレオネ保健衛生省(MoHS)は、WHOやその他の協力機関の協力を得て、
この新しい感染例に迅速に対応し、約50人の高リスク症例を含む約150人の接触者を同定しました。
接触者や二次接触者に対するワクチン接種が、政府当局およびシエラレオネMoHSによる共同作業により
進行中です。しかしながら、死亡2週間前における患者女性の広範囲に渡る旅行歴や、入退院した
医療機関において医療従事者が個人用防護服(PPE)を装着していなかったこと、療養中における
家族との濃厚接触、安全でない埋葬が、更なる感染伝播の非常に高い危険性を示唆しています。
Tonkoliliにおける1人の接触者について、現在も追跡中です。感染源についても調査中です。
・リベリアにおける、最後の集団感染例に関連したヒト-ヒト感染は2016年1月14日に終息しました。
ギニアでは2015年12月29日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日間のサーベイランス
強化期間に入っており、2016年3月27日に終了する予定です。
・WHOとその他の協力機関の指導のもと、ギニア、リベリアおよびシエラレオネの保健省は、
想定される1万人以上のEVD感染の生存者の健康を守るための重要なサービスのパッケージを配布する
計画があり、近親者との接触感染を防止するために必要な予防措置をとることができます。リベリアの
300人以上の男性生存者は2016年1月17日までに精子検査のスクリーニングとカウンセリングサービスを
うけました。残存するエボラリスクを管理する第2期の3つの枠組みの鍵となる目的を達成するために、
医療従事者や公衆衛生従事者があらゆる熱性疾患の患者もしくはその死亡の原因をEVDとの関連を疑い
報告できるようにするために、WHOはギニア、リベリア、シエラレオネのサーベイランスシステムの
強化を実現できるよう支持しました。1月17日の週にギニアでは876件の警告が34県すべてから報告され、
コミュニティ内の死亡の報告は869件でした。同期間にギニアで稼働中の9つの研究所で34県のうち
17県からのみ316検体(生存者から16検体、コミュニティ内の死亡者から300検体)が検査されました。
リベリアでは15州すべてから826件の警報が報告されそのほとんどの725件は生存者でした。リベリアでの
稼働中の5つの研究所では、同期間の間861件の新規と再検査の検体(生存者から718検体と
コミュニティ内の死亡者から143検体)が検査されました。シエラレオネでは14地域から1271件の警報が
報告されました。そのほとんどである1,106件の警報は、コミュニティ内の死亡でした。シエラレオネの
稼働中の7つの研究所では、同期間の間1,044件の新規と再検査の検体(生存者から26検体と
コミュニティ内の死亡者から1,018検体)が検査されました。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 現在行われているサーベイランスや、発症者、死亡者の再調査により、これらの数字は改訂される
可能性があります。
※3 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
※4 ギニアは2015年12月29日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
※5現在行われているサーベイランスや、発症者、死亡者の再調査により、これらの数字は改訂される
可能性があります。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 20 January 2016
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-20-january-2016
要約
・シエラレオネにおいて、2015年11月7日、2014年のエボラ流行に直接関連するヒト-ヒト感染が
終息したことが宣言されました。シエラレオネでは、その後、見逃された感染環や保因動物、
流行地域からのウイルスの再輸入や、生存者に残存しているウイルスからの再感染を迅速に探索するため、
90日間のサーベイランス強化期間に入っていました。90日間のサーベイランス強化期間に入り68日が
経過した1月14日に、シエラレオネにおいて、病死した22歳の女性における死後のスワブ検体から
エボラウイルス陽性が検査で確認され、新たなEVD確定例として報告されました。患者女性は1月12日に
Tonkolili 地区のMagburakaの町中にある彼女の家族の家で死亡し、安全でない方法で埋葬されました。
患者は、その2週間前、彼女が学生をしているポート・ロコからKambiaとBombaliを経由してMagburakaへ
1月7日に至る旅行をしていました。報告によると、旅行中の患者の症状として、嘔吐と下痢があったとの
ことです。シエラレオネ保健衛生省(MoHS)は、WHOやその他の協力機関の協力を得て、
この新しい感染例に迅速に対応し、約50人の高リスク症例を含む約150人の接触者を同定しました。
接触者や二次接触者に対するワクチン接種が、政府当局およびシエラレオネMoHSによる共同作業により
進行中です。しかしながら、死亡2週間前における患者女性の広範囲に渡る旅行歴や、入退院した
医療機関において医療従事者が個人用防護服(PPE)を装着していなかったこと、療養中における
家族との濃厚接触、安全でない埋葬が、更なる感染伝播の非常に高い危険性を示唆しています。
Tonkoliliにおける1人の接触者について、現在も追跡中です。感染源についても調査中です。
・リベリアにおける、最後の集団感染例に関連したヒト-ヒト感染は2016年1月14日に終息しました。
ギニアでは2015年12月29日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日間のサーベイランス
強化期間に入っており、2016年3月27日に終了する予定です。
・WHOとその他の協力機関の指導のもと、ギニア、リベリアおよびシエラレオネの保健省は、
想定される1万人以上のEVD感染の生存者の健康を守るための重要なサービスのパッケージを配布する
計画があり、近親者との接触感染を防止するために必要な予防措置をとることができます。リベリアの
300人以上の男性生存者は2016年1月17日までに精子検査のスクリーニングとカウンセリングサービスを
うけました。残存するエボラリスクを管理する第2期の3つの枠組みの鍵となる目的を達成するために、
医療従事者や公衆衛生従事者があらゆる熱性疾患の患者もしくはその死亡の原因をEVDとの関連を疑い
報告できるようにするために、WHOはギニア、リベリア、シエラレオネのサーベイランスシステムの
強化を実現できるよう支持しました。1月17日の週にギニアでは876件の警告が34県すべてから報告され、
コミュニティ内の死亡の報告は869件でした。同期間にギニアで稼働中の9つの研究所で34県のうち
17県からのみ316検体(生存者から16検体、コミュニティ内の死亡者から300検体)が検査されました。
リベリアでは15州すべてから826件の警報が報告されそのほとんどの725件は生存者でした。リベリアでの
稼働中の5つの研究所では、同期間の間861件の新規と再検査の検体(生存者から718検体と
コミュニティ内の死亡者から143検体)が検査されました。シエラレオネでは14地域から1271件の警報が
報告されました。そのほとんどである1,106件の警報は、コミュニティ内の死亡でした。シエラレオネの
稼働中の7つの研究所では、同期間の間1,044件の新規と再検査の検体(生存者から26検体と
コミュニティ内の死亡者から1,018検体)が検査されました。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 | 症例定義 | 症例数 | 21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア※4 | 確定例 | 3,351 | 0 | 2,083 |
可能性例 | 453 | 未報告 | 453 | |
疑い例 | 0 | 未報告 | データなし | |
国別総数 | 3,804 | 0 | 2,536 | |
リベリア | 確定例 | 3,151 | - | データなし |
可能性例 | 1,879 | - | データなし | |
疑い例 | 5,636 | - | データなし | |
国別総数 | 10,666 | - | 4,806 | |
リベリア※2 | 確定例 | 9 | 0 | 3 |
可能性例 | 未報告 | 未報告 | データなし | |
疑い例 | データなし | 未報告 | データなし | |
国別総数 | 9 | 0 | 3 | |
シエラレオネ※3 | 確定例 | 8,704 | 0 | 3,589 |
可能性例 | 287 | 未報告 | 208 | |
疑い例 | 5,131 | 未報告 | 158 | |
国別総数 | 14,122 | 0 | 3,955 | |
シエラレオネ※5 | 確定例 | 1 | 1 | 1 |
可能性例 | 0 | 0 | 0 | |
疑い例 | 0 | 0 | 0 | |
国別総数 | 1 | 1 | 1 | |
総数 | 確定例 | 15,216 | 1 | データなし |
可能性例 | 2,619 | 未報告 | データなし | |
疑い例 | 10,767 | 未報告 | データなし | |
総数 | 28,602 | 1 | 11,301 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2 現在行われているサーベイランスや、発症者、死亡者の再調査により、これらの数字は改訂される
可能性があります。
※3 シエラレオネは2015年11月7日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
※4 ギニアは2015年12月29日にEVD流行の終息が宣言されており、現在は90日の高警戒期間に
入っています。
※5現在行われているサーベイランスや、発症者、死亡者の再調査により、これらの数字は改訂される
可能性があります。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report – 20 January 2016
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-20-january-2016