(No.131)

ベナンにおけるラッサ熱
2016年6月13日更新

 2016年1月25日、ベナンの国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関(WHO)にラッサ熱の
アウトブレイクを報告しました。(既報:関西空港検疫所海外感染情報2016年No.37 )
 2016 年5月23日、ベナンの保健省はこのアウトブレイクの終息を宣言しました。同国での最後の
ラッサ熱患者が確認された2016年4月10日から42日間が経過しました。

 28人の死亡を含む合計54人の疑い例は8県から報告されました:ボルゴー県(31人中死亡16人)、
ドンガ県(7人中死亡5人)、コリネ県(6人中死亡3人)、 アリボリ県(3人中死亡1人)、プラトー県
(3人中死亡2人)、ウェメ県(2人中死亡1人)、アトランティック県(1人)、リトラル県(1人)です。
これらの54人の疑い例のうち3県での16人が確定診断されました:ボルゴー県13人、ドンガ県2人、
ウェメ県1人です。

 54人の疑い例のうち5人がボルゴー県の医療従事者で、その5人のうち3人が確定診断されました。
2人は死亡しています。

 このアウトブレイクの経過中に、以下の5つの施設はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によるラッサ熱患者の
診断のために技術的支援を行いました。
 1. ナイジェリアエド州イルアのラッサ熱研究・制御センターであるイルアスペシャリスト教育病院
 2. ナイジェリアラゴスのラゴス大学附属病院ウイルス検査室
 3. ドイツハンブルグの熱帯医学研究所
 4. ガーナの野口記念医学研究所
 5. フランスリヨンのパスツール研究所

公衆衛生上の取り組み
 ベナンの保健省はWHOおよび支援団体と共にアウトブレイクの管理を調整しています。調査活動、
サーベイランスの強化、症例管理、感染予防や制御、接触者の追跡調査と経過観察、社会的動員を含めた
対策方法を実施しています。
 WHOは影響をうけた地域における活動を支援するために学際的な専門家チームを派遣しました。
 アウトブレイクの開始から合計739人の接触者が診断され監視中です。現在経過観察中の接触者の一人が
ラッサ熱に感染していると診断されました。

WHOのリスク評価
 現在ベナンにおけるラッサ熱の感染伝播はないと報告されています。しかしラッサ熱は近隣国の
ナイジェリアや他の西アフリカの国々では風土病となっており、今回はベナンでまだ2回目(1回目は
2014年11月)のアウトブレイクで、この最近のアウトブレイクは確定診断例のなかでも死亡数が
多いことが特徴です。従って死亡率が予想よりも高くなることに寄与する要因を調査することは
最大の重要事項です。さらに、ラッサ熱の再燃の可能性を減らすために、ラッサ熱が風土病となっている
西アフリカの国々は関連したサーベイランスシステムの強化するよう奨励されています。

WHOのアドバイス
 WHOは入手可能な最新の情報に基づいて、ベナンに対するいかなる旅行や貿易の制限を推奨していません。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Lassa Fever – Benin
13 June 2016
http://www.who.int/csr/don/13-june-2016-lassa-fever-benin/en/