(No.142)

ジカウイルス感染症の流行状況(9)
平成28年6月23日更新

 2016年6月23日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

要約
・蚊媒介による伝播:2016年6月22日現在、以下の様に61の国と地域において引き続き蚊による
 感染伝播が報告されています。
・2015年以来、47か国において今回初めて流行が報告されております。これらの国々では過去に
 ジカウイルス感染症流行の形跡がなく、現在もこの蚊による感染伝播が継続して発生しています。
・2007年から2014年の間に14か国においてジカウイルス感染症の伝播が報告されており、現在も
 この伝播が継続して発生しています。
・2007年から2014年の間には、4つの国と地域(クック諸島、フランス領ポリネシア、チリのイースター島、
 ミクロネシア連邦政府観光局のヤップ島)においてジカウイルス感染症の感染伝播が報告されましたが、
 現在は終息しています。

・10か国においてジカウイルスのヒト-ヒト感染例が報告されており、これらはおそらく性交渉によって
 感染したと思われます。

・アメリカ疾病管理予防センター(US-CDC)は、検査室で感染したジカウイルス感染者1人を
 報告しました。

・6月22日までの週において、英領アンギラにおいて蚊媒介によるジカウイルス感染症が最後に
 報告されました。

・2016年6月22日時点でジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、又は先天性の感染が示唆される
 小頭症やその他の中枢神経(CNS)奇形が、12の国と地域から報告されています。これらの最近に
 報告された小頭症3人は、ブラジル(スロベニア、アメリカ合衆国)ベネズエラ・ボリバル共和国、
 コロンビア(スペイン)への渡航歴のある母親から生まれました。さらに、ラテンアメリカの
 何処の国で感染したかが正確に判別できない新たな事例が1例あります。

・6月9日現在、US-CDCは、ジカウイルス感染症の可能性が検査で証明された、3人の先天異常を伴う
 新生児の出産と3例の流産を報告しました。

・ジカウイルス感染症の流行を背景に、13の国と地域において、ギランバレー症候群(GBS)例および
 (あるいは)GBS患者でジカウイルス感染確定例が増加していることが報告されています。

・グアドループにおいて、重篤な神経学的異常のある患者1例がジカウイルス感染症と診断されました。

・現在までの研究を踏まえると、ジカウイルスが小頭症やギランバレー症候群の原因であることは、
 科学的なコンセンサスがあります。

・カーボベルデ共和国でのジカウイルス感染症流行の原因となったウイルスの遺伝子配列を検索したところ、
アジア系統のもので、ブラジルで流行したものと同じものであることが判明しました。
 しかし、この所見が示す詳しい意味はまだ明らかではありません。

・6月14日、国際保健規則 (IHR)(2005)に基づいて、事務局長によって召集された小頭症及びその他の
 神経学的障害とジカウイルスに関する第3回の緊急会議が開催されました。

・2016年2月にWHOが立ち上げた戦略的な対応の枠組みには、サーベイランス、対策活動および研究が
 内包されています。この公衆衛生上の緊急事態に対して、WHOが国際的パートナー、地域および国家の
 パートナーとともに着手している、いくつかの主要な活動に関して、中間発表が公表されました。
 2016年7月から2017年12月の期間における対応戦略の改訂版が6月17日に公表されました。

・WHOは、ジカウイルスを背景とした様々なテーマに関して、新たな勧告や情報を展開してきました。 
 WHOの最新情報である、統合されプログラムに従ったリスクコミュニケーションやコミュニティーへの
 関与を支援するためのニュースおよび情報源については、オンラインで利用可能です。



【出典】
WHO, Zika
ZIKA Situation Report - 23 June 2016
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/23-june-2016/en/