(No.145)

ジカウイルス感染症の流行状況(10)
平成28年6月30日更新

 2016年6月29日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

要約
・蚊媒介による伝播:2016年6月22日現在、以下の様に61の国と地域において引き続き蚊による感染伝播が
 報告されています。
 ・2015年以来、47か国において今回初めて流行が報告されております。これらの国々では過去に
  ジカウイルス感染症流行の形跡がなく、現在もこの蚊による感染伝播が継続して発生しています。
 ・2007年から2014年の間に14か国においてジカウイルス感染症の伝播が報告されており、現在も
  この伝播が継続して発生しています。
 ・2007年から2014年の間には、4つの国と地域(クック諸島、フランス領ポリネシア、チリの
  イースター島、ミクロネシア連邦政府観光局のヤップ島)においてジカウイルス感染症の感染伝播が
  報告されましたが、現在は終息しています。

・10か国においてジカウイルスのヒト-ヒト感染例が報告されており、これらはおそらく性交渉によって
 感染したと思われます。
・6月29日までの週において、蚊媒介によるジカウイルス感染症が報告された新たな国や地域はありません。
・2016年6月29日時点でジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、又は先天性の感染が示唆される
 小頭症やその他の中枢神経(CNS)奇形が、13の国と地域から報告されています。これらの国々のうち
 3か国では、ラテンアメリカの流行国への最近の渡航歴がある母親から生まれた小頭症例を
 報告しています。
・6月16日現在、アメリカ疾病管理予防センター(US-CDC)は、ジカウイルス感染症の可能性が検査で
 証明された、4人の先天異常を伴う新生児の出産と4例の流産を報告しました。それに加え、同国において
 ハイチ在住の母親から小頭症の新生児が出生したことを報告しました。
・6月20日、仏領ギアナにおいて初めてとなる、妊婦へのジカウイルス感染に関連した小頭症例が報告
 されました。この胎児の小頭症は超音波検査で診断されていて、羊水においてジカウイルスが陽性である
 ことが、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法によって明らかされています。
・ジカウイルス感染症の流行を背景に、14の国と地域において、ギランバレー症候群(GBS)例および
 (あるいは)GBS患者でジカウイルス感染確定例が増加していることが報告されています。
・グアドループにおいて、GBSを合併した感染者1人が診断され、その他の6人が現在調査中です。
・現在までの研究を踏まえると、ジカウイルスが小頭症やギランバレー症候群の原因であることは、
 科学的なコンセンサスがあります。
・カーボベルデ共和国でのジカウイルス感染症流行の原因となったウイルスの遺伝子配列を検索したところ、
 アジア系統のもので、ブラジルで流行したものと同じものであることが判明しました。
 しかし、この所見が示す詳しい意味はまだ明らかではありません。
・6月14日、国際保健規則 (IHR)(2005)に基づいて、事務局長によって召集された小頭症及びその他の
 神経学的障害とジカウイルスに関する第3回の緊急会議が開催されました。
・2016年2月にWHOが立ち上げた戦略的な対応の枠組みには、サーベイランス、対策活動および研究が
 内包されています。この公衆衛生上の緊急事態に対して、WHOが国際的パートナー、地域および
 国家のパートナーとともに着手している、いくつかの主要な活動に関して、中間発表が公表されました。
 2016年7月から2017年12月の期間における対応戦略の改訂版が6月17日に公表されました。
・WHOは、ジカウイルスを背景とした様々なテーマに関して、新たな勧告や情報を展開してきました。
 WHOの最新情報である、統合されプログラムに従ったリスクコミュニケーションやコミュニティーへの
 関与を支援するためのニュースおよび情報源については、オンラインで利用可能です。



【出典】
WHO, Zika
ZIKA Situation Report - 30 June 2016
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/30-june-2016/en/