(No.148)

ジカウイルス感染症の流行状況(11)
平成28年7月7日更新

 2016年7月7日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

要約
 WHOとパートナーは、ジカウイルス感染症の感染伝播の発生状況をより十分に特徴付けるために、
流行と国内発生、蚊媒介による感染の遮断を構成する要素の定義を設定しました。さらにこれにより
住民や渡航者のための公衆衛生勧告が促進されるでしょう。これらの定義に基づき、蚊によるジカウイルスの
伝播が報告されている国や地域が再分類されました。

・蚊媒介による伝播:2016年7月6日現在、以下の様に65の国と地域において引き続き蚊による感染伝播が
報告されています。(2015年以降、蚊によるジカウイルスの感染伝播が起こった地域は62か国です)

 ・2015年以降、48か国と地域において初めて流行が報告されております。
 ・4か国において、2016年以降に特定地域での流行が起こっている可能性があるかジカウイルス感染の
 報告がある国として定義されています。
 ・13か国と地域において、2015年以前に蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播が報告され、
 2016年には患者報告がないまたは流行が終息しています。

・直近ではギニア・ビサウにおいてジカウイルスの伝播が起こったことが報告されています。
・11か国においてジカウイルスのヒト-ヒト感染例が報告されており、これらはおそらく性交渉によって
 感染したと思われます。直近ではスペインにおいてヒト-ヒト感染が報告されました。
・2016年7月6日時点でジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、又は先天性の感染が示唆される
 小頭症やその他の中枢神経(CNS)奇形が、13の国と地域から報告されています。これらの国々のうち
 3か国では、ラテンアメリカの流行国への最近の渡航歴がある母親から生まれた小頭症例を
 報告しています。
・6月16日現在、アメリカ疾病管理予防センター(US-CDC)は、ジカウイルス感染症の可能性が検査で
 証明された、7人の先天異常を伴う新生児の出産と5例の流産を報告しました。それに加え、同国において
 ハイチ在住の母親から小頭症の新生児が出生したことを報告しました。
・ジカウイルス感染症の流行を背景に、15の国と地域において、ギランバレー症候群(GBS)例および
 (あるいは)GBS患者でジカウイルス感染確定例が増加していることが報告されています。
・現在までの研究を踏まえると、ジカウイルスが小頭症やギランバレー症候群の原因であることは、
 科学的に意見が一致しています。
・直近ではジャマイカにおいてジカウイルス感染例が1人診断確定されています。
・グアドループにおいてジカウイルス感染による重度の神経症状が8人に見られました。
・ギニア・ビサウにおいて同国で検出されたジカウイルスの遺伝子配列分析を使用し系統を理解することを
 指導するためにWHOの活動が行われる予定です。
・2016年2月にWHOが立ち上げた戦略的な対応の枠組みには、サーベイランス、対策活動および研究が
 内包されています。この公衆衛生上の緊急事態に対して、WHOが国際的パートナー、地域および国家の
 パートナーとともに着手している、いくつかの主要な活動に関して、2016年5月27日に中間発表が
 公表されました。また、2016年7月から2017年12月の期間における対応戦略の改訂版が6月17日に
 公表されました。
・WHOは、ジカウイルスを背景とした様々なテーマに関して、新たな勧告や情報を展開してきました。  

 WHOの最新情報である、統合されプログラムに従ったリスクコミュニケーションやコミュニティーへの
関与を支援するためのニュースおよび情報源については、オンラインで利用可能です。

リスク評価
 全体として世界におけるリスク評価に変更はありません。カーボヴェルデ共和国でのジカウイルスの
アジア系統の存在に対する影響については現在調査中です。ジカウイルスは媒介能力をもつ蚊が生息する
地域において地図の上で拡大し続けています。いくつかの国やその国の一部の地域においてジカウイルス
感染症の患者が減少する傾向が報告されていますが、警戒体制を強化しておくことが必要です。
利用できる物証に基づき、WHOは現段階では全体として流行が弱まる傾向にあるとはみていません。

【出典】
WHO,SITUATION REPORT
ZIKA VIRUS ,MICROCEPHALY, GUILLAIN-BARRÉ SYNDROME
7 JULY 2016
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/7-july-2016/en/