(No.153)

ジカウイルス感染症の流行状況(13)
平成28年7月21日更新

 2016年7月21日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

要約
・WHOとパートナーは、ジカウイルス感染症の感染伝播の発生状況をより十分に特徴付けるために、
 流行と国内発生、蚊媒介による感染の遮断を構成する要素の定義を設定しました。これらの定義は
 2016年7月7日のsituation report(DON 7月7日更新〈関空HP:海外感染症情報2016 No.148〉参照)から
 使用するようになりました。
・蚊媒介による伝播:2016年7月20日現在、以下の様に65の国と地域において引き続き蚊による感染伝播が
 報告されています。(2015年以降、蚊によるジカウイルスの感染伝播が起こった地域は62か国です)
 ・2015年以降、48か国と地域において初めて流行が報告されております。
 ・4か国において、2016年以降に特定地域での流行が起こっている可能性があるかジカウイルス感染の
  報告がある国として定義されています。
 ・13か国と地域において、2015年以前に蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播が報告され、
  2016年には患者報告がないまたは流行が終息しています。
・7月20日現在、新たに蚊によるジカウイルスの感染伝播が起こった国と地域の報告はありません。
・11か国においてジカウイルスのヒト-ヒト感染例が報告されており、これらはおそらく性交渉によって
 感染したと思われます。直近ではスペインにおいてヒト-ヒト感染が報告されました。
・感染様式が現在のところ調査中となっているジカウイルス感染例1例が、最近米国より報告されました。
 この患者は、6月に死亡した感染者との間に家族内接触がありました。この死亡者の血液検体からは、
 その他の感染者の検体で認める量の100,000倍以上のウイルス量を認めました。
・2016年7月15日、性交渉による初めての女性から男性へのジカウイルス感染例が米国より
 報告されました。
・7月20日現在、ジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、又は先天性の感染が示唆される小頭症や
 その他の中枢神経(CNS)奇形が、13の国と地域から報告されています。これらの国々のうち3か国では、
 ラテンアメリカの流行国への最近の渡航歴がある母親から生まれた小頭症例を報告しています。
・7月20日現在、アメリカ疾病管理予防センター(US-CDC)は、ジカウイルス感染症の可能性が検査で
 証明された、9人の先天異常を伴う新生児の出産と6例の流産を報告しました。
・2016年7月20日現在、15の国と地域において、ギランバレー症候群(GBS)例および(あるいは)GBS患者で
 ジカウイルス感染確定例が増加していることが報告されています。
・これまでの研究を踏まえますと、ジカウイルスが小頭症とGBSの原因であることについては科学的な
 コンセンサスがあります。
・6月29日にギニアビサウでは、セネガルのダカールパスツール研究所(IPD)で行われたPCR検査の結果、
 12検体のうち4検体がジカウイルス陽性でした。また12検体全てがジカウイルスに対するIgMは
 陰性でした。7月1日にさらにIPDに送られた4検体については現在遺伝子解析中のため、結果はまだ
 保留中です。
・ギニアビサウの政府は、WHO在ギニアビサウ事務所(WCO)の支援を受け、これらの調査結果への対応に
 ついて強力なリーダーシップを発揮しています。WCOは対策活動に必要な物資を支援する基金を
 有しています。WHOの同国における学際的な評価活動が、7月の最後の週に予定されており、
 アウトブレイクの調査と同国における準備状態の評価に対する支援が行われるでしょう。
・2016年2月にWHOが立ち上げた戦略的な対応の枠組みには、サーベイランス、対策活動および研究が
 内包されています。この公衆衛生上の緊急事態に対して、WHOが国際的パートナー、地域および国家の
 パートナーとともに着手している、いくつかの主要な活動に関して、2016年5月27日に中間発表が
 公表されました。また、2016年7月から2017年12月の期間における対応戦略の改訂版が6月17日に
 公表されました。
・WHOは、ジカウイルスを背景とした様々なテーマに関して、新たな勧告や情報を展開してきました。 

 WHOの最新情報である、統合されプログラムに従ったリスクコミュニケーションやコミュニティーへの
関与を支援するためのニュースおよび情報源については、オンラインで利用可能です。

【出典】
WHO,SITUATION REPORT
ZIKA VIRUS ,MICROCEPHALY, GUILLAIN-BARRÉ SYNDROME
21 JULY 2016
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/21-july-2016/en/