(No.157)

ジカウイルス感染症の流行状況(14)
平成28年7月28日更新

 2016年7月28日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

要約
・WHOとパートナーは、ジカウイルス感染症の感染伝播の発生状況をより十分に特徴付けるために、
 流行と国内発生、蚊媒介による感染の遮断を構成する要素の定義を設定しました。これらの定義は
 2016年7月7日のsituation report(DON 7月7日更新〈関空HP:海外感染症情報2016 No.148〉参照)から
 使用するようになりました。
・蚊媒介による伝播:2016年7月28日現在、以下の様に67の国と地域において引き続き蚊による感染伝播が
 報告されています。(2015年以降、蚊によるジカウイルスの感染伝播が起こった地域は64か国です)
 ・2015年以降、50か国と地域において初めて流行が報告されています。
 ・4か国が、2016年以降に特定地域での流行が起こっている可能性があるか、ジカウイルス感染の報告が
  ある国として定義されています。
 ・13か国と地域において、2015年以前に蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播が報告され、
  その後2016年には患者報告がないまたは流行が終息しています。
・7月27日現在、新たに1つの国と1つの地域で蚊によるジカウイルスの感染伝播の発生報告がなされて
 います。アンティグア-バーブーダ及びイギリス領タークス-カイコス諸島です。
・2016年2月以降、11か国においてジカウイルスのヒト-ヒト感染例が報告されており、これらはおそらく
 性交渉によって感染したと思われます。
・感染様式が現在のところ調査中となっているジカウイルス感染例1例が、最近米国ユタ州より
 報告されました。この患者は、6月に死亡した感染者との間に家族内接触がありました。この死亡者の
 血液検体からは、その他の感染者の検体で認める量の100,000倍以上のウイルス量を認めました。
 感染様式についての調査結果はまだでていません。
・渡航と関連していないジカウイルス感染2例がアメリカ合衆国フロリダ州で最近報告されています。
・7月27日現在、ジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、又は先天性の感染が示唆される小頭症や
 その他の中枢神経(CNS)奇形が、14の国と地域から報告されています。直近の報告はパラグアイからの
 もので、最近報告されたジカウイルス感染確定例と関連した小頭症2例の報告です。さらにこれら14の
 国と地域のうち3か国では、ジカウイルス感染の国内流行は無くジカウイルスの流行が報告されている
 中南米からの輸入例のみが報告されている国々の母親からの感染の報告です。
・スペインでは5月末に子宮内ジカウイルス感染をした母親からの小頭症児の出生1例目が
 報告されています。
・7月27日現在、アメリカ疾病管理予防センター(US-CDC)は、ジカウイルス感染が検査で証明された、
 先天異常を伴う12人の新生児の出産と6例の死産を報告しました。
・2016年7月27日現在、15の国と地域において、ギランバレー症候群(GBS)例および(あるいは)GBS患者で
 ジカウイルス感染確定例が増加していることが報告されています。
・これまでの研究を踏まえますと、ジカウイルスが小頭症とGBSの原因であることについては科学的な
 コンセンサスがあります。
・6月29日にギニアビサウでは、セネガルのダカールパスツール研究所(IPD)で行われたPCR検査の結果、
 12検体のうち3 検体がジカウイルス陽性でした。またジカウイルスに対するIgMは12検体全てが
 陰性でした。更に最近追加検査された患者検体においてもジカウイルス陽性でした。7月1日に新たに
 IPDに送られた4検体については現在遺伝子解析中のため、結果はまだ保留中です。これらに加えて
 22検体が検査のために集められています。ギニアビサウの政府は、WHO在ギニアビサウ事務所(WCO)の
 支援を受け、これらの調査結果への対応について強力なリーダーシップを発揮しています。
 ジカウイルス感染に関する国の省間委員会は総理大臣を議長、保健省大臣を副議長として立ち上げられ
 ました。同国に共同する派遣団は保健省の対策を支援し、状況の詳しい調査を実施するために同国へ
 到着しました。技術的或いは経済的な支援はUS-CDC,ポルトガルの協力、IPD,ユニセフなどを含めた
 パートナーによってなされています。
・オリンピック期間中、メディアの質問に対する回答にはWHOの技術専門家名簿が使用可能な予定です。
・2016年2月にWHOが立ち上げた戦略的な対応の枠組みには、サーベイランス、対策活動および研究が
 内包されています。この公衆衛生上の緊急事態に対して、WHOが国際的パートナー、地域および国家の
 パートナーとともに着手している、いくつかの主要な活動に関して、2016年5月27日に中間発表が
 公表されました。また、2016年7月から2017年12月の期間における対応戦略の改訂版が6月17日に
 公表されました。
・WHOは、ジカウイルスを背景とした様々なテーマに関して、新たな勧告や情報を展開してきました。

 WHOの最新情報である、統合されプログラムに従ったリスクコミュニケーションやコミュニティーへの
関与を支援するためのニュースおよび情報源については、オンラインで利用可能です。



【出典】
WHO,SITUATION REPORT
ZIKA VIRUS ,MICROCEPHALY, GUILLAIN-BARRÉ SYNDROME
28 JULY 2016
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/28-july-2016/en/