(No.159)

中国におけるリフトバレー熱
2016年8月2日更新

 2016年7月23日、中国の国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関(WHO)にリフトバレー熱(RVF)の
症例を報告しました。

 45歳男性です。河南省出身でアンゴラの首都ルアンダで働いていました。ルアンダ以外の渡航歴は
報告されていません。感染源に関する調査は進行中です。

 患者は2016年7月14日にアンゴラで頭痛、発熱、関節痛、筋肉痛で発症しました。アンゴラで治療できる
病院を探しましたが症状が続き、7月21日に中国に帰国しました。
 北京に到着するまでにすでに患者は重篤な状態であり、治療できる専門病院に搬送され隔離されました。
 2016年7月23日患者の検体が北京市疾病対策センター(北京市CDC)で検査されRVF陽性で、同日
中国CDCで確定診断されました。中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は7月23日、患者の病歴や
臨床症状や検査結果を再調査するために専門家グループを招集し、中国における初めてのRVF輸入例と
結論づけました。患者の状態は現在も重篤です。

公衆衛生上の対策

 中国政府はサーベイランス、モニタリング、予防管理について他の対策を実行しました。
以下の通りです。
 1. 専門分野を超えた共同研究と調整の強化
 2. 治療の向上
 3. 症例隔離、病院における感染防御と管理、疫学的監視とスクリーニング検査の強化
 4. 媒介動物のサーベイランスと監視、蚊を除去し、孵化させない、消毒する、環境づくりの
  管理方法の強化
 5. 一般市民へのリスクコミュニケーションと情報提供

 アンゴラではWHOの支援のもとにアンゴラ保健省による調査チームが立ち上がっています。

WHOのリスク評価

 RVFはウイルス性人畜共通感染症です。感染動物の血液か組織との直接または間接的接触によるヒトへの
感染が大多数です。ヒト感染は感染した蚊や吸血ハエに刺されることからも起こります。ヒトは感染した
動物の未殺菌のミルクや調理されていない肉を摂取することでRVFによる感染が成立することがあります。
 現在までにこのウイルスがヒト-ヒト感染をおこすという文献はなく、さらに中国では適切な媒介蚊の
管理体制が整備されていることから、WHOは、中国の国内または国外にさらなる感染伝播をおこすリスクは
低いと評価しています。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Rift Valley fever in China
http://www.who.int/csr/don/02-august-2016-rift-valley-fever-china/en/