(No.163)

黄熱の流行状況(16)
平成28年8月12日更新

 黄熱のアウトブレイクは、2015年12月末にアンゴラ共和国の首都ルアンダで最初に認められました。
最初の黄熱感染者は、2016年1月19日に南アフリカの国立伝染病研究所(NICD)により、1月20日に
セネガルの首都ダカールのパスツール研究所により確認されています。その後、感染者数の急激な増加が
確認されています。

要約
アンゴラ:3,867人の感染疑い例
 アンゴラでは、7月と8月は診断確定例がありませんでした。2016年8月4日の時点で、3,867人の疑い患者
(うち879人は診断確定例)が報告されています。また369人の死者が報告されており、うち119人が
診断確定例です。診断確定例は18州中16州において報告されています。
 アンゴラにおける対策の優先順位として国境地域において流行前に予防接種キャンペーンの完了、
感染リスクのある県において監視システムや患者発見システムの強化と媒介蚊の制御活動が挙げられます。
 アンゴラのほとんどの流行地域においてワクチン集団接種キャンペーンが完了しました。
18郡の300万人を対象とした、流行前のワクチン接種キャンペーンは8月15日に開始予定です。
さらにナミビアとの国境地域にある4つの県においても8月初頭にワクチン接種を行う予定です。

コンゴ民主共和国(DRC):2,269人の感染疑い例
 8月8日時点でDRCにおいて2,269人の感染疑い例が報告されています。
 8月8日時点でDRCにおいて1,943人分の検体が検査され、うち74人が診断確定され16人が死亡しました。
(死亡率:21.6%)診断確定例が全26州中7州から報告されています。74人の診断確定例のうち、56人が
アンゴラからの輸入例、3人が(今回の流行とは関連がない)森林型黄熱例、12人が国内発生例、
3人が最終調査中です。
 ワクチン集団接種キャンペーンが8月17日からキンシャサ州の32の保健行政区とアンゴラとの国境地域に
ある16の保健行政区において開始予定です。また緊急ワクチンとして知られているワクチンの分割投与法が
キンシャサにおけるワクチン接種キャンペーン内で行われる予定です。

ワクチン接種に関して
 WHOは国際調整団体(ICG)の備蓄ワクチンとブラジルに本社のあるBio-Manguinhos社のワクチンを
合わせて2,800万回分以上のワクチンをアンゴラ、DRC、ウガンダにむけて送りました。
 2016年8月10日時点で、アンゴラにおいて2,100万回分、DRCにおいて、1,150万回分のワクチンが認可
されています。

リスク評価
・ アンゴラでのアウトブレイクは収まりつつあり、7月と8月初め(8月4日時点)は診断確定例が報告
 されていません。しかしながら、同国全域において高水準の警戒を維持する必要があり、先制治療的な
 意味合いのある集団予防接種キャンペーンが計画通り実施されます。
・ DRCにおいて、アウトブレイクが新たな州や以前流行のあった3つの州の中の新たな保健行政区へ拡大
 しているため、より警戒を強める必要があります。同国内の媒介蚊であるヤブカの存在や活動、免疫力の
 低い国民がいることを考えると流行は他の州にも拡張し続ける可能性があります。

【出典】
WHO Yellow Fever
Yellow Fever Situation Report
12 August 2016
http://www.who.int/emergencies/yellow-fever/situation-reports/12-august-2016/en/