(No.166)

黄熱の流行状況(17)
平成28年8月19日更新

 黄熱のアウトブレイクは、2015年12月末にアンゴラ共和国の首都ルアンダで最初に認められました。
最初の黄熱感染者は、2016年1月19日に南アフリカの国立伝染病研究所(NICD)により、1月20日に
セネガルの首都ダカールのパスツール研究所により確認されています。その後、感染者数の急激な増加を
認めています。

要約
アンゴラの疫学情報の更新(8月11日現在)

 6月23日以来、新しい診断確定例がありません。
3,922人の疑い患者が報告されており、うち369人が死亡者です(死亡率 (CFR: case fatality rate) 9.4%)。
3,922人のうち879人が診断確定例で、うち119人が死亡者です(CFR:13.5%)。
18州中16州において、最低1人の現地感染を伴う診断確定例が報告されています。

アウトブレイク対策としてのワクチン集団接種キャンペーン
 アンゴラの現地感染が確認された地域において、アウトブレイク対策としてのワクチン集団接種
キャンペーンが実行されています(図1参照)。更に、約300万人(フェーズⅠ)及び追加として200万人
(フェーズⅡ)を対象とした、予防的なワクチン接種キャンペーンが8月15日に開始されました。
キャンペーンの初期フェーズにおいて、22郡(このうち17郡は、コンゴ民主共和国(DRC)、ナミビア、
コンゴ共和国と国境を接しているか、その近隣地域です)の危険性の高い人々に対して免疫を持たせる
ことを目的としています。8月18日現在、922,177人の人々がワクチン接種を受けています
(この対象人口の31%がフェーズⅠのキャンペーンの対象です)。

コンゴ民主共和国(DRC)の疫学情報の更新(8月18日現在)
 2,357人の疑い患者が全26州中7州から報告されています。;
1,956人に対して検査が行われ、73人の診断が確定し、このうち死亡者は16人でした(CFR:21.9%)。;
73人の診断確定例のうち、56人がアンゴラからの輸入例、13人が国内発生例、3人が今回の流行との関連のない森林型黄熱例、1人が調査中です。

予防的ワクチン接種キャンペーン
 DRCにおいて、予防的なワクチン接種キャンペーンが8月17日に開始されました。このキャンペーンでは、
キンシャサ州の32の保健行政区における8百万人に加え、アンゴラと国境を接しているかその近隣にある
16の保健行政区における3百万人に対して免疫を持たせることを目的にしています。キンシャサ州で
行われるワクチン接種キャンペーンではワクチンの分割投与法が用いられる予定ですが、この投与法に
おけるワクチン投与量は標準投与量の5分の1であり、利用可能なワクチン量が限られている状況で
緊急事態においてのみ推奨される方法です。



図1 アンゴラにおいてワクチン投与が施行された地域(2016年8月11日現在)

【出典】
WHO Yellow Fever
Yellow Fever Situation Report
19 August 2016
http://www.who.int/emergencies/yellow-fever/situation-reports/19-august-2016/en/