(No.168)

ジカウイルス感染症の流行状況(18)
平成28年8月25日更新

 2016年8月25日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

更新情報
• 初めて蚊媒介によるジカウイルス感染症の報告があった国または地域:
 o なし
• 初めてジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、または先天性の感染が示唆される小頭症や     その他の中枢神経(CNS)奇形が報告された国または地域:
 o コスタリカ、ドミニカ、ハイチ
• 初めてジカウイルス感染症と関係するギランバレー症候群(GBS)例が報告された国または地域
 o なし
• ブラジルのリオデジャネイロで開催された2016年オリンピック夏季大会が8月21日に閉幕しました。
 同国の保健当局が提出したWHOへの報告によりますと、オリンピックの関係者に
 ジカウイルス感染確定例は1人も出なかったとのことです。
• WHOのアメリカ地域事務局が取る対策
 o WHOは、プエルトリコに対しては媒介蚊の統合的なコントロールについて、バハマに対してはジカの
  分子的診断について、チリに対しはジカウイルス感染に関連したGBSの臨床的な管理について、
  それぞれ技術的な助言を行いました。

要約
• 蚊媒介による伝播:2007年以降70の国と地域において引き続き蚊による感染伝播が報告されています。
(2015年以降、蚊によるジカウイルスの感染伝播が起こった地域は67か国です)
 o 2015年以降、53か国と地域において初めて流行が報告されています。
 o 4か国において2016年以降に地域内の流行が起こっている可能性がある、または蚊を介した
  ジカウイルス感染の報告がある国として定義されています。
 o 13か国と地域において2015年以前に蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播が報告され、
  その後2016年には患者報告がない、または流行が終息しています。
• 2016年2月以来、11か国においてヒト-ヒト感染のエビデンスが報告されています。
• ジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、または先天性の感染が示唆される小頭症や
 その他の中枢神経(CNS)奇形が、20の国と地域から報告されています。これら20の国と地域のうち
 4か国では、ジカウイルス感染の国内流行は無くジカウイルスの流行が報告されている中南米からの
 輸入例のみが報告されている国々の母親からの感染の報告です。
• 米国においてジカウイルス感染の可能性があり検査を受けた妊婦の症例:
 o 先天性障害のあった新生児16人
 o 先天性障害により流産した5人
• 米国の管轄領域において検査結果でジカウイルス感染の可能性がある妊婦の症例:
 o 先天性障害のあった新生児1人
 o 先天性障害により流産した1人
• 18の国または地域において、ギランバレー症候群(GBS)例および(あるいは)GBS患者で
 ジカウイルス感染確定例が増加していることが報告されています。
• ギニアビサウにおける7月1日に送られたジカウイルス感染確定例の4例の遺伝子シークエンシングの結果は
 まだ保留中です。2016年4月から小頭症5例が調査中です。さらにWHOは昆虫学者や疫学者、
 検査専門家を雇い現地に派遣することを計画しています。
• ブラジルのリオデジャネイロで開催された2016年オリンピック夏季大会が8月21日に閉幕しました。
 同国の保健当局が提出したWHOへの報告によりますと、これまでに観客や選手やオリンピックに
 関連した人々において、誰もジカウイルス感染確定例がなかったとのことです。現在も密に
 監視しており、特にウイルスの約1週間の潜伏期間を考慮すると、いくつか症例が発生する可能性が
 依然としてあります。
• WHOは、ジカウイルスを背景とした様々なテーマに関して、新たな勧告や情報を作成しています。



【出典】
WHO,SITUATION REPORT
ZIKA VIRUS ,MICROCEPHALY, GUILLAIN-BARRÉ SYNDROME
25 August 2016
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/25-august-2016/en/