(No.177)

ジカウイルス感染症の流行状況(20)
平成28年9月8日更新

 2016年9月8日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

更新情報
• 初めて蚊媒介によるジカウイルス感染症の報告があった国または地域:
 o なし
• マレーシアにおいて、前回2014年にジカウイルス感染症が報告されていましたが、先週新たに蚊媒介に
 よるジカウイルス感染症が報告されました。
• 初めてジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、または先天性の感染が示唆される小頭症や
 その他の中枢神経(CNS)奇形が報告された国または地域:
 o なし
• オランダにおいて、先週初めてジカウイルスのヒトからヒトへの感染伝播(おそらく性交渉による)の
 証拠が報告されました。
• 初めてジカウイルス感染症と関係するギラン・バレー症候群(GBS)例が報告された国または地域:
 o なし
• WHOのアメリカ地域事務局が取る対策についての更新情報
 o WHOは、バルバドスにおいて、神経学的合併症の臨床的な管理に関するワークショップを開催
  しました。
 o WHO/汎アメリカ保健機構(PAHO)による、臨床検査による評価と、国立検査機関でのジカウイルス
  感染症の診断能力強化を目的とした、ブラジルへの技術者派遣は8月に終了しました。
 o WHOは、媒介蚊に対するサーベイランスと制御のための戦略的計画を更新するために、
  パナマにおいて2回の会合を開催しました。
 o WHO/PAHOは、「蚊に関する啓発週間」を計画し、その開始を手助けするために、コロンビアと
  エルサルバドルへの派遣団を派遣しました。
 o ハイチにおいて、WHO と同国保健省の疫学、検査、研究に関する人口局(DELR)は、8月に、
  ジカウイルス感染症とその合併症に対する疫学的なサーベイランスに関する、3回におよぶ
  「指導者養成ワークショップ」を開催しました。
 o シンガポールにおけるジカウイルス感染例の遺伝子シークエンシング分析の結果、そのウイルスが
  アジア系統に属し、以前に東南アジアで循環していていたものが進化したものである可能性が示唆
  されました。
 o 2016年パラリンピック夏季大会が、9月7日からブラジルのリオデジャネイロで開催されています。
  WHOは、競技者、ボランティア、来客および住人に対してこの催しが可能な限り安全に行われる
  ように、引き続き保健省に技術的な支援を行っています。この状況において、ジカウイルスが
  伝播していく可能性はゼロではありませんが低いと考えられます。全ての人は、ジカウイルス感染症を
  避けるためのガイダンスに引き続き従うべきです。
 o 第4回緊急委員会が、2016年9月1日に開催されました。委員会では、現在提示されている証拠を
  考慮したうえで、地理的な感染の拡大が引き続き起こっており、また、同ウイルスに対する理解と
  現在の結果の間に大きな解離が存在するために、ジカウイルス感染症とそれに関連した先天的異常
  およびその他の神経学的異常が、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)に引き続き
  該当することが合意されました。
 o WHOは、文献等を系統的に再吟味した結果、妊娠中のジカウイルス感染が小頭症を含む先天的な
  脳奇形の原因となり、同ウイルスがGBSの引き金となるとの結論を出しています。
 o 性交渉による感染伝播の予防に関するガイダンスの改訂版が、2016年9月6日に公表されました。

【出典】
WHO,SITUATION REPORT
ZIKA VIRUS ,MICROCEPHALY, GUILLAIN-BARRÉ SYNDROME
September 2016
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/8-september-2016/en/