(No.178)

ジカウイルス感染症の流行状況(21)
平成28年9月15日更新

 2016年9月15日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

更新情報
・初めて蚊媒介によるジカウイルス感染症の報告があった国または地域:
 o なし
・シンガポールやフィリピンやマレーシアでみられている新たな症例が西太平洋地域の国々で報告されて
 います。
・初めてジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、または先天性の感染が示唆される小頭症や
 その他の中枢神経(CNS)奇形が報告された国または地域:
 o なし
・初めてジカウイルス感染症と関係するギラン・バレー症候群(GBS)例が報告された国または地域:
 o なし
・ブラジル・リオデジャネイロで2016年夏季パラリンピック大会が行われています。WHOは、競技者、
 ボランティア、来客および住人に対してこの催しが可能な限り安全に行われるように、引き続き
 保健省に技術的な支援を行っています。この状況において、ジカウイルスが伝播していく可能性は
 ゼロではありませんが低いと考えられます。全ての人は、ジカウイルス感染症を避けるための
 ガイダンスに引き続き従うべきです。

要約
• 蚊媒介による伝播:2007年以降72の国と地域において引き続き蚊による感染伝播が報告されています。 (2015年以降、蚊によるジカウイルスの感染伝播が起こった地域は70か国です)
 o 2015年以降、55か国と地域において初めて流行が報告されています。
 o 5か国において2016年以降に地域内の流行が起こっている可能性がある、または蚊を介した
  ジカウイルス感染の報告がある国として定義されています。
 o 12か国と地域において2015年以前に蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播が報告され、
  その後2016年には患者報告がない、または流行が終息しています。

• 2016年2月以来、12か国においてヒト-ヒト感染のエビデンスが報告されています。
• ジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、または先天性の感染が示唆される小頭症やその他の
 中枢神経(CNS)奇形が、20の国と地域から報告されています。これら20の国と地域のうち4か国では、
 ジカウイルス感染の国内流行は無くジカウイルスの流行が報告されている中南米からの輸入例のみが
 報告されている国々の母親からの感染の報告です。
• 18の国または地域において、ギラン・バレー症候群(GBS)例および(あるいは)GBS患者で
 ジカウイルス感染確定例が増加していることが報告されています。
• ギニアビサウにおいて、報告された5例の小頭症例の調査は継続中です。
• 2016年5月30日以降文献等を系統的に再吟味した結果、WHOは妊娠中のジカウイルス感染が小頭症を
 含む先天的な脳奇形の原因となり、同ウイルスがGBSの引き金となるとの結論を出しています。
 2016年2月に、WHOが因果関係について入手可能な証拠の強化と弱点を鑑定するために発行した
 フレームワークによってあきらかにした知見は、調査におけるギャップを明確にもし、さらなる
 研究方針をもたらします。

【出典】
WHO,SITUATION REPORT
15 September 2016
Zika virus, Microcephaly and Guillain-Barré syndrome
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/15-september-2016/en/