(No.182)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症-サウジアラビア
    2016年9月21日更新

 2016年8月23日から9月11日までの間にサウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関
(WHO)に対して,中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV9 )感染確定例を新たに5人報告しました。

症例の詳細情報
1.55歳男性。北部国境州Arar市の住人で9月3日に発症し8日に入院しました。患者には基礎疾患は無く、
  10日の検査でMERS-CoV陽性と判明しました。患者には発症前2週間以内にラクダとの接触歴、
  ラクダ生乳の喫食歴があります。現在、患者の状態は落ち着いており、病棟の陰圧室に隔離されて
  います。農業省は連絡を受け、ラクダの調査を引き続き行っています。
2.65歳男性。Riyadh 州Riyadh市の住人で8月29日に発症し、9月4日に入院しました。患者には
  基礎疾患があり、5日の検査でMERS-CoV陽性と判明しました。発症前2週間以内にラクダとの
  接触歴があります。現在、患者の状態は落ち着いており、病棟の陰圧室に隔離されています。
  農業省は連絡を受け、ラクダの調査を引き続き行っています。
3.40歳男性。サウジアラビア国籍を持たない, Al Ahssa州Hofouf 市の住人で8月15日に発症し、
  28日入院しました。患者には基礎疾患があり、30日の検査でMERS-CoV陽性と判明しました。
  患者はラクダ市場で働いており、発症前2週間以内にラクダとの接触歴、ラクダ生乳の喫食歴が
  あります。現在、患者の状態は重篤で集中治療室(ICU)に収容され、人工呼吸器が装着されて
  います。農業省は連絡を受け、ラクダの調査を引き続き行っています。
4.69歳男性。Taif 州Taif市の住人で8月21日に発症し、24日に入院しました。患者には基礎疾患があり、
  25日の検査でMERS-CoV陽性が判明しました。発症前2週間以内の既知の危険因子への曝露については
  調査中です。現在、患者の状態は落ち着いており、病棟の陰圧室に隔離されています。
5.43歳男性。Riyadh州Hriymala市の住人で8月12日に発症し、翌日の検査ではMERS-CoVは陰性でした。
  症状が持続するため17日に入院し、21日の検査でMERS-CoV陽性と判明しました。患者には基礎疾患は
  ありません。患者は既報患者(DON9月16日更新〈関空HP:海外感染症情報2016,No.179〉の2例目)
  の家族内感染で、発症前2週間以内における他の既知の危険因子への曝露歴はありません。
  現在、患者の状態は落ち着いており、病棟の陰圧室に隔離されています。

 これらの患者と接触歴のある家族や医療従事者に対して追跡調査が行われています。
 WHOには2012年9月以降、全世界で1,806人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち
643人が関連死しています。
(以下は同文のために省略しています)

【出典】
Emergencies preparedness, response
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia

Disease outbreak news
21 September 2016
http://www.who.int/csr/don/21-september-2016-mers-saudi-arabia/en/