(No.183)

ジカウイルス感染症の流行状況(22)
平成28年9月22日更新

 2016年9月22日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

更新情報
・ 初めて蚊媒介によるジカウイルス感染症の報告があった国または地域:
 o セントクリストファー・ネーヴィス
・ シンガポール、フィリピン、マレーシアおよびベトナムでみられているように、西太平洋地域の国々に
 おいて新たな感染例の報告が続いています。東南アジア地域にあるタイにおいても、最近ジカウイルス
 感染例が報告されています。このように最近になり明かにジカウイルス感染例の報告数の増加が
 見られますが、実際の発生数の増加によるものなのか、あるいは、サーベイランスおよび検査の強化の
 結果あるいは感染症の認識が進んだ結果であるのかどうか、明かではありません。
・ マレーシアで報告された2例のジカウイルス感染症のシークエンス分析の結果、それがアジア系統由来
 であるもののわずかに異なったものであることが示唆されました。1例目である輸入感染例は、
 2013年にフランス領ポリネシアにおいて流行していたウイルス、例えば“post-2007 アジア株”、
 に類似していました。2例目である現地感染例は、以前東南アジアで流行していたアジア系統株に
 類似していることが報告されています。
・ シンガポールにおいて更にシークエンス分析を行った結果、現地感染例がより古いアジア系統の
 ウイルス株によって引き起こされていたことに加え、ブラジルに渡航歴のある輸入感染例が、
 現在アメリカ大陸で流行しているアジア系統株に類似したウイルスによって引き起こされていたことが
 示唆されました。
・ 初めてジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、または先天性の感染が示唆される小頭症や
 その他の中枢神経(CNS)奇形が報告された国または地域:
 o グアテマラ
・ 初めてジカウイルス感染症と関係するギラン・バレー症候群(GBS)例が報告された国または地域:
 o エクアドル
・ ブラジル・リオデジャネイロにおける2016年夏季パラリンピック大会が、9月18日に閉幕しました。
 WHOは、このパラリンピック大会から帰還した渡航者のジカウイルス感染の個々人における危険性は、
 ゼロであるとは言わないまでも低いと分析しています。これまでのところ、WHOはこのイベントに
 関連するいかなるジカウイルス感染例についての公式な報告を受けておりません。
 WHOのガイダンスに従って、帰還した男性および女性は、より安全な性交渉を実践するか、
 少なくとも帰還から6ヶ月の間は性交渉を控え、3週間は昆虫忌避剤を使用し感染拡散の危険性を
 減らすように務めるべきです。

【出典】
Zika situation report
22 September 2016
Zika virus, Microcephaly and Guillain-Barré syndrome
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/22-september-2016/en/