(No.187)

ジカウイルス感染症の流行状況(23)
平成28年9月29日更新

 2016年9月29日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症の流行状況を更新しました。

更新情報
・ 初めて蚊媒介によるジカウイルス感染症の報告があった国または地域:
 o なし
・ この1週間に、モルジブから戻った旅行者による蚊媒介性のジカウイルス感染症例がドイツと
 スペインから報告されました。以前にジカウイルス感染例が報告されたのは、2016年1月になります。
・ シンガポール、フィリピン、マレーシアおよびベトナムでみられているように、西太平洋地域の
 国々において新たな感染例の報告が続いています。東南アジア地域にあるタイにおいても、最近
 ジカウイルス感染例が報告されています。東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国によって明らかに
 された主要な対応は、疾病サーベイランス、リスク評価、情報の適切かつ適時の共有、地域における
 サーベイランスと対応、ベクターコントロール、診断のための検査、研究室におけるネットワークや
 リスクコミュニケーション、知識や最良の慣行の共有です。タイの保健省は、小頭症とジカウイルス
 感染症との関連性について調査中です。
・ 初めてジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、または先天性の感染が示唆される小頭症や
 その他の中枢神経(CNS)奇形が報告された国または地域:
 o なし
・ 初めてジカウイルス感染症と関係するギラン・バレー症候群(GBS)例が報告された国または地域:
 o なし

分析
・ 全体的には、世界的なリスク評価は変わっていません。
・ タイにおける小頭症例の調査は、これらがジカウイルス感染症との関連性があるかどうかを決定する
 ことが重要です。–もし関連性が認められれば、東南アジアにおける初めてのジカウイルス感染症と
 関係する可能性の高い小頭症例となります。また、ジカウイルスが発見された場合、ウイルスが
 現地感染株か輸入株かを特定するために、ウイルスのシークエンス分析が必要となります。
・ マレーシアにおいて報告された5例のジカウイルス感染例のシークエンス分析の結果、それら全てが
 “アジア系統”であることが示唆されました。これらの感染例のうち輸入例を含む2例は、2013年に
 フランス領ポリネシアにおいて流行していたウイルスである “post-2007 アジア株”に類似して
 いました。その他の3例の現地感染例は、以前東南アジアで流行していたアジア系統株に類似している
 ことが報告されています。

【出典】
Zika situation report
29 September 2016
Zika virus, Microcephaly and Guillain-Barré syndrome
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/29-september-2016/en/