(No.204)

国際保健規則 (IHR)(2005)に基づくジカウイルスと増加する神経学的障害及び新生児奇形に関する
世界保健機関(WHO)第5 回緊急委員会での声明
2016年11月18 日

 IHR(2005)に基づいて、事務局長によって召集された小頭症及びその他の神経学的障害とジカウイルスに
関する第5回の緊急委員会が、テレカンファレンス形式で11 月18 日開催されました。
 過去4 回の緊急委員会による提言から事務局長により発行された暫定的推奨事項の実施経過について
簡単な報告がありました。また、同委員会は、ジカウイルスの地理的分布、自然史、疫学、ジカウイルスに
関連した小頭症や他の神経学的障害、ギランバレー症候群(GBS)、性行為によるジカウイルス感染
についての最新情報を更新しました。
 さらに、ブラジル、タイ、アメリカ合衆国からは、実施中である感染防御対策の報告に加えて、
ジカウイルス感染伝播による小頭症やGBSや他の神経学的障害について報告されました。
 WHO事務局長によって宣言された国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)により、
世界中が緊急かつ協調された対応を実施することとなり、同時に、ジカウイルス感染症及びそれに関連した
重大な事象は、WHOや締約国、その他のパートナーによって他の感染症と同様の方法で対処すべきかなり
重要で長期的問題であることを示しているとの理解を与えてきました。
 同委員会は2016年2月に、ブラジル及びフランス領ポリネシアにおける小頭症や他の神経学的障害の
異常な集団発生や、緊急かつ協調された研究を必要とするジカウイルス感染の地理的時間的関連に基づいて
PHEICとすることを推奨しました。研究の結果、現在ではジカウイルス感染と小頭症、GBSとの関連が
示されたことから、緊急委員会は長期的で強力な技術体系が地球規模での対応のために必要となったとの
感触を得ました。
 結果として、緊急委員会は、ジカウイルスとそれに関連した重大な事象は強化された対策を必要とし
依然として変わりない公衆衛生上の難題であるとはいえ、IHRで定義されたPHEICには該当しないと
考えました。本疾患とそれに関連した重大な結果の多くの局面は未解決のままですが、それらについては
継続的な研究により解決に向かう可能性があります。緊急委員会は、本疾患とそれに関連した重大な結果に
対処するための専心した手段をもって、この問題が継続的な研究プログラムに拡大して組み込まれていく
事を推奨しています。
 委員会は、これまでの会議での推奨事項について精査し、WHOとパートナーが過去の勧告に系統的に
真摯に対処してきたと同意しました。さらに緊急委員会は、ジカ戦略的対策計画で確認された戦略的目標を
実行するより長期的な対策を確立するための概要を決定したWHOジカ対策移行計画を同意しました。
 これらの提言を踏まえ、事務局長はPHEICの終息を宣言しました。事務局長はこれまでの会議から
暫定的推奨事項を再度発出しました。その中身はより長期的対応策に組み込まれることとなります。
事務局長は委員会のメンバーとアドバイザーに対して、これまでの提言に関し、謝意を表しました。

【出典】
Media Centre
Fifth meeting of the Emergency Committee under the International Health Regulations (2005) regarding microcephaly, other neurological disorders and Zika virus
WHO statement 18 November 2016 http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2016/zika-fifth-ec/en/