(No.209)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症-サウジアラビア
2016年11月28日更新

 2016年11月3日から11月10日までの間に、サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関
(WHO)に対して、新たに6人の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を
報告しました。また、以前に報告されたMERS-CoV感染例のうち2名が死亡したことを報告しました。

症例の詳細情報
1. 68歳の男性。サウジアラビア国籍のリヤード州Alkharj市の住民です。この患者は11月1日に発症し、
 11月8日に入院しました。患者には基礎疾患があり、11月9日にMERS-CoV検査で陽性と判明しました。
 発症前14日以内における既知の危険因子への曝露歴については、引き続き調査を継続中です。
 現在のところ、患者は危篤状態で集中治療室(ICU)に入室していますが、人工呼吸器は装着されて
 いません。
2. 53歳の男性。サウジアラビア国籍のリヤード州Alkharj市の住民です。この患者は11月2日に発症し、
 11月7日に入院しました。患者には基礎疾患があり、11月8日にMERS-CoV検査で陽性と判明しました。
 患者には発症前14日以内におけるヒトコブラクダとの接触歴およびラクダの生乳の喫食歴がありました。
 現在のところ患者の状態は落ち着いており、病院の陰圧室で隔離されています。農業省は連絡を受け、
 ラクダの調査を継続しています。
3. 58歳の女性。サウジアラビア国籍を持たないナジュラーン州ナジュラーン市の住民です。この患者は
 10月30日に発症し、11月5日に入院しました。患者には基礎疾患があり、11月7日にMERS-CoV検査で
 陽性と判明しました。発症前14日以内における既知の危険因子への曝露歴については、引き続き調査を
 継続中です。現在のところ患者の状態は落ち着いており、病院の陰圧室で隔離されています。
4. 52歳の男性。サウジアラビア国籍のマッカ州Bahrah市の住民です。この患者は10月26日に発症し、
 11月3日に入院しました。患者には基礎疾患があり、11月5日にMERS-CoV検査で陽性と判明しました。
 患者には発症前14日以内におけるヒトコブラクダとの接触歴およびラクダの生乳の喫食歴がありました。
 現在のところ、患者は危篤状態でICUに入室していますが、人工呼吸器は装着されていません。
 農業省は連絡を受け、ラクダの調査を継続しています。
5. 61歳の男性。サウジアラビア国籍のカシーム州Buridah市の住民です。この患者は10月27日に発症し、
 11月1日に入院しました。患者には基礎疾患があり、11月3日にMERS-CoV検査で陽性と判明しました。
 発症前14日以内における既知の危険因子への曝露歴については、引き続き調査を継続中です。
 現在のところ、患者は危篤状態でICUに入室していますが、人工呼吸器は装着されていません。
6. 94歳の男性。サウジアラビア国籍のカシーム州Buridah市の住民です。この患者は10月29日に発症し、
 10月31日に入院しました。患者には基礎疾患があり、11月2日にMERS-CoV検査で陽性と判明しました。
 発症前14日以内における既知の危険因子への曝露歴については、引き続き調査を継続中です。
 現在のところ、患者は危篤状態でICUに入室していますが、人工呼吸器は装着されていません。

 これらの患者と接触歴のある家族や医療従事者に対して追跡調査が行われています。
 同時にサウジアラビアのIHR担当窓口はWHOに対して、以前に報告された2名のMERS-CoV感染例が
死亡したことを報告しました。2016年11月11日に公表されたDON〈関空HP:海外感染症情報2016 No.202〉
の1例目と11例目をご参照ください。
 WHOには2012年9月以降、全世界で1,832人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち
651人が関連死しています。

【出典】
Emergencies preparedness, response
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia
Disease outbreak news
28 November 2016
http://www.who.int/csr/don/28-november-2016-mers-saudi-arabia/en/